忍者ブログ
~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

メル響コンサート「Musical Tales from Childhood」感想
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。
久々の企画エントリー楽しかったのでまたトピックがまとまれば何かやりたいです。

ちょっと最近音楽関連で色々面白い報せが入ってきてるのですが今日は昨日行ったコンサートの感想などがメインなのでとりあえず一つだけ。
来週の金曜日の夜にメル響のトリビアナイト(クイズ大会)があるのに先駆けて豪新聞The Ageオンライン版がメル響と組んでインタラクティブ形式のクラシック音楽クイズの企画をアップしました。こちらです。全部で10問。
クラシック音楽の知識としては初級~中級くらい。英語もそんなに難しくない(口頭で言われた分は文字でもでます)。ただ各問題30秒の制限時間があり、スコアには各問題の残り時間がカウントされるため高いスコアを狙うには英語の能力も必要です。
ただこのクイズ、映像部分がかなり良い。チェレスタやシンバル、コントラファゴットの改良版コントラフォルテの活躍が音で聴けるだけでなく映像でクローズアップで見られます。そこら辺もお楽しみに。

昨日は大学時代にトリオを組んでたバイオリン弾き友達(ピアノ、バイオリン、ホルンでブラームス弾いてました)と会ってお茶しました。彼女はいまドイツ在住でバロックバイオリン(古楽器)専門で弾いているそう。結婚した相手がこれまた大学の同級生なのですが指揮者で、ドイツを中心にヨーロッパでオペラを主として指揮しているそうで(同じドイツでもたまに拠点が変わるらしい)、今回彼がオーストラリアでオケ指揮するのに会わせて一時帰国したそう。
色々話しました。主に向こうでの音楽事情や図書館事情、気候やお国柄などなど。どうもドイツは日照が少ない土地らしい。来年あたりヨーロッパに旅行いこうかなー・・・とか思うようになったのですが夏一択ぽいです。そんな夏も曇りが多く涼しいらしいですが。

で、夜はその友達の旦那さんが指揮するメル響コンサートへ。メルボルン・タウンホールのシリーズで司会あり、ちょっとくだけたエレメントありのコンサート。そしてタイトルにもあるとおり子供やおとぎ話に関するプログラム。(子供連れのお客さんも結構いました)
司会の方も言ったとおり子供のための、子供に関する題材だからって単純だったり純朴な方がいいとは限らないですし、クラシックの作品でもそういう作品だからって侮っちゃあいけません。ちゃんとしっかりしたプログラムです。

メルボルン交響楽団「Musical Tales from the Childhood」
指揮:Nicholas Carter
司会:Eddie Perfect
モーリス・ラヴェル 組曲「マ・メール・ロワ」
リヒャルト・シュトラウス 二重小協奏曲 (クラリネット:David Thomas、ファゴット:Jack Schiller)
(休憩)
レオポルド・モーツァルト 「おもちゃの交響曲」
エンゲルベルト・フンパーディンク オペラ「ヘンゼルとグレーテル」組曲
(アンコール: ベンジャミン・ブリテン 「青少年のための管弦楽入門」最後のフーガ)

最初のラヴェルはちょっとイマイチだったかなー・・・好きな曲だからの思い入れもあるのですがどうもアンサンブルが不安定で。比較的シンプルな曲とはいえラヴェルの作品はほんと求められる精密さが半端ない。

シュトラウスは初めましての曲でした。リヒャルト・シュトラウスといえば後期ロマン派=19世紀末に活躍のイメージが強いですが、彼は長生きで1949年、85歳まで生きてるんです。第2次世界大戦が終わってもまだ数年生きてて、あの前衛音楽がぐいぐい広がった時代にこういう小規模で古風な作品を書いて。色々思いが渦巻きます。
クラリネットもファゴットもソリストになることは比較的少ない楽器ですが特にソリストとしてのファゴットがかっこよかった!もちろんオケでソロを弾くときもかっこいいですがこれはまた別の輝き。今後ファゴットが輝く曲としてプッシュしていきたいです。

