×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
前回のエントリーに拍手ありがとうございました。
今度は火曜日に行ったコンサートの感想へ。
メル響のコンサートでブリテンの「古い詩に新しい意味を持たせる」という話を書きましたが、このコンサートも(スケールは違うながらも)テーマがその考えにつながるようなところがあって、続けて2日行ってよかったですね。
今回のこの「Remastering the Vintage」というコンサートなのですが、ユースオケや大学のオケで知り合った、大学でトロンボーンを教えていたCharles McInnesという方が今作曲でMasters Degreeをやっていて、その課題として作曲した曲の録音を兼ねてお披露目、というコンサートでした。
演奏されたのは2曲だったのですがその間に曲の解説やディスカッションもあり。
演奏場所はメルボルン大学のGraduate Centreという、大学院にあたるMasters Degreeなどをやっている人達のための施設がある建物(古い建物です)にある、Gryphon Galleryという部屋でした。普通のサイズのグランドピアノが一つあって、プロジェクターとかも使えて。
下がバーになってて騒音が完全には防げないことを除くとなかなかいい演奏スペースでしたね。(特にプロジェクターとか使ったりする演奏にはいいかも)
さて、このコンサートのタイトル「Remastering the Vintage」は古き良きものを新しくリマスターする、ということ。たとえば録音でも(こないだ聖飢魔IIの初期アルバムがそうだったように)新しい技術でマスターし直して当時の録音技術では成しえなかった音質にしたり、それによって古いものを作り直すだけでなくより良いものにして、元の作品の世界をより鮮明に再現することなどを指します。
なので今回演奏されたピアノ独奏のための曲「Mirror Image」はショパンの前奏曲イ短調に、バイオリン独奏のための「Quiet Girl」はルチアーノ・ベリオのピアノのための小組曲にインスピレーションを得て、そして深く絡めて作曲されています。(そして後者はPeter Høegの同名の小説もベースになっています。これが音楽がらみ、というか人を調など音で感じる、というくだりがあって面白そうなので読んでみなくちゃ)
ちなみにベリオの小組曲はそれ自体が新古典派という20世紀の音楽だけれど古い様式を使って書かれている曲で、作曲者がその曲を知らずに聴いて「なんだこれは!?」となったのが一つのきっかけだったそうです。
新古典派の音楽ってそういう独特の雰囲気があるんですよね。古っぽいけどものすごく斬新な表現が所々に見えて、知らないで聞くと本当に不思議で、正体をつかもうとするほど惑わされる。
(この新古典派の音楽の不思議な感覚は音楽のスタイルの違いに親しんでると強く表れるのは明らかなのですがあんまりクラシックに親しんでない人でも感じるものなのかが気になりますね)
そういう風に古い作品を元に書いた曲という背景があるので、初めて演奏を聴くのと一緒に説明があるのは曲に取っつくのに助かりますし、曲をちょっとでも深く理解するのにいいですね。
特に今回聞いた作品二つはモチーフになった曲との絡め方が結構システマティックというか、論理的なところが結構あって、(聞くだけでは分からない)プロセスがしっかり曲に組み込まれていたので、説明とか分析とか見るのがとっても面白かったです。
特に好きだったのがバイオリン独奏の曲の最終楽章。元になったベリオの曲はバロック時代の組曲の最終楽章でよく使われたジーグという(イギリス周りの)踊りを元にしたのですが、この曲はそれをまた元にしたもの。なのでジーグの三連符の快活な感じとかは残っているのですがバロック時代のジーグとも、ベリオの作品ともまた違う21世紀の音楽に仕上がっていました(ちょっとロックとかの影響も感じたのですが気のせいかもしれない)。
作曲者さんは元はトロンボーン奏者で、今回曲を書くに当たってそれぞれの奏者(ピアノは毎度おなじみマイケル、バイオリンは大学時代からの友達です)と色々相談したそうですが、その課程で「バイオリンで複数のラインを同時に弾かせるにはどうしたらいい」ということになって(←ちょっと訳が上手く行かなかった)、バイオリン奏者の子がバッハやイザイの無伴奏ソナタを参考資料として提供したそうなのですが、その結果イザイのソナタみたいにめちゃくちゃ難しいパートになってしまったそう(笑)なかなかこの表現と技巧と奏者の困難というのが難しいですね。
ということで久しぶりの友達に会って話したり、音楽の話を聞いたり演奏を聴いたりとっても楽しくて意義ある時間でした。大きなコンサートでなくてこういう演奏機会もいいですね。
