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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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今夏も白いやつがやってくる
前々回のエントリーで夏だと言いましたがやっぱりどうも怪しいメルボルンです。
今日は風が吹いたり雨が降ったり寒かったり、かと思えば急に晴れて明るくなったりまた雨が降ったりまあよくそんなに変わるなあと思うくらい。
ただ実際問題雨風で頭が痛くなったり気分が沈んだり息苦しくなったりちょっと大変です。

そんな中わくわくする知らせが入ってきたのですが本題のわくわくとは別に一つ。
PozibleというクラウドファンディングサイトにオーストラリアのHush Music Foundationという団体の寄付プロジェクトがアップされていました。
Hush Music Foundationは特に小児科病院において子供から大人まで、患者さんやその家族にとって病院という場のストレスを音楽によって軽減することを目的とした団体だそうです。
オーストラリアの音楽家の作曲・演奏を集めた「Hush Collection」を発行していて、病棟や治療室などで流すだけでなく、一般に販売した売り上げを音楽療法や治療の研究、患者・家族のケアなどにあてているとのこと。
詳しくはこちら

今回の寄付プロジェクトはその「Hush Collection」の第13弾の発行にあたって必要な費用を募るもの。CDはThe Magic Islandというタイトルで、オーストラリアを代表する(存命の)作曲家達がずらっと名を連ねるCD。演奏は新しい音楽、特にオーストラリアの音楽に強いタスマニア交響楽団。病棟などで流す音楽ということもあり聞きやすい曲がそろっています。
試聴はこちら。寄付がターゲット額に達した場合$20寄付でmp3ダウンロード、$30寄付でCDとして購入となるそうです。(12月はちょっと郵送が遅れたりするので私はmp3ダウンロードにしました)
Hush Music Foundationの活動も素晴らしいのですがオーストラリアの音楽に触れる機会としても素晴らしいプロジェクトです。

さて、本題。今年の2月に開催され大盛況だったWhite Night Melbourneが2014年も帰ってきます!
White Nightは夏の夜にメルボルンのシティ周りでさまざまなパフォーマンスやイベントが行われたり、公共施設が特別展をやったりイルミネーションで街を一変させたり一晩中シティが賑やかになる、そして別世界になるお祭りです。
2014年は2月22日に開催。公式サイトにもイベント情報などたくさんあります。

前回もそうですが、White Nightはエリア毎にテーマが決められています。メルボルンの街は小さいですが、多岐にわたる芸術を扱うバラエティに富んだイベントがそこここにたくさん。
例えば昔公衆浴場だったMelbourne City Bathsのプールでのシンクロナイズドスイミング、 Bourke Streetの歩行者天国でのジャズ演奏、Alexandra Gardensの星々をかたどった照明などメルボルンの様々な名所に密着してその魅力を生かしたイベントもあり。
さらに去年大好評だったダンスイベントやハンドクラフトなど参加型のイベントもいくつかあるそうです。

今回ももちろん参戦予定。仕事が忙しい時ですが夜中なら平気。
前回の教訓としては動線まではまあいいけど事前に行きたいところを決めていくこと、あと集団行動イベントと時間がかかりそうなイベントはなるべく避けること。前回より行動範囲を広げて今まであんまり行ったことのない施設にも足を運んでみたい。
ちょっと今目移りしてどれに行こうか全くわからない状態なのですがゆっくり決めたいと思います。

見に行くところはいいですけど飲みにいくところもちゃんと事前に考えとかないとですよね。場所見知りですしあと去年はどこも混んでたみたいですし。ジェラート屋さんも並んでましたし。(それも楽しみ)
あとは天気と電車かな。前回は祭りが一晩中続くのにもかかわらず電車は通常の土曜日ダイヤでちょっと急ぎ足になってしまったので。(そんなに遅くなるとは思いませんが電車があるというのは安心します。あとトラムは一応一晩中通ってました)

ということで今年の夏もまた一つ楽しみが出来ました。
まだ先ですがしっかりメルボルンの夏を楽しみたいと思います。


今日の一曲: パウル・ヒンデミット 組曲「1922年」より第5楽章「ラグタイム」



今回夜の祭りということでこの組曲から第3楽章の「夜の音楽」を紹介しようかなーと思ったのですが紹介するならこっちの方が面白い。

そもそもこの1922年組曲はヒンデミットが当時流行りの音楽を取り入れて作曲してみた作品で、本人はそんなに気に入ってないというかそんなたいした物じゃないし、みたいな評価だったという話も。
でも歴史的に考えるとこの頃のジャズとかのスタイルの発展やダンス文化、時代の雰囲気などが現れてて面白いと思います。それに1922年といったら第1次・第2次世界大戦のど真ん中。ヒンデミットの生まれ育ったドイツは敗戦後の諸々でものすごい時代だったはず。

この時代にジャズなどポピュラー音楽の要素を取り入れた作品ってこの組曲以外にも色々あるのですが、そんな作品群によく現れるのがラグタイムというスタイル。
当時のクラシック音楽にはなかったシンコペーション(リズムのずらし)が特徴的で、ストラヴィンスキーやガーシュインなどが作品に取り入れています。

このラグタイム、元はダンスなのですが(というかストラヴィンスキーの「兵士の物語」でのイメージが強いんだ)、このヒンデミットのラグタイムはちょっと違うキャラクターです。
人間の音楽ではなく機械の音楽。
そういう解釈は私個人のではなくこの楽章の冒頭に作曲家の注釈として「ピアノのレッスンで習ったことは全部忘れること。レの♭を4番目の指で弾くか6番目の指で弾くかとかそんなことに長いこと悩む必要はない。この曲を弾くときは荒々しく、だがリズムはいつもきっちり正確に、機械のように弾くこと。ピアノを面白い打楽器のように思いそう扱うこと。」と書いてあるのです。
(元はドイツ語で読めないのでここの英訳から訳しました)
ちなみにこの曲のリヒテルによる録音(私の手持ちと同じ)がYoutubeにアップされてるのですが「6番目の指って!?」というコメントに「5番目と7番目の間に決まってるじゃん」という返事がついてて笑いました。

でも練習してて思ったのですが機械のように弾くって結構大変ですよ。この荒々しい鋼鉄のようなタッチを常に!maxで持続させなくちゃいけないので。全ての音を同じタッチで弾くのも大変ですし、短い曲とはいえ最大出力をずっと続けなくちゃいけないですし(強弱関係なく)。人間なんでちょっと気抜くと音が力を失うのですよ。

そんなこの曲ですが前述リヒテルの録音は素晴らしいというかそれ以上に面白い。
一言でいうとソヴィエトマッチョ。ずっと最大出力で、一つ一つの音が鋼鉄のような四角さと重さ。ワイルドな機械です。
国と時代はちょっと違えどソヴィエトという環境も1922年辺りのドイツの環境と通じる暗さがあるんじゃないかな、と思わせるような類似と相違が交錯する演奏です。
ただ難しい事なしにちょっと吹く面白さもあるので(曲由来・演奏由来どっちも)ちょっと聴いてみてください。上記動画の後半です。
CDはリヒテルが20世紀のレパートリーを色々演奏している詰め合わせになっています。いいCDですよー。

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