有名なモーツァルトの父、レオポルド・モーツァルトの作品(とされている)おもちゃの交響曲ではメル響の打楽器奏者たちに加えて司会の方、そして抽選により選ばれた一般の方2人が打楽器+おもちゃの楽器を演奏しました。ちょっとしたハプニングやユーモアに笑いどころたくさんだったのですが、第3楽章で繰り返し毎にテンポが速くなるのにはみんな完全に本気モード。でも楽しそうでした。そして見てて楽しかった。

指揮者のホームグラウンドがオペラということで期待していた「ヘンゼルとグレーテル」。最初から最後まで素晴らしかったです。指揮してるたたずまいとか音楽性とか、知らなかったらオーストラリアの指揮者とは思わないなあ、と思うほどドイツのオペラのスタイルがネイティブになってる印象。いい演奏を聴かせてもらいました。
(ちなみにこの「ヘンゼルとグレーテル」の「夕暮れの祈り」のシーンを前回初めて聴いたのもメル響の演奏でした。Markus Stenzの指揮だったかな、アンコールとして演奏されてものすごく気になっていたのです)

そして最後にアンコールのブリテン。このアンコールは以前このタウンホールでメル響で聴いたのですがよくあるアンコールなんですかね。(ただ前回の突っ走るような感じと違って今回は堅実な演奏でした)ものすごく楽しく終わるアンコール。

全体を通してユーモアからシリアスまで広く楽しめたコンサートでした。割と短めで小規模の曲が多く、全体的に軽めのコンサートでしたが質は高い演奏&プログラム。こういう趣のコンサートもいいですね。

これからちょっと色々慌ただしくなるのですが、その慌ただしい一部は最初に書いた音楽関連で面白い報せなのでまた次回にまとめたいと思います。
贅沢なほど色々インプットがめまぐるしいのが落ち着いたらもちょっとアウトプット(主にピアノ)のことも考えたい。逆に言えばそれまで考えられない(汗)


今日の一曲: エンゲルベルト・フンパーディンク オペラ「ヘンゼルとグレーテル」より「日暮れの祈りとパントマイム」



フンパーディンクってこの曲を聴くまで全然知らない作曲家で、どうもこの曲が唯一有名な曲らしいのですが、でも今回組曲を聴いてとにかく良い音楽を書く作曲家で、割と重要な作曲家であることを実感しました。

フンパーディンクはワーグナーと同世代で同じドイツで同じくオペラを得意とする作曲家。
実際ワーグナーの下で作曲していたこともあって、例えばヘンゼルとグレーテルだったら序曲のホルンの使い方とか似てるなーと思うこともあるのですが、全体の表現は違うところにある印象。

今回のコンサートのプログラムにあったのですが、この時代はワーグナーの指輪サイクルを始めとした独特のオペラ群でオペラというジャンル(そしてロマン派というスタイル)がどんづまりに来てしまった的な雰囲気があったのが、このフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」のような作品で別に活路ができた、みたいな側面があったようで。
ワーグナーがものすごくradicalなことをして巨大で素晴らしい世界を作り上げ、音楽の道の果てまで行ったこともすごいですが、フンパーディンクのように地味ながらも良い音楽を作り続けることでまた別の道を見つけるのもまた同じくらい凄いことなんだろうな。

とにかく聴けば聴くほどちゃんとしっかりして素晴らしい音楽なんですよ、ヘンゼルとグレーテル。その中でもこの第2幕、ヘンゼルとグレーテルが森で眠る前に祈るシーンの美しさ。
14人の天使が2人を守りますよう、みたいな祈りなんですけど宗教的なテイストはそんなに濃くない、純粋な美しさと慎ましい神々しさがある音楽。オペラだけどオケの作る音が完成してる世界。
その美しさのためオペラの一部だけ収録されてる録音とかでもこの曲は必ず収録されているみたいですよ。

私も少なくともこの曲は、そしてできたらオペラ全体の録音を入手したいところ。
とりあえずは試聴のある録音をリンクしました。第2幕の最後なのでこのCDだと1枚目の最後の2トラックくらいかな。
ただジャケットの絵がオペラ方面よりはもともとのグリム童話方面のテイストなのがちょっと気になります(笑)

拍手[0回]

PR
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Comment:
Pass:
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック