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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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キーワードto音楽: 地にまつわるエトセトラ
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。
そしてまたちょっと間が開いてしまった・・・その間に創作の方で書き物してたので特別調子が悪いとかだれてたとかじゃないんですが。同じ文書きでもやっぱり違うmind setが必要みたいです。

とりあえず向こうは一段落したので昨日、今日と久しぶりのキーワードto音楽の準備をしてました。まだ2回目で若干フォーマットが定まっていない(汗)四大元素シリーズ、今回は「地」で。
全部ブラームスになったら困るな、とか思いながらも結構ばらけてくれましたね。地は得意そうな作曲家がそこここに結構いて、いわゆる「土臭い」音楽は特定地方(東欧主に)に多いのですが今回はキーワード分けがちょっと難しかった。みんな似たり寄ったり、というのは大げさですがなんとなくの共通の性質が強いような、説明が難しい・・・

とりあえず主なところはカバーできたかな?とは思うので早速。今回も12つのキーワードでダブりは1回にとどめました。

1) Stability: コダーイ 無伴奏チェロソナタ 第1楽章
「地」のエレメントを代表するキーワードといえば「安定性」「安定感」でしょうね。「地が足に着いたよう」という言葉そのままに。やっぱりチェロという楽器は「地」に直接つながるそのエレメントにぴったりの楽器だと思いますし、コダーイの作風、そしてこの楽章の瞑想的な揺るぎない、どっしりした安定感は凄いですね。

2) Stubbornness: ショスタコーヴィチ 前奏曲とフーガ ニ短調
性格に関する特徴で「地」と関連づけられるのが「頑固さ」だと思います。前回の「炎」のDeterminationの前のめりな情熱とは違う、俺の屍を超えていけ的な、ここをてこでも動くものか、みたいな・・・とにかくこの曲、絶対譲りたくないんですよね。ショスタコらしいひねくれた頑固さといいますか。ニ短調ですしね、ぴったりな調です。

3) Maternal: ブラームス ホルン三重奏 第3楽章
母なる大地、とも言いますがやっぱりギリシャ神話のガイアを始め「地」は「母性」と関連して描写されることが多い気がします。そこでなんでこんな暗い曲を選んだか、というとキリスト教の宗教画などで言う「Dolores Mater」、悲しむ母のイメージが強いと思ったので。母性豊かな悲しみ、温かい涙、そういった感覚。

4) Still: ペルト 「Fratres」
「地」は動的でなく「静的」なエレメント。そこに静かに動かず、独特の存在感を放って「有る」。動いていないようで少しずつ動いている、変わっている。その音、そして地平線がまっすぐ穏やかなカーブを描いて広がるその線の存在感、そういったものを思わせるこの曲。特に太鼓などの打楽器の音が「地」を思わせるなあ、と思うんですよ。

5) Protection: ブラームス 「ドイツ・レクイエム」 第1楽章
大地がその上に住むものを「守る」、「庇護する」というクオリティはブラームスの曲の多く、特にこのドイツ・レクイエムに多いんですよね。やっぱりさっきの母性の項で書いたものと通じるものは多々ありますが、代表して第1楽章をセレクト。これだけ包まれて守られている感がある音楽を書くブラームスの懐の広さにはいつも驚きます。

6) Epic: チャイコフスキー 交響曲第5番 第1楽章
創作の方の書き物でどれだけ表現できてるか分からないのですが意識しているのは人物とその世界の関係性、というか、人物が立っている大地、大地を駆け回る人物、みたいな感じで。いろいろ物語の、まるで「叙情詩的な」、「壮大な」というのはそこから来ると思うんですよね。そんな自分の書き物と大地をつなぐ性質をよく表すと思うこの曲を選びました。

7) Depth: バルトーク 管弦楽のための協奏曲 第3楽章
「地」というエレメントにほぼ特有、と言えるクオリティの一つが「深み」だと思います(水にもあることはありますが)。下の方向に広がる地底の世界、そこに昔の人は地獄だったり冥界があったりしたようなことを想像したりしたもので、実際のところ地球全体と比較して薄い地核もまるで奥底にどんどん続いていくような感覚。ということでバルトークの数ある「地」を思わせる曲から地響きまで感じるようなこれを。

8) Physical: メシアン 「トゥーランガリラ交響曲」 第1楽章
もう一つ、「地」のエレメントって他の元素に比べて実体がある感じがありまして。実際手に取れる、「物質的」で「物理的」で「身体的」(人間の素ですもんね、一部宗教・神話では)なこのキーワードを連想。メシアンの地の曲ってそういう性質が強いですね。触れられる、というか実体がある、というか。この曲はそれに加えて構造的だったり、命が肉体的な感じで存在してたり。考えてみると面白い。

9) Gravity: ブリテン Sinfonia da Requiem 第1楽章「Lacrymosa」
音楽で色彩を感じるのも面白いですが「重力」を感じるのも面白いですね。もちろん低音楽器がその感覚の要で、特にショスタコやブリテン、プロコフィエフなどでGを強く感じることがあります。特にこの曲、最初の音からかかる重力のすごさ。以前やった色彩の「キーワードto音楽」でダントツで「黒」に選んだ曲です、ちなみに。

10) Steps: ヤナーチェク シンフォニエッタ 第2楽章
音楽のおおまかなカテゴリの内「踊り」はなんとなく「地」と親和性があるようなイメージ。裸足で大地を「踏みならす」、みたいな、民族音楽でよくある人が集まる場で輪になって、みたいな。ハンガリーやロシアやチェコなど東欧でよくあるこの素敵なアクセントの付き方、リズムを代表としてこの曲を。大きすぎないスケールと土臭さがまた良い。

11) Solid: クラム 「マドリガル」第4巻 第3楽章 「¡La muerte me está mirando desde las torres de Córdoba!」
そして「地」は「固体」であり「中がしっかり詰まってる」元素(なんか仕事で出会うクロマトグラフィーの珪藻土カラムを思い出した)。コントラバスのこのベースラインのしっかり詰まってること!歌もフルート族も打楽器も何もかもがEarthyな手触りと色彩を帯びていて、踏み固められたようなゆるぎなさがあります。

12) Darkness: ストラヴィンスキー 「火の鳥」 序曲
地のエレメント=闇のエレメントではないですが、やはり先ほど書きましたように地底の暗さ、というのは「地」のエレメントを語る上で外せないような感じが。鍾乳洞とか炭鉱とか、地面に深く掘った穴、墓穴とか。どこか湿り気と冷たさがある、鬱々とした閉塞感がある暗さ。それを表す曲はいろいろあるなかこの曲をチョイス。ストラヴィンスキーの自然とか魔法の描写が大好きです。


「地」は私が比較的苦手というかあんまり積極的に好きだと思わないエレメントなんですよね。やっぱり安定しているのは馴染みにくいというかあんまり自分に近く感じないというか、それとも単にせっかちだからか。
だからといって地関連の曲が特別苦手とか好きでないとかそういうわけでもないんですよね。特にブラームスとかバルトークとか、ものすごい好きですし、自分にとって一種の「軸」にちょこちょこなってる感はあるんです。
肝心なときにちゃんとあるけれど、ただ自分の手で使うのはあんまり多くない。
これからの季節に強くなり始めるエレメントなので上手く自分をコントロールするよう使えたらいいんですが。踏ん張って鍛錬せねば。


(今日の一曲はキーワードto音楽なのでお休みです)

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