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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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今年もオケで弾きます!&グラミー賞クラシックside
引き続き夏ですメルボルン。
今日も最高気温は40度近くの中、相変わらず調子が定まらない背中(枕とか寝相とか)と頭を抱えて外出してきました。
普段は頭痛といえば緊張性頭痛で背中の諸々もあったのでそうかなーと思ってたのですがどうやら今日は暑さで血管が拡張してる方の頭痛らしいです。それに思い至るまでかなり時間がかかったのですが今はぬれタオルを首の後ろに当ててちょっと楽になったかな。

さて、今日良い便りが来ました。
こないだのMelbourne Youth Musicの指揮者養成プログラムで弾いたのが楽しかったのでコーチやってた指揮者さんにこれから弾く機会を増やすにはどうしたらいいか、と聞いたらメルボルンにいくつかあるコミュニティオケ(アマチュアのオケ)にコンタクトしてみたらどうか、とのお話だったので一つメールを送ってみました。
そしたらメールした先のStonnington Symphony Orchestraからお返事が来て今年のコンサートシリーズ3公演でぜひ弾いて欲しいとのことで。
コミュニティオケなので「ちゃんとした楽器」ではなくキーボードで演奏することになるそうですがヴォーン=ウィリアムスの交響曲第3番(チェレスタ)、ヴェルディの「スターバト・マーテル」(オルガン)、そしてムソルグスキーの「展覧会の絵」(チェレスタ)でパートをもらえるそうです。

展覧会の絵はもう小さいころから親しんできた曲で、チェレスタのパートがどんなもんかも想像は付いてるのですが(結構小さいです)、他は全く。ヴォーン=ウィリアムスの交響曲は一応手元に全部あって聴いてはいるのですが、その中でも3番はちょっと印象が薄い。一応IMSLPでパートをチェックしてみたのですが第3楽章にちょろっと弾くところがある様子。聞こえるようなパートかどうかはこれから録音でチェックですね。
そしてヴェルディに関してはオルガンパートということで完全にノーマークでした。そもそも弾く弾かないにかかわらず合唱曲全体そんなに知識はない。ということで曲とパートをチェックするだけでなくここからレパートリーの知識を広げ始めていかないとです。

さて、昨日からグラミー賞についてクラシック界隈の話が色々入ってきて調べてみたら色々面白かったので書いてみようと思います。
グラミー賞の部門にはクラシック音楽に関するものがいくつかあるのですが今回注目したのは現代音楽関連の各部門。

前々からジョージ・クラムがグラミー賞をとったことがある、という話は聞いていたのですが詳しくは2001年に「Star-Child」でクラシック現代作品部門をとっているということで。(あとそのかなり前にピューリッツァーの音楽賞もとってる)
そこからちょっとWikipediaで調べてみていたのですが色々発見があって面白い(日本語のWikipediaに受賞者のリストがあるのですが、英語版のリストの方が見やすいし詳細です)。

1960年代の受賞者はもうしっかりクラシックのコアな作曲家ですが当時は新しかったんだろうなーということだったり、ジョン・アダムズが3回も受賞してたり(ミニマル系の作風から今の作風まで変遷しながら都度受賞している)、メシアンも最後の作品「Concert a quatre」が受賞してたり(本人の手で完成してないのでたぶん生きてない)、クラムが一昨年The Ghosts of Alhambraでノミネートされてたり。

上記英語版のリストにはここ数年の候補作品もリストされてるのですが、それを見るだけでもクラムやペルトのようにかなり前から活躍している作曲家と比較的新しく台頭してきた作曲家が入り乱れててこれまた面白い。19世紀までと違って今は作曲家がぽつぽつと世界の色んなところに点在して1人が1ジャンルみたいなことになってるわけですが、そんななかで古株が成長を続けながら新しい人材もぐんぐん育って、国境関係なく活躍し競い合ってるのが垣間見られていいですね。
(さらに他のクラシック部門まで見てみるとアデスが「The Tempest」で今年オペラの録音の賞をもらってたり、ペルトが「Adam's Lament」で合唱の録音の賞をもらってたり。それから先ほどの古参・新参の構図がより強まったりします)

そして今回Maria Schneiderというアメリカの作曲家が「Winter Morning Walks」というこのクラシック現代作品部門を始めいくつかの部門を受賞しているのですが、その録音でAustralian Chamber Orchestraが演奏しているということで大変めでたいです。
実は来月Australian Chamber Orchestraがその作品の演奏をメルボルンでやるということでさっそく予約しました(笑)でもその曲だけが目当てじゃなく、ちょうど今日大学の図書館でスコアを偶然見て「まだまだアダムズも知らないなー」と思ったジョン・アダムズの曲もやるということで。ついでにラウタヴァーラの作品もほとんど知らないのでこれを機に広げたい。

