×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
前回のエントリーに拍手ありがとうございます~
引き続きコンサートの感想を。
一昨日行ったコンサートは国立音楽アカデミーの卒業生によるコンサート。
友達2人が弾くというのでこれはいかなきゃ、と聴きに行きました。
プログラムは以下の通り:
国立音楽アカデミー Fellowship Project
Jessica Foot(オーボエ)&Peter de Jager(ハープシコード)
国立アカデミーの生徒&先生&卒業生
フランソワ・クープラン 趣味の融合 コンセール11番
アンリ・デュティユー 「Les Citations(引用)」
クラウス・フーバー 「Noctes intelligibilis lucis」
マニュエル・デ・ファリャ クラヴサン協奏曲
(アンコール:「アダムズ・ファミリー」のテーマ)
オーボエもハープシコードもソロで生で聴くことが少ない楽器ですがこのコンビのためのレパートリーが意外とあることにびっくり(それでもオーボエのレパートリー自体が小さくて知名度が低いらしいですが)。そもそも音の性質がオーボエの丸さに対してハープシコードのツメではじく尖った音で正反対とも言えますし。
そしてクープランはバロック時代で他は20世紀。ハープシコードは後述のとおりその間の時代には使われない楽器なのですがオーボエももしかしたらソロレパートリーはその2つの時代に集中してるのかな。
なのでオーボエの音色の印象もそのバロック・現代で大きく分かれます。クープランでの丸くてなめらかで黄金に光るような音の輝かしさはもう素晴らしかったですが、現代作品での暗さと緊張感のある音色もまた魅力的。
そしてオーボエといえばやっぱりメロディーを歌い上げる楽器。クープランはバロック時代によくある踊りを集めた組曲なのですが終始踊りよりも歌のキャラクターが強い。そしてフーバーみたいな抽象的でアップダウンが激しい(2オクターブとか音が平気で飛ぶ)曲でもひとつながりの線が世界を創る、旋律の力強さ。
反面ハープシコードはピーター曰くすでに音ができあがってる楽器で変えることができない部分も多いらしいです。あといわゆる車にオートとマニュアルがあるのとちょっと似てハープシコードでも色々ペダルで調整できるのとできないのがあって、今回オート(仮)のハープシコードだったためレバー調整とかが大変だったそうです。
20世紀のハープシコード音楽ってものすごい!不協和音の響き方も独特ですし、キーがピアノより軽いのもあり遠慮無く速いパッセージ入ってきますし。なんかキャラクターとしてはカムバック前と全く別物として捉えられているみたいです。
それにしても今回知らない曲ばかりで(ファリャだけ録音持ち、でも改めて聴かなきゃ)、しかもデュティユーとかフーバーとかものすごく難解でびっくりしました。1回聴いただけじゃ分からないなあ・・・
でも特にデュティユーはジャズっぽいところがあったり(ベースがかっこよかった!)引用のエレメントがあったりで魅力はつかみかけた感が。デュティユーという作曲家は木管友達からは良く名前を聞くのに他では全然聴かない作曲家ですが、書いてるのは必ずしも木管作品に限らないのでこれを縁にまたいつかフォローアップしたいです。
そしてアンコールのアダムズ・ファミリーですがこれは国立アカデミーのdirector、Paul Deanがファリャの楽器編成(フルート、クラリネット、オーボエ、バイオリン、チェロ、ハープシコード)のためにアンコール用として編曲したものだそう。最初のドアがきしむ音をハープシコードの蓋で表すところからずっと面白かったです。弾いてて絶対楽しいじゃないですか。
そうそう、普通こういうメインの奏者がいて共演者が何人かいるコンサートではメインの奏者が共演者にチョコレートやワインとかお礼に贈ることが多いのですが今回ジェシカは共演者に鉢植えの植物をプレゼントしていました。これには驚きました(ただ過去にカボチャあげたりしたこともあるそうです)。
コンサートの後には国立アカデミーの(主に大学卒業してから初めて出会った)友達と近くのバーで飲んだり食べたりしてきました。今回演奏したジェシカも含め久しぶりの人も多くかなり新鮮な集まり。色々励まされることも多く感謝しきれません。最近ちょっと低めで推移しているので(特にピアノで)引き続きがんばらなきゃ。
