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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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豪ABC Classic FM: The Classic 100 French Music Countdown終了!
前回のエントリーに拍手ありがとうございました(コメントは別途返信済です~)。
そしてさらに!ハープシコードについてのエントリーと楽器と性格チェロ編のエントリーに拍手ありがとうございます!(遅れてすみません、昔のエントリーのは気づきにくいんです・・・)

今日はオーストラリアのABC Radioでやっていたフランス音楽カウントダウンがフィナーレに、ということで早速所感をまとめたいと思いまして。 完成した100位~1位のリストはこちら。(試聴もあるみたいです)
今まだ日本にいるということもあり、前回みたいにしっかり追っていたわけではないのですが、去年よりはラストにどきどきした・・・かな。

まずはトップ5位を書き出し:
5位 ビゼー 「真珠採り」
4位 サティ 「ジムノペディ」
3位 フォーレ レクイエム
2位 サン=サーンス 交響曲第3番(通称「オルガン交響曲」)
1位 ビゼー 「カルメン」

そして私が投票した曲5つとその順位を:
1) エクトール・ベルリオーズ 「幻想交響曲」 (7位)
2) クロード・ドビュッシー 交響詩「海」 (12位)
3) モーリス・ラヴェル ピアノ三重奏曲 (55位)
4) フランシス・プーランク 六重奏曲 (ランク外)
5) オリヴィエ・メシアン 「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」 (97位)

今回は全体的に「それそこ来るか?」と疑問に思ったものよりも「大健闘!」と喜んだ場面が多かったです(それについてはまた後ほど)。ポピュラー系統ももちろん高い順位に入る中、玄人好みの曲もしっかり入ってくるのはやっぱり嬉しい。自分の投票した曲の順位をみてもこの括りに関しては一般とマニアの間の認識の差はそんなに大きくないのかな、と。
ドビュッシー、ビゼー、ベルリオーズ、ラヴェル、サン=サーンスなどのロマン派~20世紀初頭の大御所が次々とランクインする中バロック勢もちらほら顔を見せたり、映画音楽も入っていたり、ジャズ界隈からもひょっこり(93位)。

カルメンが1位なのはなんかまあ、しょうがないよなあ、というところがあります。スペイン舞台でスペイン色が強いけれど、そして本当に飽きるほど聴いたり弾いたりしてきてるけど、でもこの曲の知名度とか人気には(ジャンル問わず)敵わないところがある気がします。
第2位のオルガン交響曲はやっぱり映画「ベイブ」(オーストラリアも制作国の一つで、音楽は前回のカウントダウンで健闘したNigel Westlakeが書いてるのです)の影響が大きいかな。それからやっぱり欧米など大きな教会があるような国だとこの曲には触れる機会が比較的多いのもあるかも。
フォーレのレクイエムがこの順位、というのはちょっと意外なとこがありますね。素晴らしい音楽なのはもちろん知っていて、好きな曲でもあるのですが一般の認知度はそんなに高くないと思ってたので。

フランス音楽だと室内楽や歌曲など小さい編成の曲が光る中、それでもランキングに大編成の曲が多く入るのはやっぱり前回と同じでインパクトと知名度と、あと票割れもあるかな、と思います。一番私が票割れを懸念していたのがプーランクで(彼は様々な楽器のためにソナタや室内楽を書いてるので)、それに関してはなんとかフルートソナタがランクインしたのみ、という結果がまさにそれの反映なのかな・・・

あ、あと前回のカウントダウンでも結構上位に入ってて今回も8位に入ったJoseph Cantaloubeの「Songs from the Auvergne」が気になります。前回も気になってたんですがフォローアップし忘れてたので今回こそは忘れないようにしたいです。
そのすぐ下の順位の9位、ラヴェルのボレロはもう始まる前から「どうせ上の方に入るんでしょ」みたいな雰囲気がありましたが(なんせどこでも使われる曲で、さらに繰り返しばっかりなのでネタにされたり本当に飽きられたりするんですよ)、良い意味でも悪い意味でも期待を裏切らずこの順位に。AメロとBメロを17分くらい繰り返すだけでこの順位ですよ(笑)

面白かったのはベルリオーズの頻出ですね。ランキングの真ん中辺りを中心にかなりの曲が出てました。一般に知られてる曲、そしてプロが出会う曲も出尽くしたんじゃないかな。
そんなに演奏頻度は高くないんですよね、ベルリオーズ。幻想交響曲とか夏の夜とかロミジュリちょこっととかローマの謝肉祭とか、そこらへんくらいか・・・レクイエムとか編成が巨大だったり変わったりしててほとんど演奏されないものまでランクインされてて、やっぱ愛されてるなあー、と思いました。

ドビュッシーが5位以内に入らなかったのはちょっと惜しかった(6位に牧神の午後が入ってる)。ドビュッシーやラヴェル、メジャーどころから手堅いレパートリーまでかなりの曲がランキング全体に出てるんですがそれぞれの曲の順位をちょこっとずつ上げてあげたいような印象(ボレロを除く)。
ただドビュッシーの「海」が12位、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」が31位なのは本当に嬉しい。この2人の作曲家の作品で言うと必ずしも巷でよく聴くものではないのにこんなに評価が高いのは色々希望が持てます。
そんななかメシアンは97位に20のまなざし、51位にトゥーランガリラ、24位に時の終わりのための四重奏曲が入って心から嬉しいです。キワモノじゃないですよー、立派に一般に認められた手堅い定番レパートリーですよー(笑)
欲を言えば同じメシアンで例えば鳥のカタログやコンセール・ア・カトルなんかもランクインするような社会になって欲しいですね。

さて、今回大健闘したと思った曲のリストはこちら:
メシアン 「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」(97位)、プーランク フルートソナタ(72位)、ドビュッシー チェロソナタ(63位)、Durufle レクイエム(60位)、プーランク オルガン協奏曲(57位)、ラヴェル ピアノ三重奏曲(55位)、メシアン トゥーランガリラ交響曲(51位)、フォーレ 「月の光」(46位)、ラヴェル ダフニスとクロエ(31位)、メシアン 時の終わりのための四重奏曲(24位)、ドビュッシー「海」(12位)、フォーレ レクイエム(3位)。

先ほど書いたように今回のカウントダウンのランキングでは(前回と違って)クラシックに精通している人と比較的そうでない人の認識にあんまり差がなく、例えばテレビなんかで聴かないような、でもものすごく素晴らしい作品が多数上位に上がっています。さらに各時代・ジャンルからフランス音楽・フランス文化(そして言語)の魅力を存分に含んでいる曲がたくさん入っています。(1位はさっき書きましたがスペインっぽいとこ多いですけど)
なのでこれを機にフランス音楽に触れ合う(触れ合って欲しい!)際には素直にランキングの上の方から気になる曲を拾っていくのがいいと思います。
是非先ほどのリンクなり別のところなりでちょこっと聴いてみてください。

さて、今日の一曲はランキング1位からになるのですが日本に来る前に買ったCDがあと1枚紹介残ってる上にAmazonで新しくCDを買ったのでそちらも選んでいくつもりです~


今日の一曲: ジョルジュ・ビゼー 「カルメン」より「前奏曲」



あーあ、オルガン交響曲とか幻想とかの方が書くの楽しいんだけどなー・・・と思ったのは内緒です。
でも何度も弾いている曲ですしね、色々書くことはあるんです。

「カルメン」は歌劇、つまりオペラですが必ずしもいつも全曲弾かれるわけではないんです。例えばオペラのハイライトをやるコンサートもありますし、ライトミュージックのコンサートで「ハバネラ」とかのアリアを選んでちょろっとやったり、あとは「カルメン」のオケのための組曲もいくつか書かれていますし。
だからコンサートという形式だけでも演奏される場の種類がいくつかあるわけです。で、知名度も相まって演奏頻度もさらに増える、という。

フランスの作曲家って必ずといっていいほど外国を舞台としたり外国のスタイルで曲を書いた経験があるんですが、そのなかでもスペインは特に多く題材にされています。そのフランス人によるスペイン音楽の筆頭がこの「カルメン」なんですが、その人気からするとスペインに憧れてるのはフランス人だけじゃなくて世界中なんだなあ、ということがうかがわれますね。

さて、オケ用の組曲で一番有名なホフマンの編曲で第1組曲の最初に弾かれるのがこの「前奏曲」。オペラでの扱いは「運命のテーマ」ということになっているようですが・・・
なかなか前奏曲でこれだけネタバレするのも珍しいなあ、と思う曲です(笑)
もちろん前奏曲はオケのみなので言葉はないです。ただそれがどれだけこの物語のエンディングを明確に表しているか、というのが面白い。
(ただギリシャの古典とかイギリスの戯曲とかだと最初のナレーションとかでエンディングをばらす場合もあったようななかったような・・・そういう印象なのですが)

そんな不吉で激しく暗い前奏曲ですが、なんとなく主人公カルメンのバックグラウンドがジプシーであることをうまく表している気もします。
ジプシーというと色んな作品で「占い女」であるジプシーの女性が出てきますから、逃れられない運命、不吉な予感などを表すのにこの音楽は確かにぴったり。

この前奏曲、チェロがメロディーを弾くんで楽しいんですよ(笑)難しくはないメロディーを、精一杯の激しさ、情熱、不吉さをこめて弾きあげる、というのはチェロの本領発揮、といいますか。
他の弦のトレモロやチェロのメロディーにある刃のような鋭さが好きですが、その他楽器使いにも何かと「凶」という感じを表すようなところが多々あって、小さいながらもよく書かれてる曲ですね。

オペラ全体はちょっと長いかな、と思ったら(歌手は入っていませんが)オケのための組曲で名曲どころを聴いてみるのがおすすめです。もちろんハイライトとかアリアの詰め合わせなどで歌を味わうのもいいですよ。
カルメンのオケ組曲は同じビゼーの「アルルの女」(カウントダウンでは27位)のオケ組曲とよくカップリングされていますね。カルメンほどcatchyではないですがこれも特定の地域・文化への憧れが光る音楽です。
 

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