×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
前のエントリーに拍手ありがとうございます!
今日はGPのところにいって胃組織の生検結果を聞いてきました。ヘリコバクター・ピロリ菌はいなかったのことです。
つまり抗ウイルス薬で治療を受ける必要はないのですが、なんか症状を抑えながらひくのを待つしかないのですかねえ。
さて、もう一昨日になってしまったレクチャーの感想。
まずは久しぶりに行ったレクチャーがどういう背景のものだったか、について。
メルボルン大学では最近神経科学の新しい施設(および建物)を設立して、神経科学、そして神経科学と他の学問の分野を融合する研究をどんどん進めていこうとしているらしいです。
その施設、Neuroscience Instituteが一連のレクチャーシリーズを今回開催していてその第1弾が一昨日行ってきたレクチャーだったわけです。
Neuroscience Instituteの管轄の分野の一つとして同じくメルボルン大学のMusic, Mind and Wellbeing(これまでのレクチャーはここが主催のが多かったです)が音楽と神経科学をつなぐエリアとして今回のレクチャーを担当しました。
なので、今回のレクチャーはそのMusic, Mind and Wellbeingの活動の概要とか、それに関する基本のところをカバーするような内容でした。だから久しぶりに基本を確認するという意味では有意義だったけれどもっと専門的な、フォーカスしたトピックのも聞きたいなあ・・・と。
今後のNeuroscience Instituteのレクチャーシリーズでなんか行けるのがあるかなあ。(音楽に関連なくてもいいですし。他主催でもいいんですが)
レクチャーの前半は音楽が脳に与える影響、そして音楽と神経科学の相互関係についての話でした。
まだ一般に根強く言われている「芸術は右脳、言語は左脳」(でしたっけ)は音楽には当てはまらず、脳の様々な分野に大きな影響を与えるという話から。(ちなみに健康な脳にも障害がある脳にも影響があることは強調されてましたね)
同じ音楽でも弾く楽器などによって脳の発達する部分が違ったり、あと言語と音楽の処理する部分で共通する脳の箇所があってそれを利用して脳梗塞のあとの失語症のリハビリに歌を使ったりする話とか。音楽と記憶(特にエピソード的記憶)のつながりの強さを利用して認知症などの記憶障害のリハビリに使ったり。
あと直接音楽とは関わらないけれど、たとえば自分のやっていることを継続的にモニタリングして評価することだったり記憶などが音楽をやることを通じて発達することだったり(キャリーオーバー効果というらしいです。例えば音楽をやる生徒は成績が伸びる、という研究結果がでるのはこの効果によるものだそうですよ)。
それから音楽は個人だけでなく社会的な人と人とのつながりにもまた大きな影響を与えるということが最近の研究でも分かっているそうです。
音楽に関する研究を通じて神経科学において多くのことが解明されてきた、という話もありました。
前述脳の多岐にわたる影響はもちろんそうですが、音楽はやってる人とやってない人がすっぱり分かれるのではなく経験の量がグラデーションになるので様々な変数で研究ができるんだそう。
さらに音楽に関する神経科学の研究の結果(例えば演奏時の不安などについて)が音楽分野にフィードバックされるようにもなってきているそうです。
ここまでの話は主に音楽と脳(神経科学)に関する研究分野だったのですが、Music, Mind and Wellbeingはもっと広く音楽と科学をつなぐ様々な分野を扱っています。
英語なんですがMMWのサイトのこのページの図が分かりやすいですね。音楽と科学を介して神経科学、楽器のデザイン、演奏、教育、メンタルヘルス、音響、コミュニティ、文化など本当にたくさんのつながり&広がりがあります。
ちなみにこの図でいうと私が特に興味がある分野は左端の二つ(物理・工学と心理学・神経科学)かなあ・・・音楽療法、というのはちょっと違うようだけれど左半分のあと2つもちょっと。元々が心理学一般でも神経科学寄りのが好きなんで。
そのもっと広い活動だと例えばプロ(およびプロを目指す)音楽家を助けるような取り組みだけではなく音楽・演奏機会をもっとaccessibleにする試み、学校における音楽プログラムの充実、さらには新しい記譜法をあみだしたり、ちいさな子どもが使いやすい楽器の発明(製品化なども含め)、などなど。