今日帰宅してからメル響を始め色々こっちで今年行きたいコンサートを手帳にがりがり書き入れてたのですが、現代音楽の演奏が盛んで本当に嬉しい限り。どのコンサートにいけばいいのか迷う贅沢な悩みです。
たまにクラシック音楽はもう衰退してる、とかクラシックは滅びたとかそういう感じの言葉を聞くこともあるのですが、今や音楽の中心ジャンルではないながらも世界中でいろんな作曲家が独自のスタイルで頭角を現してますし、奏者のレベルも高く表現形態も広がり、本当に質の高い音楽がいろんなところで生まれています。
奏者側でも19世紀以前の音楽を好んで弾いたり、「あのころは音楽がよかった」的な態度を見ますが、今の音楽も負けず劣らず素晴らしいですし、そんな今の音楽と昔の音楽どっちも体験できる恵まれた時代だと思います。
クラシック音楽死んでないぞ-。死んでるどころかぴんぴんしてるぞー。ちょっとした黄金時代かもしれないぞ-。

いつも思う(そしておそらくここに前書いた)のですが、特定の時代の奏者ってその前の時代の伝統を(純粋な形でなくてもなんらかの形で)引き継ぎながら、直前の時代・自分の時代の音楽を見据えて良い物を後に残せるように分析・理解・表現して、そしてある程度ふるいにかけるってのも仕事のうちだと思うんです。
今の時代ってちょっと特殊というか、20世紀の主に後半で色々音楽スタイルが分散したり、実験を重ねた結果アイディア・哲学として面白くても音楽としてどうか、みたいな音楽が多数生まれたりして、その他色々あってちょっと今振り返って黒歴史というかそういうあんま触れたくない空気ができてるようなところがありまして。
それでもそんな時代にもちゃんと素晴らしい作品はたくさん作られているので、全体だけを見るのではなく一つ一つ見て、ちゃんと向き合って判断しないと全部一緒くたに埋もれてしまう危険がある。
そこが今の時代ちょっと特殊で難しいところ。すぐ後ろを振り返って評価して、そして今をちゃんと見つめて評価しないといけない。

話がまた長くなってしまいましたが、そこんところも踏まえて今後もここメルボルンで現代のクラシック音楽をたくさん体験して応援したりその存在、魅力を広めていけたらいいな、と思っています。実際のところ後者はどれだけできてるか分からないのですが、ここやTwitterで色々言及したり感想書いたりおすすめしたりを続けたいです。続けます。

さて、今日はちょっとぶりにしっかり書きましたが調子にのって話が長くなりました。今後もしっかり書くようがんばるです。


今日の一曲: エドヴァルド・グリーグ 「ホルベアの時代から」より「リゴドン」



グラミー賞周りから選ぼうとしたのですが勉強不足につき断念。上記のSchneiderの作品が演奏されるコンサートから一曲選びました。
19世紀末に書かれていながらバロック風、つまり新古典的なスタイルを古音楽から現代音楽まで演奏するAustralian Chamber Orchestraがどう弾くか楽しみです。

私も学生時代この「ホルベアの時代から」を弾いたことがあります。前書いたと思いましたが学校のオケは普段弦・吹奏楽に分かれていたので弦楽オケの曲は色々弾きました。(主にイギリスが多かったです。ただこの曲もスタイルとしてはイギリス風)

この「リゴドン」を始めこの組曲の多くの楽章は長調と短調の単純なコントラストでキャラクターをぱっと変えることが多くて、それがわりとシンプル・すっきりしてて心地よかったり。
ちょうどこの頃ワーグナーを始めいろいろ調性が崩れていったり音楽が複雑化していったりということがあり、そういうのも含めて「ホルベアの時代(バロック時代)」はよかったなあーという思いもあったのだろうか、と思います。
前述今の時代もちょこちょこ難しいですが、グリーグの時代も色々音楽的に難しかったんだろうなあ・・・

バロック風の組曲でリゴドンという舞曲が出てくることは多いですが、組曲をしめくくるのを見たのは自分が知ってる限りでは唯一。リゴドンの素朴で元気なリズムを生かしながらフィナーレにふさわしい華やかさもあり、シンプルだけれどエネルギッシュな喜びもある音楽。
弦楽器独特の歯切れの良さが聴いてても弾いてても気持ちいい。
弦楽器という似たような音の楽器だけでもソロにメロディーを弾かせたり、強弱でメリハリをつけたり表情豊かなのが嬉しくなります。これもバロック時代からのノウハウですね。

この組曲がこんどのコンサートでジョン・アダムズの「John's Book of Alleged Dances」という現代の舞曲集ととなり合わせに演奏されるのはちょっと面白そうですね。どんなコントラストになるのか楽しみです。


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