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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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心をくすぐるメルボルン
ちょこちょこ地味なストレスに地味に悩まされています流 星姫です、こんばんは。
もう明日から8月ですし諸々小さなとこからやりくりしてかないとですね・・・

今日は面白そうなものを見つけました。
9月6日にドイツの映画でWunderkinderという映画がこちらのElsternwick Classic Cinemas(以前シャネルとストラヴィンスキーの映画を見に行ったところ)で上映されるということで。
第二次世界大戦中のウクライナにおけるユダヤ系の音楽家(というか神童たち)に関わる話で、ナチスだけではなくソヴィエト側との諸々もあることです。ちょこちょこっとレビューを読むと戦争の暴力的なシーンなどは少ないそう。
あの時代は自分にとって歴史として興味深いのですが、特にワーグナーだったり強制収容所の音楽家たちの話だったり歴史と密接に関わりがあった音楽の話はもっともっと知りたいといつも思ってます。
久しぶりに映画を観たいと思ったのでまだちょっと先になりますが上映になったら観にいこうかな。
(ちなみにElsternwickはユダヤ系の人が多いエリアなんですよね、偶然にも)

昨日はちょっとシティまで行って来ました。といってもいつもと変わらないところばっかり行っていたのですが(特に用事があるわけでもなかったんですよ)。
で、Melbourne Centralのショッピングセンターをちょっとめぐってたらこんな場所を見つけました。
Little library @ Melbourne Central店が並んでる中にちょっと狭めのスペース。ガラス張りになっている中を覗くと本棚に本が並べてあるものの、カウンターがあるわけでも店員がいるわけでもなく。
この写真を撮ったすぐ隣にある黒板によるとここは「Little Library」で、来た人がここにある本を自由に借りて読めるそうです。本を(元あったところに)返すのは借りた人の良心に任せる、というゆるーいシステム。
でもMelbourne Centralって割とソファーや椅子が置いてあったり、あとインドアガーデンもあるし、ちょっと時間を潰すのにここで本を借りて、とか微妙に便利そう。

メルボルンってたまにこういう大がかりでも派手でも大きな効果があるわけでもないんだけどちょっと心をくすぐるような、ちょっとした工夫というか企画というかそう呼ぶにも小さい試みなんかが見つかりますね。

例えば前述Melbourne Centralのインドアガーデン。以前このブログで言及があるはず?前Myerに通じていた空中通路のうちの一階に人工芝を敷いて植物やベンチ、椅子などを置いてちょっとした庭園みたいになっています。ハーブなどの類いは(前回行ったときは)持ち帰り自由になっていて、そのハーブを使ったレシピなどもあって。
ちなみに来年には向こう側に新しいショッピングセンターが出来て通路がアクセスに使われるみたいですが、インドアガーデンも今は真ん中があけてあるので通れるようになってもガーデンはそのままになるかな?

そして自分がよく心くすぐられている(ただし実際に行ったことがない)イベントがメル響のSecret Symphonyシリーズ(これも以前書きましたね)。不定期に行われるコンサートで、前日まで場所が知らされないのですがその数週間前からtwitter上でロケーション、曲などについてヒントが出され、謎解きで場所を見つけるシステムになっています。(最初に解けた人には何やら特典があるようす)
以前にはジャズクラブParis Catでガーシュインを演奏したり、旧メルボルン監獄でメシアンの四重奏(強制収容所で作曲されたのにかけて)が演奏されたり、今回は旧大蔵省の建物(Old Treasury Building)というオーストラリア&メルボルンの歴史に縁深い建物で全部オーストラリア音楽のプログラムが演奏されるそうで、謎解きが楽しいだけでなくコンサートとしてもしゃれがきいています。

メル響と言えばもうすぐHamer Hallの再開を記念してちょっと特別なお祝いコンサートシリーズが行われるそうです。
8月の9日から22日まで、以前首席指揮者としてメル響で振っていた時はものすごく人気だったMarkus Stenzを指揮者に迎えての3つのコンサート。
私がチケット予約したAct 1はマーラー3番(Markusはメルボルンではマーラーで特に有名)などのプログラム、Act 2はベートーヴェンの「田園」とワーグナーの「ワルキューレ」(「ニーベルンクの指環」より)の第1幕、そしてAct 3はなんとコンサートのその時までプログラムが内緒、しかもAct 1 & 2どちらも参加した人だけへのサプライズだそう。(今日届いたパンフレットによるとMarkusはコンサートで前半(Act 1)、後半(Act 2)に続けてプログラムには載せない曲をAct 3としてサプライズで振るということをしていたそうです。大衆の心をくすぐる演出ですね)
プログラムを知らせない、聴衆を限定するというのはある意味オケの運営側にはギャンブルともいえそうですが、指揮者とホール、そしてオケの人気を信じてのことなんでしょうね。マーラー楽しみー♪