教育については私立校で育ったため他の学校のことは知らないのですが、学校によっては音楽のプログラムがない、音楽を専門に教えられる先生がいない、というところもあるそうで。先ほどもちょろっと書いたのですがこのレクチャーを始め様々なところで発表されているように音楽は子どもの成績、就学などにおける態度、感情のmanagementや社会スキルに良い影響を与えることが分かっている、経験的な結果と研究による結果があるにも関わらず音楽はどうしても教育においてないがしろにされてしまうそうで。
(オケや吹奏楽、室内楽から先生との音楽的な雑談まで様々な機会を与えてくれた母校には本当に感謝しきれないですね)
これはオーストラリアだけに言えることではないのでオーストラリアでもそうですが他でももっと声が上がるといいな、と思っています。
そうそう、レクチャーも面白かったですが新しくできた建物も面白かったです。Melbourne Brain Centreといって音楽科の建物のすぐ隣にあるのですが、中にはレクチャーのあったホール、そしてReadingsという本屋(外の世界(笑)のReadingsよりも小さいのですが、精神医学や神経科学などの本が特に充実していて美味しすぎる!あと当該分野の新刊が載ってるニュースレターまであって!)もあり、さらにはその隣にカフェまで。
研究施設部分(2階以上)は関係者だけが入れるガラスのゲートで隔てられていてなんだか近未来。
こんなところで研究してみたいなあ、というのもあるのですが(といっても中はどんな感じか知らないですが)いつか音楽と科学、心理学あたりに関わる研究をやるのに憧れます。そして音楽と神経科学とかの研究の参加者となってみたいです。脳のMRI画像を撮ってもらったり(今回のレクチャーで言われていたことが本当なら私の脳の構造的な発達は私の音楽的な経歴を事細かに反映しているプロファイルなわけですしね)。
改めて自分のあこがれを再認識しながらこれからもちょこちょこ音楽に関係あったり関係なかったりする神経科学や心理学などのレクチャーを聴きに行かないと、とこれも再認識。
今の季節は寒いけれどあとでアイリッシュパブも行けるしもちょっと勉強の機会を活用しないと。
今日の一曲: ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 第2楽章
こないだThomas' Musicで買ったCD。といってもこの楽章だけは前から「ショスタコーヴィチ名曲集」みたいなCDに入っててちょこっと知っていました。
ショスタコーヴィチは結構暗い重いイメージ、というかそういうのが私の好みなのですがこの第10番は割と派手目、騒がしめ、そしてさくさくしています。
私にとってショスタコの交響曲って聴き親しんでるのが奇数の番号が多くて、そうすると新しい交響曲に出会うとすでに知ってる2つの間、という位置づけになるんですよね。そういう見方だとこの第10番はものすごくしっくり来る。第9番の軽さと、第11番の作曲法とどっちも持ち合わせている。でも第9番は完全にスターリンと戦争のこき下ろしに書いた風刺交響曲なのでDSCHのテーマ(ショスタコ自身を表す)に特徴付けられるこの交響曲とは目的・性質が違います。さらに第11番は物語性が強い標題音楽なのに対して第10番はもっとがっつり純粋な「交響曲」なところが強い。
この第2楽章はそんななかでも聴いててすかっとしますね。
テンポだったり勢いの良さだったり、派手さだったりものすごくストレートな性質だったり。
普段(特にこのコーナーでは)理屈っぽい私ですが単純で派手で勢いのいい曲も大好きです(笑)もうそれだけで満足できるし、聴いてて楽しい曲。
こういうショスタコの交響曲ではお決まりのピッコロの大活躍を始め、バイオリン協奏曲第1番なんかでも見られるような木管の機動力高いアンサンブルが格好いいですね。ショスタコって金管が強いイメージがどうしてもあるのですが木管だけでオクターブ離れて弾かせる部分もすごいですよ。あれは改めて考えるとショスタコ独特なテクニックかもしれない。
あとは打楽器、この時代より前の交響曲(マーラー除く)と比べると大分多用されているようにも思えますがショスタコの打楽器使いは本当に的確です。ちゃんと要るところに使ってる。なんといってもスネアドラムが(特にこの楽章では)格好いい、そして気持ちいい。
やっぱりその、明るい感じの爽快ではやっぱりないんですが、暗い爽快としては本当に満足感いっぱいの曲です(笑)聴き手にそういう感じの爽快感をしっかり与えられる感覚がやっぱりショスタコは映画音楽書きだな、と思いますね。どういう風に、という説明は難しいんですが。
すかっとしたいときにお薦めの曲です。
