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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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オケでピアノを弾くことについての話(その2)
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。
最近仕事休みが続いてピアノもソロの方は進歩を感じながらもうまく掴めず。恒例「進むのはゲームだけ」にちょっと近い状態になっています。
(そうそう、ポケモンYでクリア後サブストーリー(通称「ハンサムイベント」)をクリアしました。本編とは進め方もテイストもちょっと違ってああいうのもいいですね。そしてストーリーにちょっとほろっと来ましたよ)

さて、昨日の続き。
前回書きましたようにオーケストラの中でピアノを弾くというのはとにかく周りの環境が大きく違います。なので弾いてないとき、弾いてるときどっちも周りで起こっていることにある程度集中しなくちゃいけません。
そのためオケでピアノを弾く時に最重要なことは「常に周りに思考を割くためになるべく考える事を減らす、集中する情報を常に取捨選択する」ということです。

オケで弾くことになって最初にすることは弾く予定の曲の録音を聴くこと。知らない曲なら何回も聴いて全体の流れを把握する、というのはもちろんですが知ってる曲でも改めて聴いて頭の中で分析分解してみる。
パート譜を読みながら聴いてみるのも大切。どこで弾くか、入ってくる前に他の楽器が何を弾いているか、などなど。スコアを見ながら聴くのも有効です。(リハーサルでスコア読みながら弾くこともよくあります)
まえダフニスとクロエを弾いたときにパート譜がちょこちょこ間違ってたのですが、録音とスコアと照合することでリハーサル前にそこをばっちり修正することもできるのです。

パート譜には基本書き込み入れます。まず録音を聴いてるときある程度入れて、それを練習やリハーサルで調整したり書き換えたり消したり。
私は特に休みなど小節を数えるのが苦手なのでそこを軽減するために工夫します。
例えば25小節の休みをフレーズ毎に区切ったり(8+8+7とか)、弾いたり休んだりが入り組んでるところをフレーズ毎にまとめたり。

あとはキューも大事。キューとは自分が弾き始める前に他の楽器が弾いてるメロディーなどを合図にすること。合図にしやすい楽器は特にメロディー他特徴的なパッセージを弾く楽器、音の大きい楽器、近くに座ってる楽器(ホルンとか)など。意外と座ってる場所によって音の聞こえ方変わるのでそこは実際のリハーサルで体感するところですね。昨日も書きましたがケースバイケースで自分にとってわかりやすい様に選択するのがベストです。
キューを書き入れるといってもピッチまで書くことは少ないです。大体楽器の名前(略称)だけ、または楽器略称+リズム、または楽器略称+リズム+メロディーの形、くらいかな。
パート譜にキューがすでに印刷されてる場合もありますが、使えたり使えなかったり色々です。

パート譜に書き込みする時に良くつかうシンボルはキューの他にも色々あります。ページを速くめくる必要があるときには「V.S.」と頁末に(大きめに)書いたり、指揮者を見ろ!という箇所にはメガネを描いたり、テンポがゆっくりになるところは波線を描いたり。
指揮者が4拍子で振るところに「In 4」と描いたり、あと拍子が変わる曲は2拍子のところに「|」、3拍子のところに「△」と描いたり。
書き込みすぎは禁物ですがシンボルで見て分かりやすくするとやっぱり違います。

実際のリハーサルでは(特に初めの方は)正確に音を弾くよりも周りと(指揮者と)合わせて弾く方が優先なので一時的にいくらか音を犠牲にすることもあります。(そもそもオケのピアノのパートが弾き手にとって理不尽に書かれてることがあったり、そういう場合は恒常的に音を犠牲にするよう調整することもあります)
とにかく周りの音と指揮者の動きを追ってそれに自分の動きを合わせるのがリハーサルですること。音は家で練習する。

とにかく指揮者が1拍目を示してくれるだけでだいぶ楽になります。指揮者は他にもオケの中でソロを弾く楽器が入ってくるとことか他重要なエントリーを示してくれる(これもキューという)ことがありますがピアノに関してはそこあんまり多く望めません。どうしてもキューが欲しい部分はちょっとリハーサル終わりとか示談してみるといいかも。
指揮者でもピアノやハープなど半分ゲストな周辺楽器をいたわってくれる人もいますしほったらかしの人もいるので、リハーサルの外を含めてちょっとでもコミュニケーションをとって曲の中でこっちにもっと目を向けてくれるように促すことも時には必要です。
ある程度信頼関係が築けると演奏の中での安定感も増しますからね。