音楽に関してもう一つ。メルボルンのシティ、Flinders Street Station近くのヤラ川沿いには去年3ヶ月ほどGiant Theremin=巨大なテレミンなる公共楽器が設置されていたそうです(知ってたんだけど行きそびれた・・・)
どういうものかというとYoutubeに動画があるのでリンク先をどうぞ。
動画にあるように傍を通ったり、近くで動いたり触ったりすると色んな音がでるようになっていて、直感的に操作できるようにデザインされているとのこと。ここを通った人が楽しんで、遊んで、色々実験できるよう設置されたものです。
そういえば一昨年?のメルボルンでのジャズフェスティバルの期間にはSouthern Cross Stationの階段がピアノになっていて実際に音がでるようになってましたね(それは実際に遊びました)。
どうしてもこういう仕掛けってずっと設置したままなわけにはいかないんですよね、きっと維持とか難しいんだろうな・・・でもたまに出てくるからこそありがたいものなのかも。

先にも書いたとおりこういう仕掛けとか試みが街をものすごく良くするとか、大きな影響を与えるとかメルボルンの外で話題を呼ぶとかそういうことってないんですよね。ささやかだけれど、ちょっと面白いし、凝ってるし、楽しい。それだけなんだけれど、それが嬉しかったりします。
割と大きなことやろうとするとかえってうまくいかなかったり(観覧車Southern Star、復活するのかあのままなのか!?あのままでも新しいのに不思議なノスタルジーがあって好きなんですが)、そういうこともあるので・・・
メルボルンはやっぱりささやかなのが似合ってるようなところがあるんじゃないかな。そんなメルボルンが好きなんです。

そういえばこないだ再開したHamer Hallの辺り、新しくなったのをまだ見に行ってないので近いうちに行きたいですね。改装前も奏者・聴衆としてお世話になった場所ですがこれからもよろしく、の思いをこめて(奏者としてお世話になれるといいな!)。日曜日のマーケットも楽しみです。


今日の一曲: ドミトリ・ショスタコーヴィチ ビオラソナタ(ビオラ・弦・チェレスタのための編曲)

米Amazonでのリンク
・・・に加えてなんとYoutubeで動画がありました。

こないだのエントリーで書きましたが(そんなのばっかりですね今日)実際にダウンロードして2回聴いたので改めて紹介。
といってもこの曲は割と繊細な部分とかスローな部分とか仕事しながら聴いただけじゃ把握できないところいっぱいですねー・・・せめて全3楽章が1つのトラックじゃなかったら・・・

ショスタコーヴィチの作品のなかでビオラソナタは死を目前にして書かれた曲(完成されてはいます)。晩年の作品に共通する不思議な透明さを伴った暗さがビオラという独特の闇と暖かさを持った楽器で奏でられるのがたまらない。

ショスタコの曲の中でもビオラソナタは元々ものすごい好きな曲で。おそらく一番・・・?去年の20世紀音楽カウントダウンの投票では他のショスタコの曲を差し置いてこれを10曲の中にいれましたしね。一部とはいえ弾いたことがあるのも愛着につながっているのは確かです。
だからこそ「編曲」を聴くのはちょっと気が引けるところがあったのですがお察しの通りチェレスタの存在にやはり心惹かれ。
でも「なぜチェレスタ?」とは思わなかったんですよ。曲を知っていて、弦楽器の限界というか不得意というかを良く知って、そうすると自然とチェレスタが欲しくなるところが見えてくるんですよね。

実際編曲でチェレスタが出てきたところは(聞こえた限りは)思った通りの箇所でした。それが結構いい効果だしていて。
ピアノ→弦楽オケの編曲もなんというか理に適ったというか、悪く言えば「まあそうなるわな」みたいな。ショスタコーヴィチのオーケストラ・弦楽器使いを考慮するとこうなるな、という感じ。だからショスタコの晩年の作品の独特な雰囲気は確かに再現されている。

第1楽章、第3楽章はその弦のアレンジが上手く効いたんですが第2楽章はちょっと「ん?」と首を傾げるようなところもありましたね。でも音の分厚さとか響きはたとえば交響曲第14番とか晩年の弦楽四重奏に通じるところがあって。第3楽章のあのどこか宇宙的なサウンドはやっぱりピアノじゃ出せないですねー。
そうそう、第2楽章のチェレスタのエントリーはしてやったり!な感じですよ(笑)やっぱりそこか!そしてやっぱり効果覿面!みたいな。

やっぱりオリジナルが一番、なのですがものすごい好きな曲の編曲としては結構好感度高いです(チェレスタの使い方間違ってませんでしたしね)。面白いものを見つけてよかった、と素直に思います。
とりあえず元のビオラ&ピアノ版をまず、そしておまけにこの編曲も、という感じでお薦めしたいです。

 

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