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引き続きオケでピアノを弾く話です。
前回書いた通り教材的レパートリーを紹介するのですがその前に案の定書き忘れたことがあったのでそっちから。
まずは指揮者・周りの奏者と一緒に息をすること。特に弾き始めるときとか指揮者の動きに合わせて息をすると弾き始めも他の楽器とぴたっと来ますし、音楽の流れを自然に感じられます。
演奏している間は指揮者と他の奏者とのコミュニケーション方法は常に目で見て、耳で聞いて、そして息を合わせること。色々考えること捉えることあって難しいですが、オケの一部として一体になるには呼吸を合わせることから始めるのが良いかな、と思います。
あと家でCDを聴きながら練習すると色々ついていけないところも出てくると思いますが、実地で弾く方が楽です。なぜなら指揮者がちゃんと1拍目を示してくれますし、あと音が辺りに満ちているので他のパートを耳で拾いやすいので。リハーサル前に書いたキューを実地で消すこともしばしばあります。なので心配すぎない方がいいです。
それから最近(リハーサルで使う原本でなく)練習用に使うパート譜のコピーを事前に奏者に渡す際にスキャンしてダウンロードする形式をとるオケもあるみたいです。
メリットは郵送するコストと時間が省けること。デメリットは前パートを使った人の書き込みまで(元より濃い色で)スキャンされてしまってさらに消せないこと。
今回もらったパート譜のコピーではどうやら前使ってた人がオーボエの音を知らないのかキューの楽器名を間違えていることが判明。
次パートを使う人のためにも不要な書き込みはせず、なるべく正確な書き込みを心がけましょう。私もですが。
さて、オケでのピアノ弾きの立ち回りを教えてくれる人、というのは現状あんまりいません。大抵環境に放り込まれてリハーサルや演奏から経験を重ねてスキルを身につけていく感じが多いと思います。
オケでのピアノパートにもいろいろあります。20世紀以来ピアノがオケの楽器として演奏する機会はどんどん増えています。そんな拡大しているオケピアノ・チェレスタのレパートリーの中から今回奏者にとって勉強になる、オケにおける立ち回りやスキルを身につけられるような曲を選んでみました。
もしかしたら実際に演奏に出会うことはなかなかない曲も入ってますが、是非録音とスコア・パート譜を入手してさらってみてください。
1)ロス・エドワーズ バイオリン協奏曲「Maninyas」
オーストラリアを代表するバイオリン協奏曲。打楽器が充実したオケパートにピアノも参戦します。大きなパートではないのですがちょこちょこ弾くところがあり、第3楽章ではちょっとしたソロもあります。
この曲の特徴はころころ変わる拍子とテンポ。特に速いテンポで5/8、6/8などトリッキーな移り変わりが続くのはかなり難易度高いです(しかもそこでピアノが弾くんだな)。
数えなくて良いところも多いのですが数える練習、そして前回のエントリーで紹介した|とか△などのシンボルの使い方にもいい教材だと思います。
2)モーリス・ラヴェル 「ダフニスとクロエ」(バレエ全曲)
こちらはチェレスタがいます。ものすごく難しいパートではなく、弾く頻度はチェレスタとすればまあまあ。ただ上記の曲と似た拍子やテンポの変化がポイントになってきます。
こちらはどっちかというと楽譜にはちょこっとしか書いていない、指揮者が適宜テンポを動かす(ルバートと呼ばれる)についていく事が重要。そこはとにかく指揮者の動きと呼吸を読まなくちゃいけない部分です。
あとこの曲でチェレスタは目立つことは少ないもののオケの音に重要な彩りを添えることが多いです。そこをどう表現するかというのもワンステップ上の演奏には大事。
あと私がこの曲を弾いたときはパート譜に数々間違いがありました。この曲に限らないことですがリハーサル前の予習は大切です。
3)ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
ピアノとチェレスタ、1人で両刀使いのこの曲。弾く箇所は少ないですが楽器を印象づけるソロがいくつかあります。ピアノは第1楽章の最初のエントリー、そしてチェレスタは第1楽章の終わりと第3楽章の終わり。それぞれの楽器の音色を引き出すいい機会です。
チェレスタのソロの時は他の楽器があんまり弾いてないのでちょっとびびります。特に第3楽章の終わりはハープと2人っきりで同じパッセージを弾きます。指揮者だけでなくお隣さんの動き(ちょっと独特)にも注意して音を合わせなくちゃいけない、かなり難しいパート。