オケで弾く上で気づいて欲しい事として「ピアノは結構デフォルトで音がでかい楽器」ということがあります。楽器がでかくてその気になればオケ全体を超える音も出せる、というのもありますが感覚として強弱の幅がちょっと違うんですよね。弦楽器やクラリネットのppはピアノのソロのppよりもさらに繊細。(音をだす機序がまず違うんですが)
必ずしも前にでるパートばかりではないですが、それでもピアノの独特の音色を通さなくちゃいけなかったりでそこは周りとのバランスを考えたり、指揮者さんにフィードバックもらったり。
(チェレスタ弾くときは指揮者さんによくちゃんと聞こえてるか、はたまたうるさすぎないか細かくチェックします)

↑を含めて周りの音を聞く、というのは大事です。役割がリズムセクションな時もメロディーな時も(チェレスタはたまにある)他の楽器とぴったり合ってなくちゃいけないし、音を出す機序が違うことで音のアタックのタイミングの違いとかそういう細かい実地で経験してくことがたくさん。常に学んで常に取捨選択していくためには自分の耳で聞いて頭で考えることが必要です。
(周りの音についてちょっと違う話になりますが、特にリハーサル室内で周りの音が大きすぎることがあります。そういうときは他の楽器の奏者と同じく耳栓を使うと耳に優しいです。私は使うときはホルン、打楽器などがいる左側だけ入れます)

で、そういうことを全部踏まえた上で音楽を作る、表現することももちろん求められます。そこはソロと何も違うことはないです(たぶん)。

他になにかあったかな、大体こんな感じでやってる(やってた)はず。
まだ今の時点でオケご無沙汰なのですがやっぱり楽しいですし思い入れありますし得意だと思ってるのでたまーに弾く機会ができたらなあ、と思っています。(もちょっと動くべきなのかな、何か)

さて、前回予告通りオケピアノの教材として使えそうな曲を集めているのを紹介したいと思います。自分が弾いた曲もそうでないのも。
そして同じく予告通り今日の一曲。


今日の一曲: アーロン・コープランド 「アパラチアの春」



今度弾きに行く曲です。アメリカを代表する作曲家コープランドの作品で、今は器楽曲として演奏される機会が多いですが元々はバレエ曲なんです(パート譜にも「マーサのためのバレエ」とあります)。
30分くらいのコンパクトな曲ですが、何回も書いてるようにピアノが弾く箇所は多いです。ピアノパートについてはまた次回に。

このバレエが描いているのはアメリカの開拓民の祝いと祭りの情景なのですが、その春の雰囲気、素朴な暮らし、ささやかな喜びなどが音楽にも含まれていて聴いててpleasantです。
最後の方に現れるメロディーは「シンプル・ギフト」といってキリスト教のシェーカー派の聖歌。この作品だけでなくクラシック・ポピュラーの作品で色々使われてたりします。
(ちなみにアパラチア地方で育ったジョージ・クラムも「シンプル・ギフト」をアメリカ歌曲集の一つで使ってます)

この曲は久しぶりに弾くアメリカ音楽なのですが、弾いてみたら「アメリカだなー」って思いました(笑)アメリカの田舎っぽい雰囲気ものすごくしみ出ているんですよ。
それがどこかというと説明が難しいのですが、特に中程で伴奏が繰り返しになってる部分(複数あります)とか、ガーシュインの「パリのアメリカ人」とかミュージカル「オクラホマ!」に出てくるような、そういうリフの典型的なあれ。

シンプルで田舎のような雰囲気がありますが、決して野暮ったい音楽ではないと思います。きれいにまとまってて、明るさがあって楽しさもあって親しみやすく。そしてちゃんとディテールが(さりげなく)作りこんである。各楽器も役割とキャラクターが生かされていて、大規模ではないですが完成度の高い曲です。

とはいえコープランドの作品は他にほとんど知らない私。歌曲もちょっと弾いたのですが面白かったのでまたフォローアップするべきですね。もっと難解な曲とか聴いてみたいです。
ということでリンクしたのはコープランドの作品を色々集めた2枚CDセット。「市民のためのファンファーレ」(おそらく一番有名)とか「エル・サロン・メヒコ」とか「ロデオ」の「ホーダウン」くらいならなんとか知ってる。

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