(ちなみにリンクした録音、指揮はショスタコの息子さん、マキシム・ショスタコーヴィチです)
今日はGPのところにいって胃組織の生検結果を聞いてきました。ヘリコバクター・ピロリ菌はいなかったのことです。
つまり抗ウイルス薬で治療を受ける必要はないのですが、なんか症状を抑えながらひくのを待つしかないのですかねえ。
さて、もう一昨日になってしまったレクチャーの感想。
まずは久しぶりに行ったレクチャーがどういう背景のものだったか、について。
メルボルン大学では最近神経科学の新しい施設(および建物)を設立して、神経科学、そして神経科学と他の学問の分野を融合する研究をどんどん進めていこうとしているらしいです。
その施設、Neuroscience Instituteが一連のレクチャーシリーズを今回開催していてその第1弾が一昨日行ってきたレクチャーだったわけです。
Neuroscience Instituteの管轄の分野の一つとして同じくメルボルン大学のMusic, Mind and Wellbeing(これまでのレクチャーはここが主催のが多かったです)が音楽と神経科学をつなぐエリアとして今回のレクチャーを担当しました。
なので、今回のレクチャーはそのMusic, Mind and Wellbeingの活動の概要とか、それに関する基本のところをカバーするような内容でした。だから久しぶりに基本を確認するという意味では有意義だったけれどもっと専門的な、フォーカスしたトピックのも聞きたいなあ・・・と。
今後のNeuroscience Instituteのレクチャーシリーズでなんか行けるのがあるかなあ。(音楽に関連なくてもいいですし。他主催でもいいんですが)
レクチャーの前半は音楽が脳に与える影響、そして音楽と神経科学の相互関係についての話でした。
まだ一般に根強く言われている「芸術は右脳、言語は左脳」(でしたっけ)は音楽には当てはまらず、脳の様々な分野に大きな影響を与えるという話から。(ちなみに健康な脳にも障害がある脳にも影響があることは強調されてましたね)
同じ音楽でも弾く楽器などによって脳の発達する部分が違ったり、あと言語と音楽の処理する部分で共通する脳の箇所があってそれを利用して脳梗塞のあとの失語症のリハビリに歌を使ったりする話とか。音楽と記憶(特にエピソード的記憶)のつながりの強さを利用して認知症などの記憶障害のリハビリに使ったり。
あと直接音楽とは関わらないけれど、たとえば自分のやっていることを継続的にモニタリングして評価することだったり記憶などが音楽をやることを通じて発達することだったり(キャリーオーバー効果というらしいです。例えば音楽をやる生徒は成績が伸びる、という研究結果がでるのはこの効果によるものだそうですよ)。
それから音楽は個人だけでなく社会的な人と人とのつながりにもまた大きな影響を与えるということが最近の研究でも分かっているそうです。
音楽に関する研究を通じて神経科学において多くのことが解明されてきた、という話もありました。
前述脳の多岐にわたる影響はもちろんそうですが、音楽はやってる人とやってない人がすっぱり分かれるのではなく経験の量がグラデーションになるので様々な変数で研究ができるんだそう。
さらに音楽に関する神経科学の研究の結果(例えば演奏時の不安などについて)が音楽分野にフィードバックされるようにもなってきているそうです。
ここまでの話は主に音楽と脳(神経科学)に関する研究分野だったのですが、Music, Mind and Wellbeingはもっと広く音楽と科学をつなぐ様々な分野を扱っています。
英語なんですがMMWのサイトのこのページの図が分かりやすいですね。音楽と科学を介して神経科学、楽器のデザイン、演奏、教育、メンタルヘルス、音響、コミュニティ、文化など本当にたくさんのつながり&広がりがあります。
ちなみにこの図でいうと私が特に興味がある分野は左端の二つ(物理・工学と心理学・神経科学)かなあ・・・音楽療法、というのはちょっと違うようだけれど左半分のあと2つもちょっと。元々が心理学一般でも神経科学寄りのが好きなんで。
そのもっと広い活動だと例えばプロ(およびプロを目指す)音楽家を助けるような取り組みだけではなく音楽・演奏機会をもっとaccessibleにする試み、学校における音楽プログラムの充実、さらには新しい記譜法をあみだしたり、ちいさな子どもが使いやすい楽器の発明(製品化なども含め)、などなど。
