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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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メル響コンサート「Wigglesworth Conducts Rachmaninov」感想
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。

外が寒い季節になってきました。それでもジェラート食べられるときは食べます。ただ昨日はそれで後から胃を痛くしたので要注意ですね(汗)
そうそう、昨日は金曜日だったのでロルカで夕食やってました。Tapasメニュー(スペインの居酒屋料理みたいな小さめの料理)を2つ頼むのがちょうど良いみたいなので昨日はガーリック&チリオイルで料理したエビとベジタリアンコロッケ(肉のもある)を食べました。毎回一緒のラインアップでないのでこれから何が食べられるか楽しみ。

さて、そもそも昨日なんでシティに出かけてたかというとメル響のコンサートを聴くためでした。
プログラムは以下の通り。
メルボルン交響楽団コンサート「Wigglesworth Conducts Rachmaninov」
指揮者:Mark Wigglesworth
Albert Schnelzer 「A Freak in Burbank」
フェリックス・メンデルスゾーン ピアノ協奏曲第1番(ピアノ:Saleem Ashkar)
(アンコール: ローベルト・シューマン「子供の情景」より「トロイメライ」)
(休憩)
セルゲイ・ラフマニノフ 交響曲第2番

今回のコンサートの冒頭を飾ったのは1972年生まれのスウェーデンの作曲家Schnelzerの曲。「A Freak in Burbank」は映画監督ティム・バートンを題材にしたオーケストラのための小品で、現代のオケの編成ではなくハイドンが使ったようなオケの編成になっています。作曲家によるとハイドンの音楽にある「透明で遊び心のあるキャラクター、コントラストにあふれ時に風刺的な性質」がティム・バートンの作品にも存在している、というのが作曲の基盤になっているそう。

見た目は確かにハイドンのオケですが、楽器の使い方や表現する音楽は現代のもの。ティム・バートンの作品はあまりよく知らないのですがそのイメージとしてのちょっとmacabreで軽快さがあって内向きに広がる不思議な世界はその小さめのオケと相性がよかった。大きくなりすぎないし、楽器のポテンシャルが引き出されるし、質感がなんかしっくりくる。
短い曲ではありましたがものすごく魅力的な音楽でした。

メンデルスゾーンは普段あんまり聴かなくて、ピアノ協奏曲を聴くのも初めてでした。
元々メンデルスゾーンはアンバランスさが足りない曲を書くイメージがあったのですが今回前の曲がああいう感じだったためにどうしても行儀良くというか四角四面に聞こえてしまったり。
どっちかというとピアノの技巧を活かしてミクロレベルでバランスを崩したり即興的な気まぐれさを出していく印象ですね。そういう意味で第1楽章は面白かった。
ただ全体的にはやっぱり好きではなかったかなー。あと一番上のバルコニーでオケと比べてピアノの音がちょっと届きにくいのも残念だったかも。

そして今回目当てで行ったラフマニノフ。ラフマニノフといえばピアノ作品が有名ですが彼はピアノなしのオケ曲や合唱曲まで素晴らしい曲を残すオールマイティな作曲家。
そのなかでも交響曲第2番はラフマニノフの作品としても交響曲というジャンルの中でも名曲。大学で友達に偉大な交響曲を聞いて回ったときもかない多くの人が挙げてました。

演奏はなかなか良かったです。元々がロマンチックな風味の強い曲なのでそこをやり過ぎにならないように、でもロマンチックさを壊さずというバランスの中ちょっと甘め濃いめの味付けでしっかり味わえました。第2楽章がちょっと重厚な感じで「鉄騎兵!」と思ったのが印象に残ってます。

今回座ってたところの音響の関係なのかホルンがよく聞こえましたね。ホルンが元気良いと楽しいです。もちろん勇ましいところもがんがん吹いてましたが弱音部分もしっかり。そんなホルンが格好いい。

そしてラフマニノフのオケ曲って(全ての楽器パートがうまいこと書かれていますが)打楽器のパートが面白い。一流のパートかどうかは私には分からないのですがとにかく凝っている。特にシンバルのパートがかっこいい!派手なクラッシュからかなりの弱音まで色んな表現があります。(たしかラフマニノフのオケ曲って打楽器のシンバルのオーディション課題曲に出てこないっけか)
そしてそんなパートを演奏するいつものシンバル奏者の方がかっこよかった!特に第2楽章の中間部の始まりを告げるクラッシュの精密さとクリアさで音が完全に垂直な線になって空気が一瞬裂けたと思いました。あんな音はなかなか聞かない。

この交響曲で自分が好きなのは最初の3つの楽章なのですが今回生で聴いて第4楽章が楽しかったです。生演奏だからこそのきらめきもそうですが演奏がよかった。オケが一つの世界になるような感覚でした。

今回指揮したMark Wigglesworthはもう何回もメルボルンに来てメル響と様々な曲を振ってるのですが安定のクオリティですね。マーラーとかラフマニノフとかショスタコとかでっかい曲が多い(そして私が大好きな曲が多い)のですが、オーケストラの&交響曲の世界観がしっかりあって。体格は小さいっぽいのに巨大なものを操れるのがすごい。

さて次行きたいコンサートはいつだったかな。マレーシアに戻ってきてからあんまり先までチェックしていない。マレーシアといえば今日ちょうど両親がKLでマレーシアフィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴いているはず。偶然向こうもラフマニノフ。交響的舞曲は初めてだそうなので感想聞くのが楽しみです。


今日の一曲: セルゲイ・ラフマニノフ 交響曲第2番 第1楽章



この交響曲からどの楽章を紹介したか、たぶん第1楽章はもう紹介してる気もしますが気にしない。

今回のコンサートのプログラムにはこの交響曲が作曲されてから曲が長いとの理由で(といっても1時間近いくらいですが)何回か一部カットになった経緯が書かれてましたが何とも勿体ない話です。確かに感覚的にちょっと長く感じるところはありますがそれでも不要な箇所なんて一つもないような音楽なので。

第1楽章はこの交響曲の中でも最長の楽章で(交響曲として珍しいことではないです)、長いだけでなくものすごく中身が詰まってるので第1楽章の終わりまで聞いてもうお腹いっぱいになる気分のときもあります(笑)
そもそもこの第1楽章だけで一つの交響曲になっているみたいな感覚はありますね。
交響曲とまではいかなくても一つの完成したなにかがあってその完全さに畏れさえ感じます。

この楽章の中での展開の多様さと深さは何度聞いてもびっくり。がっつりした序奏から始まって様々な気候、質感、色彩、感情を経ていくのは時間にしては長くともめまぐるしいものがあり。
なんかこの楽章だけで音楽が固体・液体・気体に姿を変えるようでものすごいです。

それぞれの楽章にそれぞれの魅力があって、それに加えて交響曲全体のバランスや世界観も完成度が高くてすごいのですが自分はなによりこの第1楽章を愛しています。音楽でも、創作でも追い求めてるものがそこにあるんじゃないかとずっと思ってます。

リンクしたのは手持ちの録音。ベルリンフィルの演奏で、指揮がマゼール。マゼールはロマンチックの王様的なイメージがあるのですがこの曲との相性はとっても良いです。さらにカップリング曲が同じくラフマニノフの「死の島」。絵画をモチーフにした視覚に訴えるところのある名曲です。

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