私も(今日は調子の悪さにピアノ休みましたが)諸々がんばらなければ。
今日の一曲はお休みです。
今度は火曜日に行ったコンサートの感想へ。
メル響のコンサートでブリテンの「古い詩に新しい意味を持たせる」という話を書きましたが、このコンサートも(スケールは違うながらも)テーマがその考えにつながるようなところがあって、続けて2日行ってよかったですね。
今回のこの「Remastering the Vintage」というコンサートなのですが、ユースオケや大学のオケで知り合った、大学でトロンボーンを教えていたCharles McInnesという方が今作曲でMasters Degreeをやっていて、その課題として作曲した曲の録音を兼ねてお披露目、というコンサートでした。
演奏されたのは2曲だったのですがその間に曲の解説やディスカッションもあり。
演奏場所はメルボルン大学のGraduate Centreという、大学院にあたるMasters Degreeなどをやっている人達のための施設がある建物(古い建物です)にある、Gryphon Galleryという部屋でした。普通のサイズのグランドピアノが一つあって、プロジェクターとかも使えて。
下がバーになってて騒音が完全には防げないことを除くとなかなかいい演奏スペースでしたね。(特にプロジェクターとか使ったりする演奏にはいいかも)
さて、このコンサートのタイトル「Remastering the Vintage」は古き良きものを新しくリマスターする、ということ。たとえば録音でも(こないだ聖飢魔IIの初期アルバムがそうだったように)新しい技術でマスターし直して当時の録音技術では成しえなかった音質にしたり、それによって古いものを作り直すだけでなくより良いものにして、元の作品の世界をより鮮明に再現することなどを指します。
なので今回演奏されたピアノ独奏のための曲「Mirror Image」はショパンの前奏曲イ短調に、バイオリン独奏のための「Quiet Girl」はルチアーノ・ベリオのピアノのための小組曲にインスピレーションを得て、そして深く絡めて作曲されています。(そして後者はPeter Høegの同名の小説もベースになっています。これが音楽がらみ、というか人を調など音で感じる、というくだりがあって面白そうなので読んでみなくちゃ)
ちなみにベリオの小組曲はそれ自体が新古典派という20世紀の音楽だけれど古い様式を使って書かれている曲で、作曲者がその曲を知らずに聴いて「なんだこれは!?」となったのが一つのきっかけだったそうです。
新古典派の音楽ってそういう独特の雰囲気があるんですよね。古っぽいけどものすごく斬新な表現が所々に見えて、知らないで聞くと本当に不思議で、正体をつかもうとするほど惑わされる。
(この新古典派の音楽の不思議な感覚は音楽のスタイルの違いに親しんでると強く表れるのは明らかなのですがあんまりクラシックに親しんでない人でも感じるものなのかが気になりますね)
そういう風に古い作品を元に書いた曲という背景があるので、初めて演奏を聴くのと一緒に説明があるのは曲に取っつくのに助かりますし、曲をちょっとでも深く理解するのにいいですね。
特に今回聞いた作品二つはモチーフになった曲との絡め方が結構システマティックというか、論理的なところが結構あって、(聞くだけでは分からない)プロセスがしっかり曲に組み込まれていたので、説明とか分析とか見るのがとっても面白かったです。
特に好きだったのがバイオリン独奏の曲の最終楽章。元になったベリオの曲はバロック時代の組曲の最終楽章でよく使われたジーグという(イギリス周りの)踊りを元にしたのですが、この曲はそれをまた元にしたもの。なのでジーグの三連符の快活な感じとかは残っているのですがバロック時代のジーグとも、ベリオの作品ともまた違う21世紀の音楽に仕上がっていました(ちょっとロックとかの影響も感じたのですが気のせいかもしれない)。
作曲者さんは元はトロンボーン奏者で、今回曲を書くに当たってそれぞれの奏者(ピアノは毎度おなじみマイケル、バイオリンは大学時代からの友達です)と色々相談したそうですが、その課程で「バイオリンで複数のラインを同時に弾かせるにはどうしたらいい」ということになって(←ちょっと訳が上手く行かなかった)、バイオリン奏者の子がバッハやイザイの無伴奏ソナタを参考資料として提供したそうなのですが、その結果イザイのソナタみたいにめちゃくちゃ難しいパートになってしまったそう(笑)なかなかこの表現と技巧と奏者の困難というのが難しいですね。
ということで久しぶりの友達に会って話したり、音楽の話を聞いたり演奏を聴いたりとっても楽しくて意義ある時間でした。大きなコンサートでなくてこういう演奏機会もいいですね。
私も(今日は調子の悪さにピアノ休みましたが)諸々がんばらなければ。
今日の一曲はお休みです。
PR