教育については私立校で育ったため他の学校のことは知らないのですが、学校によっては音楽のプログラムがない、音楽を専門に教えられる先生がいない、というところもあるそうで。先ほどもちょろっと書いたのですがこのレクチャーを始め様々なところで発表されているように音楽は子どもの成績、就学などにおける態度、感情のmanagementや社会スキルに良い影響を与えることが分かっている、経験的な結果と研究による結果があるにも関わらず音楽はどうしても教育においてないがしろにされてしまうそうで。
(オケや吹奏楽、室内楽から先生との音楽的な雑談まで様々な機会を与えてくれた母校には本当に感謝しきれないですね)
これはオーストラリアだけに言えることではないのでオーストラリアでもそうですが他でももっと声が上がるといいな、と思っています。
そうそう、レクチャーも面白かったですが新しくできた建物も面白かったです。Melbourne Brain Centreといって音楽科の建物のすぐ隣にあるのですが、中にはレクチャーのあったホール、そしてReadingsという本屋(外の世界(笑)のReadingsよりも小さいのですが、精神医学や神経科学などの本が特に充実していて美味しすぎる!あと当該分野の新刊が載ってるニュースレターまであって!)もあり、さらにはその隣にカフェまで。
研究施設部分(2階以上)は関係者だけが入れるガラスのゲートで隔てられていてなんだか近未来。
こんなところで研究してみたいなあ、というのもあるのですが(といっても中はどんな感じか知らないですが)いつか音楽と科学、心理学あたりに関わる研究をやるのに憧れます。そして音楽と神経科学とかの研究の参加者となってみたいです。脳のMRI画像を撮ってもらったり(今回のレクチャーで言われていたことが本当なら私の脳の構造的な発達は私の音楽的な経歴を事細かに反映しているプロファイルなわけですしね)。
改めて自分のあこがれを再認識しながらこれからもちょこちょこ音楽に関係あったり関係なかったりする神経科学や心理学などのレクチャーを聴きに行かないと、とこれも再認識。
今の季節は寒いけれどあとでアイリッシュパブも行けるしもちょっと勉強の機会を活用しないと。
今日の一曲: ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 第2楽章
こないだThomas' Musicで買ったCD。といってもこの楽章だけは前から「ショスタコーヴィチ名曲集」みたいなCDに入っててちょこっと知っていました。
ショスタコーヴィチは結構暗い重いイメージ、というかそういうのが私の好みなのですがこの第10番は割と派手目、騒がしめ、そしてさくさくしています。
私にとってショスタコの交響曲って聴き親しんでるのが奇数の番号が多くて、そうすると新しい交響曲に出会うとすでに知ってる2つの間、という位置づけになるんですよね。そういう見方だとこの第10番はものすごくしっくり来る。第9番の軽さと、第11番の作曲法とどっちも持ち合わせている。でも第9番は完全にスターリンと戦争のこき下ろしに書いた風刺交響曲なのでDSCHのテーマ(ショスタコ自身を表す)に特徴付けられるこの交響曲とは目的・性質が違います。さらに第11番は物語性が強い標題音楽なのに対して第10番はもっとがっつり純粋な「交響曲」なところが強い。
この第2楽章はそんななかでも聴いててすかっとしますね。
テンポだったり勢いの良さだったり、派手さだったりものすごくストレートな性質だったり。
普段(特にこのコーナーでは)理屈っぽい私ですが単純で派手で勢いのいい曲も大好きです(笑)もうそれだけで満足できるし、聴いてて楽しい曲。
こういうショスタコの交響曲ではお決まりのピッコロの大活躍を始め、バイオリン協奏曲第1番なんかでも見られるような木管の機動力高いアンサンブルが格好いいですね。ショスタコって金管が強いイメージがどうしてもあるのですが木管だけでオクターブ離れて弾かせる部分もすごいですよ。あれは改めて考えるとショスタコ独特なテクニックかもしれない。
あとは打楽器、この時代より前の交響曲(マーラー除く)と比べると大分多用されているようにも思えますがショスタコの打楽器使いは本当に的確です。ちゃんと要るところに使ってる。なんといってもスネアドラムが(特にこの楽章では)格好いい、そして気持ちいい。
やっぱりその、明るい感じの爽快ではやっぱりないんですが、暗い爽快としては本当に満足感いっぱいの曲です(笑)聴き手にそういう感じの爽快感をしっかり与えられる感覚がやっぱりショスタコは映画音楽書きだな、と思いますね。どういう風に、という説明は難しいんですが。
すかっとしたいときにお薦めの曲です。
(ちなみにリンクした録音、指揮はショスタコの息子さん、マキシム・ショスタコーヴィチです)
PR