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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Cathexis「Shatter Me」コンサート感想+α
引き続き不調です。
今日ちょっと精神科医に話しにいったら一連の変化はやっぱり(季節におそらく関連してる)双極性障害の範囲内の不調とのこと。
話したり文章にしたりが難しかったり、諸々頭で処理が難しかったりというのはその一部としてちょっと認知機能が低下しているらしいです。その中でも例えばピアノを弾くこと全体としてだったり、道を歩いて渡ったりとかが難しいのは各機能を統轄する「実行機能」が衰えているみたいです。
ちょっと認知機能が低下しただけでピアノ始め色々しんどくなりますがそのうちまた良くなるはずなので今は無理せず、生活リズムを崩さないようにしてやり過ごすしかなさそうです。
あ、それから血液検査は精神科医が頼んだリチウム関連は問題なかったのですが、GPが頼んだ鉄関連検査では鉄分ちょっと低めだったのでそっちもなんとかせねば。

さて、昨日は外に出るのがしんどいのを押してコンサートに行ってきました。こんな時期ですし今年最後のコンサートになるかな。少なくとも今後予定はない。
行ってきたのは以前行ったことあるシティのForty-Five Downstairsというギャラリー。
Cathexisというアンサンブルのデビューコンサートでした。大分会ってなかったピーターがピアノを弾いていて、あと打楽器奏者がユースオケで昔弾いてた人で。
編成はフルート、トランペット、打楽器、ピアノなのですが、常に4人が一緒に弾いてるわけではなく様々な組み合わせで弾いたり、音楽だけでなく他の芸術形態からゲストアーティストを招いてパフォーマンスを行うとのこと。
今回はダンサーが映像出演した他、照明デザインなどにも重きを置いていました。

基本彼らが演奏するのは新しい音楽で、初演作品だったり彼らのために作曲された作品もあり。
そして最後に演奏された曲は即興演奏で、そのベースをピーターが作ったという作品でした。
コンサートを通じて難解な曲揃いでこんな頭の状態で行かなくちゃいけなかったのが本当に悔やまれる。

タイミングをちょっと失ってましたがここでプログラム。
「Shatter Me」 演奏:Cathexis
Stephen Feigenbaum「Angel」(4人)
Cecilia Arditto 「Musica Invisible para flauta y bailarina」(フルート+映像)
James Rushford 「Glorious Union」(トランペット)
バッハ「シチリアーノ」BWV 1035 ~ Salvatore Sciarrino 「Siciliano」(ピアノ+フルート)
Liza Lim 「Ehwaz」(トランペット+打楽器)
Peter de Jager 「Helical Fractures」(4人+映像・即興)

今回特にすごいと思ったのがフルート奏者のソロ。フルートって低音がほぼない楽器で一度に一つしか音を奏でられなくて、わりとできることが限られてる楽器なのですが、それがフルート一本であれだけ世界を構築できるとは。単純に特殊奏法で音色の幅が広がったから、ということでもないんですよね。(20世紀のフルートってその前の時代とほんと別物です。ここらへんクラムが開拓したエリアなんじゃないかなー・・・)
全く同じことはトランペットのソロについても言えるのですが、今回の演奏で「世界を感じる」という意味ではフルートに軍配だと思います。

あと最初の「Angel」も良かったです。終始ppp以下の音量で作りあげるのは世界を包む「天使のように」柔らかい光。全体的なエフェクト、そして照明が素晴らしかった。

普段クラシックを知らない人、知ってる人で結構打楽器を過小評価する傾向が広くあるように思うのですが打楽器ってオケでの働きとソロ・アンサンブルでの働きは全く別です。後者のそれはほんとうに超人的です。
今回の「Ehwaz」の演奏でもメインで前にあるのはビブラフォーンなのですが、その周り至る所にぐるっと楽器(金属のチューブやボトルなど含む)がおいてあって、異種の楽器を同時に叩くことが本当に多くて。注意して見てるつもりでも叩いたところを見てない銅鑼が揺れていたり、どうやって演奏してるのかわからない(汗)
で、その異種の楽器を組み合わせることによって生まれる新しい音もまた面白かったです。

コンサート後はピーターと久しぶりに話したかったのですがなんせ調子が悪いので日本のお土産(白雲神社の御守り含む)を渡して挨拶して帰りました。今度またゆっくり。
そして今後Cathexisの音楽以外の表現形態も巻き込んだパフォーマンスを楽しみにしています。


今日の一曲: トーマス・アデス オペラ「Powder Her Face」のピアノ版パラフレーズ 第4楽章

いつものフォーマットのAmazonリンクの表示がうまくいかなかったのでこちらからリンク

今日ちょっと大学の図書館でワーグナーのリスト編曲のCD・楽譜(愛の死)、それからアデスの「Powder Her Face」のオペラスコア・オペラ全曲のCDを借りてきました。
CDはまだ聴いていないのですがリブレット(台本)・スコアは一通り目を通しました。オケ版の舞踏組曲、ピアノのパラフレーズがオペラのどこらへん、というのはだいたい分かったかな。

あらすじは大体読んでいて、題材となったアーガイル公爵夫人マーガレットの話はちょろっと読んだのですが、改めてスコアを通してみるとこのオペラ、ただの貴婦人のスキャンダルを描いた作品ではないです。男と女、上流階級とその他の人々など2つの対照的なエレメントのぶつかりだったり、そして貴族の時代から現代までの時の流れが連続的になるよう書かれていたり。
最後のシーンは晩年の1990年(最近!)が舞台で、夫人の時代の流れに取り残された化石のようなモノローグを読んでいるだけでなんともいえないもの悲しい気持ちになります。

スコアを見て面白いのは(英語だから歌詞もさくさく読めるってのもありますが)作曲家が発音などこだわりどころに細かい指示を入れてたり。「Because」のところを「Whores(売春婦達)」と韻を踏むように発音する、とか。Oftenを登場人物の一人には「オフン」、もう一人には「オフトゥン」と発音させたり(どっちも正解ですが、違いはある)。
あとスコア見ただけでどの歌のパートも難しいのがものすごーく分かります。

で、今ピアノ版で練習してるこの第4楽章はオペラのエピローグに当たるところなのですが、夫人が借金まみれでホテルを追い出されてから彼女にとって「下々の人間」にあたる電気工とメイドがベッドの下から出てきてベッドを片付けながらお互いにちょっかいを出す、ほぼ歌のないシーン。困ったことに今スコアを読んでこの部分の意味が私よくわからないんですよね。
ちょっと思ったのは昔図鑑を読んでて見た、恐竜が滅びて小さなほ乳類たちが小躍りして台頭する話と絵なんですけどもしかしてそういうこと???

そうそう、スコアを見て分かったんですけどこのオペラ、おそらく18禁です(笑)。
結構生々しいあれがあれで。今まででも性的な色々扱ったクラシック音楽ってありますがぶっちぎりで一番直接的でした。色んな意味ですごい。
ですがオケの舞踏組曲、ピアノ版のパラフレーズはそこら抜きで楽しめますのでお気軽にどうぞ。私も結構合う音楽なのでそのうち弾きたいです。

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