4)セルゲイ・プロコフィエフ バレエ「ロミオとジュリエット」
数あるオケピアノ・チェレスタパートのなかでも一番ピアノ・チェレスタがオケと一体化しているパートではないかと思います。弾く頻度もパートの内容もなかなか手応えあり。色んな意味でちょうどいい印象のある、なんだか納得のいくパートです。
プロコフィエフなので地味に弾きにくいパッセージもあったりします。
5)アーロン・コープランド 「アパラチアの春」
今弾いてる曲です。曲の長さの割にはピアノが弾く箇所はそこそこ多く、さらにテンポ・拍子の変化も多い。さらにちょっとだけ普段ピアノを弾くのとは勝手が違う指運びもあり。
ただこの曲は前述「録音で練習するよりリハーサルで弾く方が楽」な曲に当てはまると思います。指揮者がしっかり1拍目とテンポ変化を示してくれて、それに集中すればなんとかなるタイプ。今回は指揮者の卵達が振るので頼んだぞーと指をクロスしています。
6)オットリーノ・レスピーギ 「ローマの松」
意外と短い曲ですが(30分もしないはず)、ピアノパートは結構でかい。第1楽章と第4楽章はほぼ弾きっぱなし、第3楽章では何度もソロがあります。
第3楽章のソロは普段のソロピアノや協奏曲に似た感覚である程度自由もあるのが特徴。最初のソロなどは指揮者が振らない場合もあります。
第1楽章は速い音がずーっと続きますが、高音楽器がきらめいてピアノが常に聞こえてるわけではないのでここでもしかしたら「音を犠牲にする」可能性がでてくるかも。
さらにこの曲はオケの中での音量のバランスを色々考えさせられます。各楽章でそれぞれ違ったバランスの取り方が現れるのが面白い。
7)グスタフ・ホルスト 「惑星」
金星・水星・海王星にかなり目立つ、そして個性的なチェレスタのパートがあります。私の好きなチェレスタパートの一つ。
オケで弾くテクニック的には水星の速いテンポについていくこと、海王星のちょっとわかりにくいエントリーとハーモニーがちょっと曲者ですが、それよりもこの曲ではチェレスタで最大限に表現することに焦点を当てたいです。この曲でのチェレスタパートはそこまで突き詰める自由があると思うので。この曲でチェレスタの美しさを知らしめてやる、くらいで(笑)
8)セルゲイ・ラフマニノフ 「鐘」
この曲には2人ピアニストが弾きます。チェレスタ(第1,2,4楽章)とピアノ(第1,3,4楽章)が1人ずつ。どちらも結構大きいパートですが、特にチェレスタのパートは巨大とも言えます。しかもかなり前に出ることが多い。
第1楽章の最初は木管に耳を傾けながら指揮者とぴったり息を合わせることが必要だったり、音の粒をしっかり聴かせる工夫だったり、音色をちょっと変えてみたり、この曲はオケで弾くこと・チェレスタという楽器を弾くことの奥深さと楽しさを試行錯誤を通じて教えてくれました。
今でもチェレスタ弾きにとって最高峰の曲だと思っています。
探してみるとピアノやチェレスタが入ってるオケ曲って結構あって、その充実さや求められるスキルはピンからキリまでいろいろあります。でもそのどちらの要素も時代を経るにつれて確実に高まってて、さらにオケ曲自体が複雑化するとともにソロで弾くスキルだけじゃ難しくなってきているようなところはあるのでは。
音楽系の大学でオケ演奏に特化したコースはちらほらあって、その中にピアノも含まれてるケースも少数ありますが、そういうトレーニングを受けられるまえにオケで弾くことになる場合の方が多く。
私の場合はオケでピアノを弾く前にチェロで弾いていて、その時点で身につけたことも多かったと思うのですが、身につけたことを具体的に意識するのはオケピアノ・チェレスタを弾き始めてから。今回3回にわたって書いてみましたが、なかなかこういう経験を理論付けて形にするのは難しいな、と思いました。
まず自分が忘れないため、そしてなにかあったときに自分がある程度わかりやすく説明できるための最初のステップ・・・くらいにはなったかな。本当にしっかり説明してメソッドにするとしたらこんなもんじゃだめですね。本当にそれをやろうとしたら私自身ももっと頻繁にオケで弾く機会を作らなきゃいけませんし。
ということで今回書き残したエントリー3つをベースにして自分も忘れず今後また展開できるようにできたら、と思います。
そして来週のリハーサルで久しぶりにオケピアノを弾くのが楽しみです。指揮者の卵が学ぶためのプログラムですがきっと奏者としても学ぶことがでてくるはず。腕を取り戻せるようにもう数日がんばって練習します。
何曲か紹介したので今日の一曲はお休み。
