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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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キーワードto音楽:自分が「難しい」と思う曲
前回のエントリーに拍手ありがとうございます~
今日はちょっとピアノを練習しながら「こんなキーワードto音楽やったら面白いかな(自分が)」と思っていたのを一つ。

ピアノでいろいろ「難しい」曲ってありますが(自分が弾いてるのを含めて!)単純に「難しい」という言葉で片付けられないなあ、と練習しながら思ったのです。
例えば自分が弾いてる曲、弾きたい曲について大学でピアニスト仲間や先生と話すときどういう言葉でどういう説明をするか、とかちょっと思い返したりなんだりして。
それを元に自分にとって「難しい」曲(弾いたもの、弾いたことないものごっちゃで)を種類?別にまとめてみました。

Hard: 単純に一般的に「難しい」というとこの言葉になりますね。どちらかというとメンタル面よりも演奏面・実行面での難しさが当てはまるかな。私のイメージだと高校生のとき弾いていたシューマンの「謝肉祭」で最後まで弾けなかった「パガニーニ」とか「再会」とか最終楽章とか・・・とにかくどこが、というあれでもなく単に難しかった(手の小ささもありますが)。

Difficult: 「難しい」という言葉を英語で表すときにHardとともによく使われる言葉ですね。実行面だけでなく音楽の複雑さも含めるような意味合いがあるような。私がDifficultと形容する曲はスクリャービンの練習曲op.42-5が筆頭かな。技巧の込み入った感じ、それを弾くだけでなく必要な箇所を際立たせる難しさはこの言葉に合うような感じがします。

Complex: 直訳すると「複雑な」となりますね。つまり曲の複雑さ、そしてそれを頭で理解してひもとく難しさを指す言葉ですね。現代音楽でよくこの言葉を感じる曲に出会いますね、例えばリゲティの練習曲とか。でも必ずしも音が多い曲じゃないですね。フーガはこのカテゴリに入りやすい気も。

Tricky: がっつり難しいわけでもなく、ものすごく複雑なわけでもなく、でも弾くには容易でないなにかがある、そんな曲を表すときに使います(日常でもよく使いますね)。今弾いてるプロコフィエフ(ピアノソナタ第2番第4楽章)を始めプロコフィエフの曲によくある難しさで、指が楽に回らない感じがそこここにあるんですよね。あとメシアンの「鳥のカタログ」も私にはこういう難しさを感じます。

Tough: これも「難しい」という意味の言葉です。ステーキが固いのを「Tough」というように、立ち向かってみたものの一筋縄じゃいかないぞ、壁にぶちあたったぞ、という感じの難しさ。なんとかちょっとずつかみ砕いて腰を据えて取り組まなければならないみたいな。私にとってのToughはメシアンの20のまなざしから第10楽章「喜びの聖霊のまなざし」ですね。大学の最終年に挑戦してから今もまだかみ砕けてない。

Finger-twisting: 実際にこういうフレーズがあるかどうかは分かりませんが、ピアニスト仲間内で使ったら確実に意味は正確に伝わります。まるで指が絡まる、ねじれるような技巧を伴う曲といえばショパンの練習曲op.25-6、リストの超絶技巧練習曲第5番「鬼火」などがありますね(どれも弾いたことないです)。ものすごく細かい速い、普段絶対しないような5本の指の動きがとてつもなく難しい。

Incomprehensive: この言葉は「理解不能」、つまり完全にメンタル面に絞った難しさです。現代音楽、その中でも前衛的な音楽を形容することが多い言葉ですね。私にとってのincomprehensiveはなんといってもシュトックハウゼンのKlaviermusik IX。以前のメシアン・コンクールの課題曲の一つとしてあったのですが未だに分からない、理解できない!(でもincomprehensiveは必ずしも「不可能」ではないですからいつか!)

Challenging: 難しいけれど乗り越えられる、挑んでやろうじゃないかという感じのニュアンスがあるような言葉。他の「難しい」よりももっと前向きかな・・・?私が思うChallengingな曲といえばラヴェルの「鏡」の「道化師の朝の歌」かなあ。本当に難しい曲だけれど「できない」とは思わず楽しく挑戦できたので。

Nerve-wracking: 一般的には「非常に神経に障る、いらいらさせる」という意味なのですが、演奏においてものすごく怖い、というか難しい、というかそういう意味で使うことがある言葉です。練習で弾けるようになっても舞台で弾くのはまた別物、別の難しさがあります。私は弾いていないのですがピアニスト仲間のなかでこのカテゴリとして有名なのがショパンの練習曲op.10-1です。弾くときはたいてい最初に弾くこの曲は本番においていきなりの難関になることがしばしば。

Impossible: 難しいというか「弾けない!」というカテゴリですね。今現在は不可能、今後ずっと不可能、2パターンありますね。手の小ささだったり技巧の未熟さだったりで無理!と割り切るのもたまには必要で大事なこと。ベートーヴェンの「Waldstein」ソナタ(第21番)の後ろのほうのオクターブ連続とか、はなっから普通に演奏できるように書かれてないリゲティの練習曲第14番「無限柱」とか、手の届かない存在です(笑)

他にも「暗譜の難しさ」とか「体力的な難しさ」とかいろいろあって、奏者一人一人にとって難しさのツボって違いますのでここで全部はカバーできません、さすがに(汗)
奏者としての自分の強いところ、弱いところがこれからどう変わっていくか、果たして変わるのかわからないですが少なくとも苦手意識は、そして実際の苦手も少しでも減っていけばなあ・・・と。克服できますかねえ(苦笑)


今日の一曲: フランツ・シューベルト 「冬の旅」より「烏(からす)」



これは母に買ったCDから。シューベルトは多くの歌曲(600曲以上!31歳までしか生きてないのに!)を残しましたが、これは晩年の作品です。
同じくらい有名な「美しき水車小屋の娘」(詩は同じヴィルヘルム・ミュラー作)なら大学の授業で聴いたことはあったのですが「冬の旅」はこれで改めて初めまして。

あらすじでいえば「美しき~」は出来事というか展開が悲劇的なのですが、「冬の旅」は主人公の心持ちの暗さがものすごくて、このペシミズムが味わい深いながらもなんかちょっとオーバーで笑っちゃうようなところがあり・・・とりあえずwikipediaで見てみてくださいな(笑)音楽にするとものすごく良いんですけどね。私は「冬の旅」の方が好き。なんたって景色が多様ですから(旅なので)。
それにしても31歳で亡くなっているのにこの「冬の旅」の「晩年的なテイスト」、不思議です。

この「烏」は伴奏の授業でちょっと弾いたことがありました。哀愁漂う冷ややかな曲調は冬の灰色の空そのもの。
ピアノの分散和音は頭上に円を描いて飛び交うカラスたちを表し、途中で歌のパートの方にもカラスの鳴き声をまねたような音型が現れたり。
(歌曲でよくある表現法ですね。シンプルだけれどとっても効果高いです)

景色と温度と心持ちとひっくるめてこれだけシンプルで短い曲で表現されているのを感じるとやっぱりシューベルトはいいな、歌曲の王様だなあと思うのです。

そうそう、「冬の旅」といえば「菩提樹」という歌曲が入ってることでも有名ですね。こちらもものすごく好きな曲なのでそのうち。

リンクしたのは母に買ったものと同じコンビの演奏。Fischer-Dieskauの歌声も素晴らしいですが、ブレンデルはシューベルトで有名なピアニストなのでやっぱりここはこだわりたいですね。ちょうど試聴もありますし(ちなみにこのCDでは題名は「烏」でなく「鴉」表記になってますね)。

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