明日行くコンサートも国立アカデミーでのコンサート。Melbourne Chamber Orchestraと国立アカデミーのジョイントコンサートで、特にバロック時代であったような弦楽オケが2つある編成で書かれた20世紀以降の作品を演奏するそうです。指揮者が大学時代のチェロ友達で、あと演奏される曲にピーター作曲の新しい作品もあるので大変楽しみです。
今日の一曲: マニュエル・デ・ファリャ クラヴサン協奏曲 第2楽章
今Wikipediaで調べたら正式な題名は「チェンバロ(またはピアノ)、フルート、オーボエ、クラリネット、ヴァイオリンとチェロのための協奏曲」だそうです。
協奏曲というと普通ソロ+バックにオケという編成が浮かびますがこの曲はチェンバロと他の5つの楽器のみが演奏する室内楽作品でもある協奏曲。
言い忘れましたがクラヴサン=チェンバロ=ハープシコードです。バッハやクープランなどが生きたバロック時代ではメインの鍵盤楽器として使われていますがピアノの台頭(ピアノはハープシコードとは別の仲間で派生したものではないそうです)とともに廃れ、19世紀にはハープシコードのための音楽はみんなピアノで弾かれていたそうで。
それが20世紀になってワンダ・ランドフスカというピアニストがチェンバロを再興しようと作曲の委嘱や演奏に動き出し、ファリャ作曲のオペラ「ペドロ親方の人形芝居」を皮切りに20世紀でもハープシコードの演奏が始まり、ハープシコードのために曲が書かれるようになったそうです。(この協奏曲もランドフスカの委嘱、演奏で世に出た作品)
この曲を聴いているとハープシコードのための協奏曲というよりも、そして室内楽作品というよりも6つの楽器全員のための協奏曲という印象です。(つまり正式な題名が正確に表しているわけですね)
6人が一つの音楽を一体になって作っている、というよりも6人がそれぞれの役目をこなしながら適宜ソロとして一歩前に出る、みたいな感じ。
第2楽章の最初で見られるようなハープシコードの即興的なアルペジオはバロック時代のハープシコード音楽をちょっと思わせます。全体としてはスペインの祭りなどである宗教的な行進を表しているそうで、宗教的なテイストもありエキゾチックな色彩もあり民族的な素朴さもありでものすごく不思議な曲調。なかなかぱっと馴染むものではないのかもしれませんがすごく面白いです。生で聴いて好きになりました。
今リンクする録音を探していたらデュトワ指揮のファリャのオケ作品集のCDの演奏がちょっと宗教的な風味が強くて面白かったのでリンク。収録されてるのはほとんど知らない曲ですが、前述のハープシコード付きのオペラも入ってますね。
引き続きコンサートの感想を。
一昨日行ったコンサートは国立音楽アカデミーの卒業生によるコンサート。
友達2人が弾くというのでこれはいかなきゃ、と聴きに行きました。
プログラムは以下の通り:
国立音楽アカデミー Fellowship Project
Jessica Foot(オーボエ)&Peter de Jager(ハープシコード)
国立アカデミーの生徒&先生&卒業生
フランソワ・クープラン 趣味の融合 コンセール11番
アンリ・デュティユー 「Les Citations(引用)」
クラウス・フーバー 「Noctes intelligibilis lucis」
マニュエル・デ・ファリャ クラヴサン協奏曲
(アンコール:「アダムズ・ファミリー」のテーマ)
オーボエもハープシコードもソロで生で聴くことが少ない楽器ですがこのコンビのためのレパートリーが意外とあることにびっくり(それでもオーボエのレパートリー自体が小さくて知名度が低いらしいですが)。そもそも音の性質がオーボエの丸さに対してハープシコードのツメではじく尖った音で正反対とも言えますし。
そしてクープランはバロック時代で他は20世紀。ハープシコードは後述のとおりその間の時代には使われない楽器なのですがオーボエももしかしたらソロレパートリーはその2つの時代に集中してるのかな。
なのでオーボエの音色の印象もそのバロック・現代で大きく分かれます。クープランでの丸くてなめらかで黄金に光るような音の輝かしさはもう素晴らしかったですが、現代作品での暗さと緊張感のある音色もまた魅力的。
そしてオーボエといえばやっぱりメロディーを歌い上げる楽器。クープランはバロック時代によくある踊りを集めた組曲なのですが終始踊りよりも歌のキャラクターが強い。そしてフーバーみたいな抽象的でアップダウンが激しい(2オクターブとか音が平気で飛ぶ)曲でもひとつながりの線が世界を創る、旋律の力強さ。