前回書いた通り教材的レパートリーを紹介するのですがその前に案の定書き忘れたことがあったのでそっちから。
まずは指揮者・周りの奏者と一緒に息をすること。特に弾き始めるときとか指揮者の動きに合わせて息をすると弾き始めも他の楽器とぴたっと来ますし、音楽の流れを自然に感じられます。
演奏している間は指揮者と他の奏者とのコミュニケーション方法は常に目で見て、耳で聞いて、そして息を合わせること。色々考えること捉えることあって難しいですが、オケの一部として一体になるには呼吸を合わせることから始めるのが良いかな、と思います。
あと家でCDを聴きながら練習すると色々ついていけないところも出てくると思いますが、実地で弾く方が楽です。なぜなら指揮者がちゃんと1拍目を示してくれますし、あと音が辺りに満ちているので他のパートを耳で拾いやすいので。リハーサル前に書いたキューを実地で消すこともしばしばあります。なので心配すぎない方がいいです。
それから最近(リハーサルで使う原本でなく)練習用に使うパート譜のコピーを事前に奏者に渡す際にスキャンしてダウンロードする形式をとるオケもあるみたいです。
メリットは郵送するコストと時間が省けること。デメリットは前パートを使った人の書き込みまで(元より濃い色で)スキャンされてしまってさらに消せないこと。
今回もらったパート譜のコピーではどうやら前使ってた人がオーボエの音を知らないのかキューの楽器名を間違えていることが判明。
次パートを使う人のためにも不要な書き込みはせず、なるべく正確な書き込みを心がけましょう。私もですが。
さて、オケでのピアノ弾きの立ち回りを教えてくれる人、というのは現状あんまりいません。大抵環境に放り込まれてリハーサルや演奏から経験を重ねてスキルを身につけていく感じが多いと思います。
オケでのピアノパートにもいろいろあります。20世紀以来ピアノがオケの楽器として演奏する機会はどんどん増えています。そんな拡大しているオケピアノ・チェレスタのレパートリーの中から今回奏者にとって勉強になる、オケにおける立ち回りやスキルを身につけられるような曲を選んでみました。
もしかしたら実際に演奏に出会うことはなかなかない曲も入ってますが、是非録音とスコア・パート譜を入手してさらってみてください。
1)ロス・エドワーズ バイオリン協奏曲「Maninyas」
オーストラリアを代表するバイオリン協奏曲。打楽器が充実したオケパートにピアノも参戦します。大きなパートではないのですがちょこちょこ弾くところがあり、第3楽章ではちょっとしたソロもあります。
この曲の特徴はころころ変わる拍子とテンポ。特に速いテンポで5/8、6/8などトリッキーな移り変わりが続くのはかなり難易度高いです(しかもそこでピアノが弾くんだな)。
数えなくて良いところも多いのですが数える練習、そして前回のエントリーで紹介した|とか△などのシンボルの使い方にもいい教材だと思います。
2)モーリス・ラヴェル 「ダフニスとクロエ」(バレエ全曲)
こちらはチェレスタがいます。ものすごく難しいパートではなく、弾く頻度はチェレスタとすればまあまあ。ただ上記の曲と似た拍子やテンポの変化がポイントになってきます。
こちらはどっちかというと楽譜にはちょこっとしか書いていない、指揮者が適宜テンポを動かす(ルバートと呼ばれる)についていく事が重要。そこはとにかく指揮者の動きと呼吸を読まなくちゃいけない部分です。
あとこの曲でチェレスタは目立つことは少ないもののオケの音に重要な彩りを添えることが多いです。そこをどう表現するかというのもワンステップ上の演奏には大事。
あと私がこの曲を弾いたときはパート譜に数々間違いがありました。この曲に限らないことですがリハーサル前の予習は大切です。
3)ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
ピアノとチェレスタ、1人で両刀使いのこの曲。弾く箇所は少ないですが楽器を印象づけるソロがいくつかあります。ピアノは第1楽章の最初のエントリー、そしてチェレスタは第1楽章の終わりと第3楽章の終わり。それぞれの楽器の音色を引き出すいい機会です。
チェレスタのソロの時は他の楽器があんまり弾いてないのでちょっとびびります。特に第3楽章の終わりはハープと2人っきりで同じパッセージを弾きます。指揮者だけでなくお隣さんの動き(ちょっと独特)にも注意して音を合わせなくちゃいけない、かなり難しいパート。
4)セルゲイ・プロコフィエフ バレエ「ロミオとジュリエット」
