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前回のエントリーに拍手ありがとうございます~
それから「Progressなう」のエントリーにも拍手増えててありがたいです。
前タランテラにを特集(?)しましたが似たような感じで今度はパッサカリアを紹介したいと思います。
パッサカリアは主にバロック時代(バッハ辺り)で使われた音楽の形式で、元々はどうやら踊りだったのですが、どちらかというと変奏曲に近いです。
だいたい8小節・16小節くらい?の決まったメロディー(大抵最初に低音で奏でられる)と和音進行が繰り返され、その上にのせるメロディーやパートが変わっていく形式。必ずしも常にそのメロディーがあるわけじゃなく、枠組み・和音進行だけ残ってることも。
ちなみに似たような音楽形式にはシャコンヌもありますね。
西洋音楽ではハーモニーで曲の緩急をつけるようなところもあるので同じメロディー・ハーモニーを延々と繰り返すということは音楽がぐるぐると同じところを回るような効果があります。
そしてその繰り返しがゆえに作曲家は曲に方向性を作ってうまいこと盛り上げるために工夫しなくちゃいけない、と思います。
ただその繰り返しと盛り上がりを上手に生かした結果まじない、呪縛のように働くようなところがあってそれが私は好きです。
それでは曲紹介に。
1)ヨハン・セバスチャン・バッハ 「パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582」
パッサカリアの王様といったらこの曲。パッサカリアの形式や特徴がよくわかる、そしてそのcraftの素晴らしさ、そしてオルガンという楽器のすごさまで味わえる曲です。パッサカリアの部分と(同じメロディーをテーマにした)フーガの部分、合わせて13分程。音楽が形を変えて展開していく様は宇宙のようで、長い旅のようです。
2)ブラームス 交響曲第4番 第4楽章
パッサカリアは交響曲の一部として使われることもあります。そういうケースは大抵最終楽章として使われるようで(ヴォーン=ウィリアムスの第5番とかウォルトンの第2番とか)。この最後に向かって盛り上がっていく感じがフィナーレに向いているのかな。ブラームスのパッサカリアはある意味バッハのそれよりも良い意味でドイツ臭い、厳しさのあるストイックな音楽です。
3)ショスタコーヴィチ バイオリン協奏曲第1番 第3楽章
20世紀の作曲家にもパッサカリアを書いた作曲家はたくさんいます。必ずしもバロック時代の形式をそのまま使うのではなく、現代らしく解釈したりしたものも。そんな中ショスタコのパッサカリアは結構「正当派」じゃないかな。形式は割と伝統的に、ただし魂はショスタコーヴィチの音楽そのまま。ヘビーで悲劇的で暗くて、とにかく強烈な曲。もしかしたら自分にとってお気に入りのパッサカリアかもしれません。
4)ラヴェル ピアノ三重奏曲 第3楽章
フランスでもパッサカリア曲はあります。ラヴェルのこの曲はそんなに伝統的な形式を感じさせなく、メロディーの絡み合いがちょっとフーガにもにた感覚で。ラヴェルの音楽としてもちょっと変わってるかな。これはこれで面白いパッサカリアで、それ以上にとても美しい曲です。
5)ブリテン 「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード」より「Dirge」
ブリテンのパッサカリアといったらオペラ「ピーター・グライムズ」のだと思いますが、最近出会って好きになったのがこの曲。パッサカリアの特徴、繰り返されるメロディーを最初から最後までテノール歌手が担当するという面白い構成。周りの楽器群のパートが変わるとはいえ、音楽の移り変わりを導く歌い手の技量が問われます。そしてなにより繰り返しの悲痛さが心にくる曲です。
6)ロドリーゴ 「3つのスペイン風小品」より「パッサカリア」
パッサカリアといえばオルガン、オケのための作品が多いのですがソロ楽器も一部の楽器なら演奏可能です。ピアノだとショスタコの24の前奏曲とフーガ(嬰ト短調)があるのですが、ギターならこれ。なかなか渋い曲ですが、スペインらしい暗さがあってバロックのギターを思わせるスタイルが好きな曲。
7)ヒンデミット 無伴奏ビオラソナタ Op.11-5 第4楽章
ピアノやギターのパッサカリアは繰り返し部分と変化する部分を分けて演奏できますが、バイオリンやチェロ、ビオラだとそれが難しいので和音進行で繰り返しを表す場合が多いです。にしてもこの曲はパッサカリアとわかりにくい。ただ雰囲気はありますし、特徴的な冒頭の和音とか、手を変え品を変え繰り返してるな、というのは分かるし。パッサカリアの魂みたいのはしっかりあって、その力強さと旅している感はバッハの無伴奏バイオリンのためのシャコンヌに劣らないビオラの名作品だと思います。
8)クラム 「マクロコスモス第2巻」より第10楽章「かんむり座より聞こえる声」
(もともとが知名度低い曲なんでこういうのもあれですが)驚くなかれ、この曲も実はパッサカリアなのです。繰り返されるメロディーはピアニストが口笛で吹いて、変化する部分はピアノの中の弦を弾いたり叩いたり、特殊奏法を駆使したパート。短い曲でパッサカリアに特徴的な盛り上がりはないものの、繰り返しのエフェクトや空間・時間の感覚はバロックから受け継がれてるような気がします。
今回紹介したり言及したりした他にもパッサカリアとして書かれた曲はたくさんあります。私の好みは20世紀が主ですが、もちろん元のバロック時代にもたくさん作品ありますしね。
先ほども書きましたがパッサカリアは「繰り返し」という形で縛りがあって、それがまじない、呪縛のように働くのが面白いです。
とりあえず最初はバッハ、そしてショスタコ、もしかしたらブリテン辺りがおすすめ。
今日の一曲はお休みです。
それから「Progressなう」のエントリーにも拍手増えててありがたいです。
前タランテラにを特集(?)しましたが似たような感じで今度はパッサカリアを紹介したいと思います。
パッサカリアは主にバロック時代(バッハ辺り)で使われた音楽の形式で、元々はどうやら踊りだったのですが、どちらかというと変奏曲に近いです。
だいたい8小節・16小節くらい?の決まったメロディー(大抵最初に低音で奏でられる)と和音進行が繰り返され、その上にのせるメロディーやパートが変わっていく形式。必ずしも常にそのメロディーがあるわけじゃなく、枠組み・和音進行だけ残ってることも。
ちなみに似たような音楽形式にはシャコンヌもありますね。
西洋音楽ではハーモニーで曲の緩急をつけるようなところもあるので同じメロディー・ハーモニーを延々と繰り返すということは音楽がぐるぐると同じところを回るような効果があります。
そしてその繰り返しがゆえに作曲家は曲に方向性を作ってうまいこと盛り上げるために工夫しなくちゃいけない、と思います。
ただその繰り返しと盛り上がりを上手に生かした結果まじない、呪縛のように働くようなところがあってそれが私は好きです。
それでは曲紹介に。
1)ヨハン・セバスチャン・バッハ 「パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582」
パッサカリアの王様といったらこの曲。パッサカリアの形式や特徴がよくわかる、そしてそのcraftの素晴らしさ、そしてオルガンという楽器のすごさまで味わえる曲です。パッサカリアの部分と(同じメロディーをテーマにした)フーガの部分、合わせて13分程。音楽が形を変えて展開していく様は宇宙のようで、長い旅のようです。
2)ブラームス 交響曲第4番 第4楽章
パッサカリアは交響曲の一部として使われることもあります。そういうケースは大抵最終楽章として使われるようで(ヴォーン=ウィリアムスの第5番とかウォルトンの第2番とか)。この最後に向かって盛り上がっていく感じがフィナーレに向いているのかな。ブラームスのパッサカリアはある意味バッハのそれよりも良い意味でドイツ臭い、厳しさのあるストイックな音楽です。
3)ショスタコーヴィチ バイオリン協奏曲第1番 第3楽章
20世紀の作曲家にもパッサカリアを書いた作曲家はたくさんいます。必ずしもバロック時代の形式をそのまま使うのではなく、現代らしく解釈したりしたものも。そんな中ショスタコのパッサカリアは結構「正当派」じゃないかな。形式は割と伝統的に、ただし魂はショスタコーヴィチの音楽そのまま。ヘビーで悲劇的で暗くて、とにかく強烈な曲。もしかしたら自分にとってお気に入りのパッサカリアかもしれません。
4)ラヴェル ピアノ三重奏曲 第3楽章
フランスでもパッサカリア曲はあります。ラヴェルのこの曲はそんなに伝統的な形式を感じさせなく、メロディーの絡み合いがちょっとフーガにもにた感覚で。ラヴェルの音楽としてもちょっと変わってるかな。これはこれで面白いパッサカリアで、それ以上にとても美しい曲です。
5)ブリテン 「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード」より「Dirge」
ブリテンのパッサカリアといったらオペラ「ピーター・グライムズ」のだと思いますが、最近出会って好きになったのがこの曲。パッサカリアの特徴、繰り返されるメロディーを最初から最後までテノール歌手が担当するという面白い構成。周りの楽器群のパートが変わるとはいえ、音楽の移り変わりを導く歌い手の技量が問われます。そしてなにより繰り返しの悲痛さが心にくる曲です。
6)ロドリーゴ 「3つのスペイン風小品」より「パッサカリア」
パッサカリアといえばオルガン、オケのための作品が多いのですがソロ楽器も一部の楽器なら演奏可能です。ピアノだとショスタコの24の前奏曲とフーガ(嬰ト短調)があるのですが、ギターならこれ。なかなか渋い曲ですが、スペインらしい暗さがあってバロックのギターを思わせるスタイルが好きな曲。
7)ヒンデミット 無伴奏ビオラソナタ Op.11-5 第4楽章
ピアノやギターのパッサカリアは繰り返し部分と変化する部分を分けて演奏できますが、バイオリンやチェロ、ビオラだとそれが難しいので和音進行で繰り返しを表す場合が多いです。にしてもこの曲はパッサカリアとわかりにくい。ただ雰囲気はありますし、特徴的な冒頭の和音とか、手を変え品を変え繰り返してるな、というのは分かるし。パッサカリアの魂みたいのはしっかりあって、その力強さと旅している感はバッハの無伴奏バイオリンのためのシャコンヌに劣らないビオラの名作品だと思います。
8)クラム 「マクロコスモス第2巻」より第10楽章「かんむり座より聞こえる声」
(もともとが知名度低い曲なんでこういうのもあれですが)驚くなかれ、この曲も実はパッサカリアなのです。繰り返されるメロディーはピアニストが口笛で吹いて、変化する部分はピアノの中の弦を弾いたり叩いたり、特殊奏法を駆使したパート。短い曲でパッサカリアに特徴的な盛り上がりはないものの、繰り返しのエフェクトや空間・時間の感覚はバロックから受け継がれてるような気がします。
今回紹介したり言及したりした他にもパッサカリアとして書かれた曲はたくさんあります。私の好みは20世紀が主ですが、もちろん元のバロック時代にもたくさん作品ありますしね。
先ほども書きましたがパッサカリアは「繰り返し」という形で縛りがあって、それがまじない、呪縛のように働くのが面白いです。
とりあえず最初はバッハ、そしてショスタコ、もしかしたらブリテン辺りがおすすめ。
今日の一曲はお休みです。
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