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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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キーワードto音楽: 水にまつわるエトセトラ
前回のエントリーに拍手どうもです~
もうすぐコンサート聞きにいくはずだな・・・と思ったらもう明日でした。メル響でローマの松!楽しみー!
そして火曜日はメンタルヘルス&音楽系のセミナーというかレクチャーがあるので後でアイリッシュパブでご飯食べたれたらなあ。アイリッシュシチューの季節ですよ。

アイリッシュシチューの季節=冬、ということでそろそろこれをやらなきゃ、というキーワードto音楽の四大元素版。
夏にやればよかったですね、水。(炎やったんですよ、それもぴったりではありますが)まあ日本が夏だからまあいいや。
ではさっそく。

1) Fluid: 武満 「夢の引用」
四大元素の中において水の最大の特徴といえば「液体」・「液体的」であること。つかもうとすれば流れ、波打ち、形を変えるなめらかで柔らかく湿った存在。よくよく考えてみると不思議で非現実的?な存在ですね。様々な作曲家が水を題材に色んな曲を書いてますが、そんな不思議で美しい水の性質をものすごくよく表現していると思ったのがこの曲。ドビュッシーの「海」を引用しながら夢のように、固体よりも柔らかく気体よりも存在感を持って流れる曲です。

2) Mirror: アデズ 「Arcadiana」より「Venezia Notturna」
水は昔から物を映す性質から「鏡」のように使われてきました。ナルキッソスの神話が特に有名ですね。揺れながら反映する様子を表すならこの曲。題は「ヴェネツィア夜想曲」という意味で、ヴェネツィアの夜にゴンドラで揺れる水が町の明かりを映す様子を思わせる曲です。鏡と違って寸分違わず、ではないですが風情のある反映ですね。

3) Drowning: スクリャービン 練習曲 op. 42-5
水は潤すこともあれば「溺れさせる」こともある、という危険な一面も。スクリャービンはやっぱ「炎」の作曲家で、この曲もそういう燃えるエネルギーがあるながらも、でもやっぱり「溺れる」といったイメージはこの曲に敵うものはないですねえ。たくさんの音の波に息をつく間もなく溺れるばかり。苦しさの感覚も含めてほんとリアルな「溺れる」曲です。

4) Cleansing: ペルト Summa
炎もそうですが水も「浄化する」イメージがありますね。洗う、濯ぐ、洗い流す。精神的な「心の洗濯」的な意味で言うならやっぱりペルトの音楽がふさわしいと思います。東欧・旧ソヴィエトにおいてミニマルミュージックは(共産主義で宗教が許されないため)宗教に変わる魂の救済・癒やしの役割でしたしね。特にペルトの音楽はその傾向が強い中、音楽が流れるテンポを考えるとこの曲が一番このキーワードに合うんじゃないかしらん。

5) Flow: ホルスト 「惑星」より「海王星」
水は動いている、「流れる」イメージがやっぱり強いですね。例えば川を題材にした曲(シューベルトの「美しい水車小屋の娘」とかスメタナの「モルダウ」とか)はあるながらもここでは「海王星」を推したいです。水の流れに身をゆだねてどこか知らないところへ運ばれる感覚というか、ゆったりながらも逆らえない不可抗力。心地よいけれど、同時に恐ろしい。

6) Transparent: レスピーギ 「ローマの噴水」 第4楽章「黄昏のメディチ荘の噴水」
水にも色々ありますが、「透明」であるのが理想的な形とされます。透き通った水と水を透かして見る景色だったらレスピーギの「ローマの噴水」が良いかな。生き生きしますよね、水が。中でもこの最終楽章ではその透明さが際立っています。噴き上がって散り、きらめく水が夕方の空と豪勢な建築に動き、潤いと輝きを与えます。

7) Depth: クラム 「Songs, Drones and Refrains of Death」より「Casida of the boy wounded by the water」
足のつかないほど深い水、というのは泳げる人でも危険なもので。様々な神話・昔話で見られる「深み」に棲んでいる魔物(ケルピーとか河童とか)は子どもに深い水の危険を教えるためのものらしいです。そんな底の見えない、得体の知れない暗い水のイメージがこの曲。子どもが沈んでいく深い水の底の暗さをまざまざと表した音楽です。

8) Flexible: Nelson 「Metallephonic」 第4楽章「Mercury」
こちらは水星でなく水銀の方のMercuryです。先ほどのFluidと似ていますが、水はそれを入れた入れ物の形になる、どんな形にでもなれる「柔軟さ」を持っています。それも空気と違ってちゃんと満たしている。その変わりやすさ・存在感をどちらも満たすのがこの曲かな。即座に形を変えてその形に落ち着く感がテューバの重み、鉄琴などの柔らかさを持って表現されています。

9) Source: クラム 「鯨の声」
水は生命の「源」。命は水の中で生まれ、水は命を支える。太古の生命が生まれ進化していく舞台としての「水」だったらもうこの曲しかないでしょう。「鯨の声」は始生代から新生代の人間の登場まで、長い年月の間命を抱いてきた海の物語。今回はその時代の変化も合わせて、ということで全楽章ひっくるめてどうぞ。

10) Luring: ラヴェル 「夜のガスパール」 第1楽章「ウンディーネ」
「炎はすぐ危険だとわかるけれど水は一見危険に見えない」よく言われますが、文学などでも湖や川などが美しいと水が「誘っているよう」という表現をちょこちょこ見ます。そのライン上の最高峰がこの「ウンディーネ」ではないかと思います。人間を水中の世界に永遠に引きずりこもうと誘惑する水の精。この音楽もその魅惑的な美しさが表れています。

11) Barrier: メシアン 「鳥のカタログ」 第13楽章「ダイシャクシギ」
川、海など水はこちらとあちらを「隔てるもの」としての役割もあります。川や海に国境などが引かれるのはもちろん、水があると一般的になんらかの別の手段を使って越えなくちゃいけないわけですしね。そして三途の川などこの世とは違う世界が川や海の向こうにある、という伝説も多いです。このダイシャクシギは霧に包まれたヨーロッパの西端の「最果ての地」の向こうを思う曲ということでここにチョイスしました。

12) Storm: ドビュッシー 「海」 第3楽章 「風と海の対話」
Storm=「嵐」。降りしきる雨、雹、渦巻く雲、氾濫する川、荒れる海など水が様々な形で荒れ狂う気象現象です。ここまで紹介してきた水と同じ性質を持ちながら、はるかにダイナミックで暴力的な水の姿。やっぱり「荒れ狂う海」の部分は外せなかったのでドビュッシーの「海」からチョイス。最初は風がメインですが中間部辺りから弦の激しくうねる波のような音型だったり、水の荒々しさが感じられます。


うーん、今回ちょっと文がちょっとぐちゃっとなっててすみません(汗)
あと音楽で水を題材にしてたり水のイメージがあったりする曲って本当に多くて(特にピアノにおいて)、ここで選べなかった曲がたっくさん!あるんです。例えばアデズの「Arcadiana」は上で紹介した以外にも水題材の楽章があったり、ドビュッシーなんかも結構水にまつわる曲書いてますし。
ただキーワードに当てはめるとなるとやっぱりこういうチョイスになるかなあ・・・・
キーワードto音楽シリーズはもうちょっとちょこちょこやらないと形にするのが難しい・・・とちょっと反省してます。


今日の一曲はキーワードto音楽なので今日の一曲はおやすみです。


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