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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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国立アカデミー母の日コンサート 感想
前回のエントリーに拍手ありがとうございます~

今日は雨が降ったりやんだりメルボルンらしく不安定な寒い気候のなか行って来ましたコンサートに!
ピーター作曲のトランペット協奏曲の初演、ということで楽しみにして昨日一応メッセージしたのですがまさかの「完売みたい」との返事が!(母の日に連れ合って行ってみるケースが多かったり、あと無料のコンサートなのもあったのかな)
最悪なんとかしてみる、と心配をかけちゃったものの実際に行ってみると「一応完売だけど余るだろうから」とあっさり入れてもらえました(笑)
でも確かに入ってるとほぼ満席でした(でも途中で出る率も多かったですね、比較的カジュアルなセッティングのコンサートによくあることですが・・・)
プログラムはこんな感じでした:

ドビュッシー チェロソナタ
De Jager トランペット協奏曲「Private Landscapes」
(休憩)
Hindson ピアノ三重奏
ブラームス ホルン三重奏

セッティングがカジュアルな割には長さも中身もがっつり。
ちなみに作曲家のラインアップは前回行ったアカデミーのコンサートと同じなんですよね(意図してのことかな)。

ドビュッシーはドビュッシーの曲としてもチェロの曲としてもちょっと異色な作品で、あんまりじっくり聴く機会がなかったので生で聴けてよかったです。特に難しそうな最終楽章の演奏が特に良かったと思います。あと第2楽章の大部分を占めるピチカートがかっこよかった!

ピーターのトランペット協奏曲は30分とちょっと長かったのですが(今回のコンサート聴きに来てた私のピアノのの先生も言ってました・・・ただし先生はいろんな曲を長いといいます)、面白い音楽いっぱい詰まってました。
協奏曲、というフォーマットではありましたが楽器編成はトランペット、ピアノ2人(ピーター含む)、クラリネット/バスクラ、チェロ2人、コントラバスと打楽器という編成(結構低音偏りなのが面白い)で、指揮者がいない、という。
楽器同士の絡みが面白いですね。あと曲調もとっても流動的というか自由というか、それでいて構成はしっかりしてたり。不思議なハーモニーや色彩も使うし、楽器使いもなかなかすごい。ソロ楽器であるトランペットはもちろん、鉄琴やコントラバスのソロもものすごくかっこよかった!
最後の「朝」の部分ではまた比較的抽象的ではないスタイルも見れて。(あと「長調の方が好き」というのが納得)
すぐさま親しみを感じるところから出会ったことのないような不思議なものまで全部新鮮でものすごく好きで、聴いてて楽しかったです。

Hindsonのピアノ三重奏(伝統的なピアノ・バイオリン・チェロの編成)もとっても面白い曲でした。前々からその存在は聞いていたものの聴くのは初めまして。
最初の楽章が「Moto Perpetuo」(無窮動)ってのが彼らしいと思いました。前回聴いたLight Musicの最初の楽章と似たところのあるメカニックな面が。
でも演奏・曲共に好きだったのはスローな第2楽章「Repetitions」。パッサカリア的な形式のなかになんというかリズム、テンポのとりかたの自由さみたいなところが。ものすごく余裕があるよう書いてる・弾いてるので。
第3楽章「Epic Diva」はもう一度別のときに聴いてみたい。なんかちょっと納得できなかったのはどの要因からかわからないので。作曲者の説明によると「21世紀のオーストラリアに生きていることの賛歌」(仮訳)で、ポピュラー文化を交えたパロディー的な側面もあるのですが。

そして最後にブラームスのホルン三重奏(ピアノ、バイオリン、ホルン)。ブラームスが母を亡くしたすぐ後に書いた曲で彼の母親への気持ちがものすごく明らかになっている曲なのでちょっと母の日つながり。
私も大学時代に全楽章学ぶ(弾く)機会があった作品で、たくさんの良い思い出がある曲です。
今回の演奏はちょっと好きじゃないところもありましたが、ものすごく良いところもあって。第1楽章はそんなに前のめりじゃないほうがいいかな・・・と思いましたが第3楽章めっちゃパンチがありました。特にバイオリンとホルンの力強い音があの悲壮な楽章をしっかり盛り上げて。
あと私が弾いたときはやらなかったテンポの動かし(ちょこちょこゆっくりにするところがあった)とか、「ああそういう解釈もあるのか」と勉強になりました。

今日はピーターがコンサートの後にリハーサルがあるというので早めに退散してきましたが、次はもう今月末、先生のバースデーコンサートでまた彼の曲を聴くことができるというので会えるのも聴けるのも楽しみ。もうちょっとゆっくりできるといいな、先生ともピーターとも(先生ともちょっとしゃべっただけだった)。
さらに6月の末には国立アカデミーのビオラ祭りみたいなもの(笑)があって、そこでもまたビオラアンサンブルのための作品を発表することになってるらしいので行けたら聴きにいきたいです。


今日の一曲: ヨハネス・ブラームス ホルン三重奏 第2楽章



買ったもの借りたものetc.コレクション(ノルマ)を一旦中断して今日のコンサートから一曲。
ホルン三重奏はものすごく好きで楽しい曲だけど、同時にちょこちょこした難しさがある曲で。
特にこの第2楽章はピアニストにとって一番難しい楽章なんじゃないかな。特に小さい手には・・・できないわけじゃないんですが、終始余裕を持てないんですよね。軽やかな楽章ではありますがピアニストは大分ばったばたしてますよー(笑)

ブラームスの音楽って重厚なイメージがあるのですがこの第2楽章はスケルツォということを考慮してもものすごく軽快で明るくて、色がくるくる変わる気ままさもあって。
でもこの軽快なのの間をピアノはオクターブでずっと弾いてたりとか変なスパンのアルペジオ弾いてたりいきなり#5つになったりとか地味ーに難しいのだが(ぶつぶつ)

飛んで跳ねて翔ける(バイオリン・ホルンのみ)スケルツォセクションとは対照的な中間部(トリオセクション)。
ちょっとシューベルトを思い出させるような影があって伸びる、歌い上げるメロディー。(ただしピアノパートはここも地味に難しい・・・なぜだ)

ピアノ、バイオリンとホルンってこの前にも後にもあんまり作品がでてない珍しい楽器編成ですが(リゲティは書いてます)、この作品を聴くとなんかしっくり来るのですよね。どれもなかなか器用なことができる楽器ですし(ホルンがんばれ!)、あとは「いかにホルンがあらゆる楽器と溶け合う音を持ってるか」という話になってしまうんですが(笑)

リンクした録音はアシュケナージ、パールマン、タックウェルの演奏。
ホルンのバリー・タックウェルはオーストラリアの方で。ホルン友達の知り合いであるのですが私もお話させていただいたり通訳のようなものをやったりあとこの曲をチュートリアルしてもらったこともあります。
演奏ももちろん最高峰です、ぜひご試聴あれ~♪

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