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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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メルボルン秋冬・芸術関連楽しみ
相変わらずゆっくりした毎日を過ごしています。今日は謎の微熱が出て首をかしげています。
風邪っぽさはないのに熱っぽさだけあるこの不思議。バイオリズム的な理由でそういうことはよくあるそうなのですが。

そして借りたCDはまだ聴いていません。(あ、そして今週の某本舗も)
CD借りて曲は増えましたがiTunesのライブラリ整頓はなんとか少しずつ進んでいます。今ちょうど自分のipodで一番トラック数が多いと思われるショスタコーヴィチのど真ん中。
(といっても前奏曲とフーガとか弦楽四重奏とかトラック数の多い曲数は複数録音を持ってたりするのです)

こないだ行ってきたコンサートはHamer Hallだったのですが、あそこのフロントエリアはHamer Hallだけでなくその周りでのコンサートなど芸術的なイベントのパンフレットがいっぱい置いてあります。
毎回毎回ですがコンサートには早く着いてしまったのでパンフレットを見ていたら面白そうなコンサートなどがたくさんあったので今回ちょっとざっと紹介します。

まずメル響から。(今気づいたのですが最近はコンサートプログラムのページにSpotifyで聴けるようリンクがあるんですね)
6月中旬のオールロシアプログラムがちょっと気になっています。なんといってもチェロのレパートリーのなかで最難関と呼び名の高いプロコフィエフのSinfonie Concertanteが生で聴けるのはちょっと珍しい。というかこの曲の並びは(はげ山の一夜を除いて)生演奏ではちょっと出会わないですね。
それから7月のマーラー5番。一年一回はマーラーを生で聴きたいですし、自分にとってはある意味原点の曲。
あとこのコンサートではBrett Deanの新しい曲が聴けるというのでこれも楽しみ(彼の曲はコンサートで色々聴く機会があるのですが録音がまだ手に入らないのがちょっと悩み)。

メル響は去年?一昨年?にベートーヴェンの9つの交響曲を演奏するミニシリーズを開催しましたが、今年はストラヴィンスキーの三大バレエ(火の鳥ペトルーシュカ春の祭典)を中心にした、時代背景もよく分かるミニシリーズを8月にやるそうです。全部とは言いませんが一つくらいは行きたいですね。
それに加えて8月はメル響はアメリカのミニマル・ミュージックの作曲家、ジョン・アダムズを迎えてオールアダムズのコンサートをやるそうです。

で、なかなか今年はメルボルンはアメリカのミニマル・ミュージックが熱い年みたいで。
Victorian Operaは来月(5月)にジョン・アダムズのオペラ「Nixon in China」を上演しますし(指揮者はユースオケでお世話になった指揮者さんです)、それとは別に7月末~8月始めにState Theatre(「バレリーナのスカート」の下)ではフィリップ・グラスのオペラ「Einstein on the Beach」が上演されたり。
これまであんまり熱心に聞こうとしてこなかったエリアなので演奏も聴きに行きたいですし、行けなくてもこれを機に聴き広げたいと思っています(その一歩として先日フィリップ・グラスのCDを借りてきたわけです。Einstein on the Beachもそうですが、一昨年のカウントダウンで聴いたAkhnatenも気になる!)

そして音楽ではないのですがMelbourne Theatre CompanyがArthur Millerの「The Crucible」をやるとパンフレットで見てだいぶテンション上がっています。
The Crucibleは学校の英語の授業でやった(そして長年授業で取り扱われた)戯曲で、もちろん戯曲自体も好きですが授業で映画版をみたり音読をやったり、社会倫理的な話も色々したのでとっても思い入れが深い作品。
さらに主演がDavid Wenham(指輪物語の映画でファラミアを演じた方)だそうで。どんな舞台になるか興味津々です。

さらにさらにNational Gallery of Victoriaではモネ展が5月10日から開幕。それに行くのはもちろんですが5月3日から開幕するCeleste Boursier-Mougenotという作曲家・芸術家の音楽と美術を組み合わせたClinamenという展示も見に行きたい。

(あと特別今じゃなくてもいいですしメルボルンの外なのですがタスマニア州ホバートの美術館Museum of Old and New Arts(MONA)にいってみたいですね。去年のメシアン・共感覚関連のイベントだったり、同世代の友達が見に行って評価が高かったりこっちでも広告うってたりで大変気になっているところです。)

ということで今年の秋冬もメルボルンは様々な芸術界隈のイベントにあふれています。もちろん今回紹介しなかったものもたくさん。
ただ外に出ないといけませんからね。気力をちゃんと起こさないと。多少調子が悪くても自分の心の栄養になることはちゃんと分かってるので。
(調子が悪くても芸術という餌で自分を外に釣り出すことができるメルボルンに住んでてよかったです(苦笑))


今日の一曲: Osvaldo Golijov 「K'vakarat」



こないだダウンロードしたクロノス・カルテットのCD「Night Prayers」に収録されている曲です。
あのアルバムはかなりじわじわ来ますね。ちょっと聴きにくい感じの曲だったり静かなところじゃないと聴けなかったりする部分もたくさんあるのですが、だんだん個々の曲にも親しみが湧いてきました。
そしてクラシック内外いろんなところの音楽が一見ばらばらに集まっているようで、でも聴いているとなんだかタイトル「Night Prayers」を通じて様々な意味の糸でつながっているようなのが感じられるようになって。

この曲はユダヤ教における休日に唱えられる祈りをベースにしているそうです。作曲者の公式サイトの説明には歌詞はYom Kippurの祈りの言葉、とあるのでつまりはチェロで弾く「Kol Nidrei」と同じ材料なのかな?詳しいことは分からないのですが。

先月のクロノス・カルテットのコンサートで「Sim Shalom」というユダヤ教(ポーランド辺り)の歌うような祈りの曲を(チェロが歌い手のパートを弾いて)聴いたのですが、以来こういう「歌のように唱えられる祈り」というジャンル(?)にものすごく心惹かれて。
ユダヤ教におけるCantorialだったり、イスラム教のアザーンだったり、ちょっとずつネットで探して聴いたのですが素晴らしいですね。特にユダヤ教のそれは(クロノスのコンサートでチェロが担当したように)ものすごく歌い方・声がチェロの音色や表現に近くて元チェロ弾きとしてはたまらないです。

この「K'vakarat」ではチェロでなく実際のCantorの方が歌っていて、弦楽四重奏が伴奏というか、そういうパートを奏でます。(ただし前述説明ページにはクラリネットと弦楽四重奏のバージョンもある、とのこと。これも面白そうだな)
音楽文化で色んな国のスタイルが違うのはもちろんですが、歌・歌声に関する好み・スタイルの違いはやっぱり顕著で面白い(ついでに言えばその歌のスタイルと言語の組み合わせも)。Cantorの透明だけれど太い、水のような存在感・質感がある声のすばらしさ。

そのスタイルに沿っている声のパートはもちろん、そして弦楽四重奏のパートも良いですね。
ハーモニー・音程や音の質感で適度な空間が作りだされて、声の邪魔にならないだけじゃなくて声のパートと一緒に時間的な自由さ、そして独特のairを作っている感覚がツボです。

とにかく闇方向での美しさは本当にピカイチな曲。長さは8分くらいで長すぎず。リンク先での試聴の箇所も良い感じですので試聴してみてください。
そしてこの曲を起点としてCDの他の曲に聴き広げていき、プログラム全体として捉えるのにつなげるポテンシャルもあります。単独でも購入できますが、CD全体の雰囲気はまたそれはそれで面白いので是非CD全体での購入をおすすめします。

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