数あるオケピアノ・チェレスタパートのなかでも一番ピアノ・チェレスタがオケと一体化しているパートではないかと思います。弾く頻度もパートの内容もなかなか手応えあり。色んな意味でちょうどいい印象のある、なんだか納得のいくパートです。
プロコフィエフなので地味に弾きにくいパッセージもあったりします。
5)アーロン・コープランド 「アパラチアの春」
今弾いてる曲です。曲の長さの割にはピアノが弾く箇所はそこそこ多く、さらにテンポ・拍子の変化も多い。さらにちょっとだけ普段ピアノを弾くのとは勝手が違う指運びもあり。
ただこの曲は前述「録音で練習するよりリハーサルで弾く方が楽」な曲に当てはまると思います。指揮者がしっかり1拍目とテンポ変化を示してくれて、それに集中すればなんとかなるタイプ。今回は指揮者の卵達が振るので頼んだぞーと指をクロスしています。
6)オットリーノ・レスピーギ 「ローマの松」
意外と短い曲ですが(30分もしないはず)、ピアノパートは結構でかい。第1楽章と第4楽章はほぼ弾きっぱなし、第3楽章では何度もソロがあります。
第3楽章のソロは普段のソロピアノや協奏曲に似た感覚である程度自由もあるのが特徴。最初のソロなどは指揮者が振らない場合もあります。
第1楽章は速い音がずーっと続きますが、高音楽器がきらめいてピアノが常に聞こえてるわけではないのでここでもしかしたら「音を犠牲にする」可能性がでてくるかも。
さらにこの曲はオケの中での音量のバランスを色々考えさせられます。各楽章でそれぞれ違ったバランスの取り方が現れるのが面白い。
7)グスタフ・ホルスト 「惑星」
金星・水星・海王星にかなり目立つ、そして個性的なチェレスタのパートがあります。私の好きなチェレスタパートの一つ。
オケで弾くテクニック的には水星の速いテンポについていくこと、海王星のちょっとわかりにくいエントリーとハーモニーがちょっと曲者ですが、それよりもこの曲ではチェレスタで最大限に表現することに焦点を当てたいです。この曲でのチェレスタパートはそこまで突き詰める自由があると思うので。この曲でチェレスタの美しさを知らしめてやる、くらいで(笑)
8)セルゲイ・ラフマニノフ 「鐘」
この曲には2人ピアニストが弾きます。チェレスタ(第1,2,4楽章)とピアノ(第1,3,4楽章)が1人ずつ。どちらも結構大きいパートですが、特にチェレスタのパートは巨大とも言えます。しかもかなり前に出ることが多い。
第1楽章の最初は木管に耳を傾けながら指揮者とぴったり息を合わせることが必要だったり、音の粒をしっかり聴かせる工夫だったり、音色をちょっと変えてみたり、この曲はオケで弾くこと・チェレスタという楽器を弾くことの奥深さと楽しさを試行錯誤を通じて教えてくれました。
今でもチェレスタ弾きにとって最高峰の曲だと思っています。
探してみるとピアノやチェレスタが入ってるオケ曲って結構あって、その充実さや求められるスキルはピンからキリまでいろいろあります。でもそのどちらの要素も時代を経るにつれて確実に高まってて、さらにオケ曲自体が複雑化するとともにソロで弾くスキルだけじゃ難しくなってきているようなところはあるのでは。
音楽系の大学でオケ演奏に特化したコースはちらほらあって、その中にピアノも含まれてるケースも少数ありますが、そういうトレーニングを受けられるまえにオケで弾くことになる場合の方が多く。
私の場合はオケでピアノを弾く前にチェロで弾いていて、その時点で身につけたことも多かったと思うのですが、身につけたことを具体的に意識するのはオケピアノ・チェレスタを弾き始めてから。今回3回にわたって書いてみましたが、なかなかこういう経験を理論付けて形にするのは難しいな、と思いました。
まず自分が忘れないため、そしてなにかあったときに自分がある程度わかりやすく説明できるための最初のステップ・・・くらいにはなったかな。本当にしっかり説明してメソッドにするとしたらこんなもんじゃだめですね。本当にそれをやろうとしたら私自身ももっと頻繁にオケで弾く機会を作らなきゃいけませんし。
ということで今回書き残したエントリー3つをベースにして自分も忘れず今後また展開できるようにできたら、と思います。
そして来週のリハーサルで久しぶりにオケピアノを弾くのが楽しみです。指揮者の卵が学ぶためのプログラムですがきっと奏者としても学ぶことがでてくるはず。腕を取り戻せるようにもう数日がんばって練習します。
何曲か紹介したので今日の一曲はお休み。
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