忍者ブログ
~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

詩と音楽(おそらく前も書いた話)
前回のエントリーに拍手どうもです~

新しいPCのおまけについてきたReader、ほとんど使ってません。あんまり外にでないというのももちろんありますが・・。
ただPCに入ってた論文いくつか入れました。縦書きのpdfはどうやらだめっぽいですが(文学作品の中でのヒグラシの話なのに!)日本語も英語もちょこちょこ入れてみました。あとは読むだけ。

前も書いたのですが読むときはがっつり、という読み方なので小説とか中身・長さがフルサイズ(自分基準)の本だとあんまり読まないと思うので。
だからちょこちょこ読めて、手元に置いておきたくて、ふと思いついたときに好きなところが参照しやすいということで詩集をいくつか入れとこうかな、と思いまして。
手元に置いておきたい詩集、と考えるともう7人ほど手元に置きたい詩人が浮かびます。例によって音楽を通じてその作品を知った詩人ばかりです。
ということで今日はその7人の詩人に関連のある音楽作品を紹介します。

1)ライナー・マリア・リルケ: ショスタコーヴィチ 交響曲第14番 第9楽章「詩人の死」
リルケの詩は出身国であるドイツを中心にたくさんの歌曲に使われていますが、私が知ってると言えるのはショスタコの14番(交響曲とはいいながらどっちかというと歌曲集)だけですね。リルケの詩は割とストレートで癖のない印象があるのですが、ショスタコの書くこの曲の繊細さ、弦の音の透明さはぴったりですね。死んだ詩人を前にして時と空間が凍り止まった感覚。

2)ギヨーム・アポリネール: ショスタコーヴィチ 交響曲第14番 第3楽章「ローレライ」
同じくショスタコ14番から。11つある楽章の中の5つはアポリネールの詩なんですが、その中で一番好きな「自殺者」(第4楽章)は好きだ好きだといつも話しているような印象なのでこちらを。こちらも詩が美しくて(あらすじは「ブレンターノのローレライ」と同じ)、それをオペラのようにレチタティーヴォとアリアに仕立てて詩の中で登場人物に動きがあるところと時がとまったようになるところを分けているのがうまくできてるなあ、と思うのです。あとチェレスタもいるよ。チェロソロから次の楽章につながるよ。

3)フェデリコ・ガルシーア・ロルカ: クラム 「Songs, Drones and Refrains of Death」より「Casida of the Boy Wounded by Water」
ロルカももとはショスタコの14番から知ったのですが、プーランクが彼の死においてバイオリンソナタを捧げてたり色々音楽家と縁がある詩人です。その中でもやっぱり何よりクラムでしょう。ロルカの詩の数々を歌曲にしているクラムですが、その詩と音楽との融合はこの曲が一番です。この最初から闇に満ちた曲を締めくくる、澱んだ水の深さと暗さが心の奥まで染み渡る音楽。ピアノの弾むような低音のリズムが後で夢に出る・・・かも。

4)ウィリアム・バトラー・イエイツ: ウォーロック 「シャクシギ」 第3楽章「The Withering of the Boughs」
イエイツの名前はケルト神話・ケルト史周りで聞いたことはあるけどあんまり読んでないです。作品も多いですし。ただ彼は日本の能などの作品を編纂していたりもしていて、これはイエイツの作品も日本の伝統芸能の作品ももっと知れとつつかれているのでは(汗)でもこの「シャクシギ」に使われてる詩は探して読みましたよ。音楽は一続きですが詩でいえばこれが一番好き。風景の描写がすばらしい。ウォーロックの音楽にも風を感じて風景に心が解けていくようなところがあり。でもなんといってもコールアングレの渋さに惚れ惚れします。

5)ウィルフレッド・オーウェン: ブリテン 「戦争レクイエム」より「Dies Irae - Lacrimosa」
いつもお世話になってる歌曲に使われている詩とその翻訳を乗せたサイトをみたらオーウェンはブリテン以外でも歌曲にしている作曲家がいてなんだかうれしかった(なんでかな)。Dies Iraeは他の楽章よりもさらに元々のカトリックのレクイエムの歌詞とオーウェンの詩のミックス&対比がてんこもりなのですが、Lacrimosaの部分はその名の通り涙のセクションです。ここで使われてる詩は「Futility」=「無駄なこと」というのですが、戦いの中倒れた仲間を起こそうとする詩とLacrimosaの立ち替わり入れ替わりが。言葉で説明できない不思議な成り立ち。

6)エドガー・アラン・ポー: ラフマニノフ 「鐘」 第3楽章
ポーは有名ではあるけれど案外歌曲になっている作品が少ないような。今回言及した他の詩人と比べて時代が新しいわけではないようだけれど大西洋の向こうだからなのかなあ・・・
ラフマニノフの「鐘」(毎回くどいようですがフィギュアで使われてない方)は音楽だったら第4楽章が一番のお気に入りですが元の詩だったら第3楽章の真鍮の鐘が圧巻。曲で使われてるロシア語版もしっかり韻を踏んでるのですが、元の英語版のたたみかけるような繰り返しと執拗な韻のパワーがすごい。表だった形ではなく狂気が伝わってきます。

7)ウォルト・ホィットマン: クラム 「Apparition」より「Dark Mother Always Gliding with Soft Feet」
ポーとだいたい似たような時代で同じアメリカでちょっと似た闇のスタイルのホィットマンは歌曲が結構書かれてるようで。うーむ。何はともあれまたクラムです。「Apparition」はホイットマンの「リンカーン大統領の追憶」という詩集の「When Lilac Last in Dooryard Bloom'd」という詩の中の「Death Carol」と呼ばれる部分を中心に音楽にしているのですが、このDark Mother~の部分はピアノ伴奏の音がほとんどなく、ほぼアカペラ状態。まるで空気か幽霊のように透き通っているながらもものすごい包容力を感じる声と語感に不思議と心地よさを感じます(それはこの曲の他の部分にも言えるかな)


ということで今回は詩を紹介するのではなく詩を重視して曲を選んで曲を紹介してみました。
そしてなんだかんだで曲をいくつか紹介したので今日の一曲はお休み。

拍手[1回]

PR
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Comment:
Pass:
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック