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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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銀貨になった作曲家

前回のエントリーに拍手ありがとです~
そしてちょっと間が開いてしまいました。リサイタルの告知など色々始動しててちょっと焦っているやら心配やら。集客がんばらないと。

今日はちょっとリサイタルのプログラムを通して弾いて、それから録音してみました。全部は聴きませんでしたがテンポが焦ってないかとか、あとおおまかなバランスとかサウンドとかをチェック。
意外と聞いても大丈夫な演奏でした(笑)というのは主にテンポの面で焦って無くて、気持ち分だけ落ち着ければベストかな。ただ強弱の幅とか横の線とかもちょっとなんとかするべきところも多々あります。
今のところはプログラム全体弾けることは弾ける状態ですが’、良い演奏にしていくプロセスが必要。自信が付いたところでもっと詰めていかないと。

そんな練習もあり今右の小指の外側がすごい勢いで皮がむけています(汗)
今回のプログラムに限らずなことなんですが(オクターブを指の端で捉えるので両手とも親指・小指の外側はある程度皮がむけたり固くなったりします)、特に今回鳥のカタログを始め高音の負担が大きい曲・箇所が結構あるらしく。
練習時間は相変わらず2時間ほどですが結構な負担なんだろうなあ。

今日はTwitterでいくつか面白いクラシック界隈のネタやニュースが入ってきました。
一つ目はAustralian Chamber Orchestraのアカウントから。
なんでも10歳の女の子から要望のお便りが来たそうで。それがこちら(英語)。
中身は要約するとACOの奏者達、そして聴衆もみんな「Onesies」(フード付きのジャンプスーツ)を着るコンサートをやって欲しい、とのこと。
アイディアもほほえましいのですがPSの部分がまた面白いです。ACOのコンサートに毎回行っていることを伝えてるだけでなくブラームスのピアノの曲がお気に入り、ということまで書いています。なんてしっかりした子、そして筋金入りのクラシックファン。

そして今年はブリテン生誕100年。イギリスやオーストラリアでもちょこちょこコンサートを通してお祝いされている様子ですが、イギリスでこのたびその記念でブリテンが50ペンス硬貨のデザインになったそうです。

こちらのニュース(英語)に詳細と実際の硬貨の写真があります。50ペンス硬貨はなんと7角形(オーストラリアの50セント硬貨は12角形)。
ブリテンの肖像画ではなく、五線譜の上にベンジャミン・ブリテンの名前、作曲家である旨、生年、そして彼の作品「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード」の「夜想曲」の歌詞が一部書かれています。(歌詞はアルフレッド・テニスンの詩)

こうやって自分の好きな作曲家が硬貨になるってとても嬉しいです。以前フランスのお札にドビュッシーの肖像画が使われたり、パラグアイのお札にバリオスの肖像画が使われていたり、ということも聴いていますが、今年改めてブリテンの音楽にはまったのもあってタイミングの要素も喜びを強めているみたいです。
それに上記セレナードも今年ものすごく好きになった曲なので硬貨にチョイスされて嬉しいです。
ブリテンが歌詞にしている詩はすっとしたインパクトがあって、その音楽のスタイルと独特な結びつき方をしていると思います。曲を知ってれば言葉を見ただけで音楽の感じが自然に出てくるような。このフレーズもそういったところがあって、銀色の硬貨に銀色の文字で輝いているのを見るのは感激です。

ということでどうにかしてその50ペンス硬貨手に入りませんかねえ(笑)可能ならばぴっかぴかの状態で欲しいのですが。まず特別版硬貨として出てから一般流通するらしいんですがなんとか。シティのBlock Arcadeにあるコイン屋さんとかに入ってこないかなあ・・・

ブリテンは20世紀、そしてイギリスの偉大な作曲家ですが、例えばエルガーやヴォーン=ウィリアムスとかと比べるとちょっと知名度は低い(特に作品自体は)ところがあったり、取っつき難い作風でもあったり。でもその音楽は20世紀・イギリスを色んな側面で代表しています。
それに音楽とはちょっと別のところで同性愛者としての面も今の社会においてもっと知られて欲しいところがあったり。
なのでこの硬貨を機にベンジャミン・ブリテンとその作品がイギリスのみならず世界中にもっと知れ渡るように願っています。


今日の一曲: ベンジャミン・ブリテン 「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード」より「夜想曲」



今年大々的にはまった曲で、すでに何回か言及している曲ですが今回は紹介しないわけにはいきません。
ブリテンの数ある素晴らしい歌曲の中の1作品で、彼の多くの歌曲と同じく英語の詩が歌詞として使われています。歌詞はこちら(英語)。実はまだ全楽章歌詞と照らし合わせながら聴いてないんですよね。
今回硬貨に使われたのはこの「夜想曲」の中の「Blow, bugle, blow, set the wild echoes flying」という部分です。

私がブリテンの音楽を知ったのは実はショスタコーヴィチ経由で(同時代で交友があって、作風も共通点があってチェロの作品も多くて)。この2人は似たような「闇」を扱うイメージが強かったのですが、どちらも聴き込むうちにかなり違う側面も見えてきて。
ブリテンの音楽ってものすごく軽いんですよね。暗いイメージからなかなか気づきにくいんですがものすごく透明で、風のような軽さがある。


この楽章ではその風の様な弦の音の動きが強く感じられます。
歌のパートも「Flying」の歌い方だったり、「Dying, dying, dying」で羽根がふわふわと地に降りていくような繊細なフレーズの終わり。
明るい光にもどこかひねくれた色があるんですが、それでも透き通っている。
なかなかここまで空気のような音楽ってなかなかないような気がします。

今回も持ってるのと同じ奏者の演奏(ただしCDは違う)をリンク。
紹介したのは「セレナード」の中の「夜想曲」ですが、ブリテンはまた別にテノールと楽器アンサンブルのための「夜想曲」という曲を書いています。こちらは我らがバリー・タックウェルがホルン吹いてるのでこちらももっと聴いて知りたいです。

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