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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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メル響「Mahler with Emma Matthews」感想
前回のエントリーに拍手ありがとです~

昨日は鴨ラーメン食べてメル響のコンサートに行って来ました。
3公演あって今日もこうやって書いてる今まさに演奏中(&ラジオで放送中)だそうです。
プログラムはこんな感じ:

指揮者: Benjamin Northey
ショスタコーヴィチ バイオリン協奏曲第1番 (バイオリン: Julian Rachlin)
(休憩)
マーラー 交響曲第4番 (ソプラノ: Emma Matthews)

ショスタコ&マーラー合わせると三度の飯より好きです(笑)
闇と光、対照的なようでちょっと似たところもある2曲(それも大きめの協奏曲+マーラーとしては小さめな交響曲)の組み合わせ、プログラムとして結構興味深いです。

今回来るはずだった指揮者のかたがキャンセルになってメル響のAssociate Conductor Chairのポジションにある若いBen Northeyがピンチヒッターとしてこのプログラムを振ることになったそうです。どちらの曲も指揮者にとって、しかも短い期間ではものすごく大変です。ショスタコの第2楽章とかちょっと心配なとこもありましたがとっても良いコンサートになりました。関係あるかわからないのですが昨日の演奏の後から今日もfacebookに各方向からコメント、写真がいつも以上に上がってて関係者面白いテンションになっています(笑)

ショスタコのバイオリン協奏曲はものすごく好きなバイオリン協奏曲です。後期独特のあの迷路のような闇が現れる第1楽章に始まって(ただし「暗くてうじうじしてわかりにくい」とも言える)、激しいスケルツォの第2楽章、悲痛なパッサカリアの第3楽章→カデンツァ→勢いの良い第4楽章、かなりがっつりメニューです。
今回ソリストの方の弓の毛が切れまくりだったので第2楽章の後に変えるんじゃないかと思ったほどでした(弓は変えてませんでしたが第2楽章と第3楽章の間に再チューニングしてました。それだけ激しいのです)。

ソリストの方の音は決して太い、豊かな音とは違うのですがものすごく強くてまっすぐな、鋼鉄の線のような音で。なかなかこういう音聴けないんですよね、ものすごく好きな音です。
生で聴いて、だけじゃなくて見てよかったな、と思うのが弓使いがじっくり見れたことですね。弓の先端側をぶつけるアタックだったり、カデンツァとかで上半分の使い方だったり、弓テクニックの多様さに(元弦楽器奏者ですが)ものすごく驚きました。
そしてこんな小さな楽器(ちなみにストラディヴァリウスだそうで)とあんな細い弓からこんなにも強烈な音がでるのか、と。繊細な楽器ながらとってもタフな楽器ですね。

この協奏曲で私が特に好きなのが第2,3楽章。
これまで聴いてきた演奏では第2楽章は爆発的な、炎のような勢いを持った演奏だったのですが昨日のはショスタコらしい&ソヴィエトらしい大分重めのステップで。
第3楽章は最初のホルンセクションのすばらしさ(でも前に座ってたんで見えなかった!)もそうでしたし最初から最後まで良い演奏でした。なかなかそれを言葉で表現するのが難しいですが。
そして今回のコンサートで第4楽章を前より好きになれたのが大きな収穫だと思います。今度からもっと聴こう。

マーラーは・・・4番ってこんなに変な曲だった!?と思いましたね。
特に後半の第3,4楽章の曲調の変化の激しさとかかなりびっくり。他のマーラーの交響曲と比べるとスケールは各方向ちょっと小さめなのですが、5番とか6番とかがおとなしく見えるような豹変ぶり。

ちなみに第2楽章のスケルツォでコンマスが変則調弦のバイオリンに持ち変えるのですが、見えましたよ~ピアノの椅子に乗せてありました。これでソロを弾くときは「友ハイン」=死神のバイオリンとしてキャラ付けしてたのが印象深かったです。(持ってる録音はトゥッティと聞き分けられないので・・・)
そして第2楽章といえばホルンのソロが元気良かったですね。コンマスのソロとのデュエットのときも一歩も譲らない音量で(笑)ソロが多いのは知ってましたが終始ソロですね、ホルンは。さすがマーラー。ホルンに惚れさせてくれます。

第3楽章はチェロセクションがおいしいですね~こんなに素晴らしいパートだったんだ。
メロディーも内声もカウンターメロディーもなんかチェロ!って感じで。

そして第4楽章はソプラノのソロ入りの楽章(第3楽章の途中でこっそり登場してました)。
マーラーの4番はソプラノのソロ、と覚えてはいたんですが実際歌声を聞いたときは「あれ、メゾソプラノだっけ?」と思ってしまいました。
それはマーラーのこのパートの書き方もそうなのですが、今回のソリストの方の声の暖かみだったり深みだったり、高音の柔らかさとかがメゾソプラノっぽかったです。こんなソプラノ歌手聴いたことないです。こういう声が好みなんだけどなあ、でもきっとオペラとかではもちょっと違うスタイルで歌うんだろうなあ。

ちなみにソリストの方のドレスは黒と灰色の、裾もあんまり広がってない控えめなドレス。まだ写真は上がってないのですが大変私の好みのドレスでした♪でもこの曲の歌詞からだったら色のドレスかと思ったのです。どっちかというとブリテンの「戦争レクイエム」に似合う感じの印象でした。やっぱりこっそり入ってくる登場もあるのかな?

今回のこれでマーラーの交響曲、生で聞いた&記憶に残ってるのは1,2,3,4,5,6,7,9番。つまり8と10以外。
今年はこれに加えて8月に以前メル響を指揮していたMarkus Stenzを迎えて3番もやりますからね!チケットとってあります!楽しみ!
やっぱり聞き逃せないですね、毎回。


今日の一曲: グスタフ・マーラー 交響曲第4番 第3楽章



ショスタコは好きすぎて紹介できないです(笑)そしてマーラーは2楽章は以前紹介したような気がするので(してなくても今でなくてもいいかな、と)これを。

以前も書いてますがマーラーは普段は指揮の仕事に忙しく、作曲は主に夏の間に別荘で行っていました。
だから特にスローな楽章は夏の夜を思わせるような曲調が多いです。
この楽章もそのテイストが強くて、最初の方なんか穏やかでコンパクトで夜空に星が輝いて湖があって、みたいな感じなんですが曲が進むごとに先が全く予測不可能になる不思議。

マーラーの音楽って聴く方の感覚としては音楽を超えた「魔法」に近い何かがあるような気がします。
言い方はあれですが、良い意味でディズニーのアニメーションに通じるところがあるような。動きのなめらかさとかあふれる動き、色彩、音、広がる魔法。
マーラーのオケ作品って本当に構成も色彩もものすごく複雑で、ただただ洪水なんですよね。

そして先ほども書きましたがチェロが美味しい嬉しい(笑)
優しいチェロから情熱的なチェロまで、そして前に出て目立つパートから支えるパートまでチェロの魅力と能力をあますことなく使うマーラーのチェロ使いが大好きです。マーラーのホルンも間違いなく素晴らしいですがチェロもいい勝負ですよ!

そして5番のスローな楽章(第4楽章)でも見られるロマンチックさがまたにくいです。春とか夏の夜、休日の夜なんかに聴くといいですねー♪

あ、あと録音のリンクの試聴を見るとわかると思うのですが、この交響曲の全部の楽章にテンポ指示として「ゆっくり」「急がず」的なことが書いてあるのが面白いですね。さすがはバカンスの交響曲(笑)


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