反面ハープシコードはピーター曰くすでに音ができあがってる楽器で変えることができない部分も多いらしいです。あといわゆる車にオートとマニュアルがあるのとちょっと似てハープシコードでも色々ペダルで調整できるのとできないのがあって、今回オート(仮)のハープシコードだったためレバー調整とかが大変だったそうです。
20世紀のハープシコード音楽ってものすごい!不協和音の響き方も独特ですし、キーがピアノより軽いのもあり遠慮無く速いパッセージ入ってきますし。なんかキャラクターとしてはカムバック前と全く別物として捉えられているみたいです。
それにしても今回知らない曲ばかりで(ファリャだけ録音持ち、でも改めて聴かなきゃ)、しかもデュティユーとかフーバーとかものすごく難解でびっくりしました。1回聴いただけじゃ分からないなあ・・・
でも特にデュティユーはジャズっぽいところがあったり(ベースがかっこよかった!)引用のエレメントがあったりで魅力はつかみかけた感が。デュティユーという作曲家は木管友達からは良く名前を聞くのに他では全然聴かない作曲家ですが、書いてるのは必ずしも木管作品に限らないのでこれを縁にまたいつかフォローアップしたいです。
そしてアンコールのアダムズ・ファミリーですがこれは国立アカデミーのdirector、Paul Deanがファリャの楽器編成(フルート、クラリネット、オーボエ、バイオリン、チェロ、ハープシコード)のためにアンコール用として編曲したものだそう。最初のドアがきしむ音をハープシコードの蓋で表すところからずっと面白かったです。弾いてて絶対楽しいじゃないですか。
そうそう、普通こういうメインの奏者がいて共演者が何人かいるコンサートではメインの奏者が共演者にチョコレートやワインとかお礼に贈ることが多いのですが今回ジェシカは共演者に鉢植えの植物をプレゼントしていました。これには驚きました(ただ過去にカボチャあげたりしたこともあるそうです)。
コンサートの後には国立アカデミーの(主に大学卒業してから初めて出会った)友達と近くのバーで飲んだり食べたりしてきました。今回演奏したジェシカも含め久しぶりの人も多くかなり新鮮な集まり。色々励まされることも多く感謝しきれません。最近ちょっと低めで推移しているので(特にピアノで)引き続きがんばらなきゃ。
明日行くコンサートも国立アカデミーでのコンサート。Melbourne Chamber Orchestraと国立アカデミーのジョイントコンサートで、特にバロック時代であったような弦楽オケが2つある編成で書かれた20世紀以降の作品を演奏するそうです。指揮者が大学時代のチェロ友達で、あと演奏される曲にピーター作曲の新しい作品もあるので大変楽しみです。
今日の一曲: マニュエル・デ・ファリャ クラヴサン協奏曲 第2楽章
今Wikipediaで調べたら正式な題名は「チェンバロ(またはピアノ)、フルート、オーボエ、クラリネット、ヴァイオリンとチェロのための協奏曲」だそうです。
協奏曲というと普通ソロ+バックにオケという編成が浮かびますがこの曲はチェンバロと他の5つの楽器のみが演奏する室内楽作品でもある協奏曲。
言い忘れましたがクラヴサン=チェンバロ=ハープシコードです。バッハやクープランなどが生きたバロック時代ではメインの鍵盤楽器として使われていますがピアノの台頭(ピアノはハープシコードとは別の仲間で派生したものではないそうです)とともに廃れ、19世紀にはハープシコードのための音楽はみんなピアノで弾かれていたそうで。
それが20世紀になってワンダ・ランドフスカというピアニストがチェンバロを再興しようと作曲の委嘱や演奏に動き出し、ファリャ作曲のオペラ「ペドロ親方の人形芝居」を皮切りに20世紀でもハープシコードの演奏が始まり、ハープシコードのために曲が書かれるようになったそうです。(この協奏曲もランドフスカの委嘱、演奏で世に出た作品)
この曲を聴いているとハープシコードのための協奏曲というよりも、そして室内楽作品というよりも6つの楽器全員のための協奏曲という印象です。(つまり正式な題名が正確に表しているわけですね)
6人が一つの音楽を一体になって作っている、というよりも6人がそれぞれの役目をこなしながら適宜ソロとして一歩前に出る、みたいな感じ。
第2楽章の最初で見られるようなハープシコードの即興的なアルペジオはバロック時代のハープシコード音楽をちょっと思わせます。全体としてはスペインの祭りなどである宗教的な行進を表しているそうで、宗教的なテイストもありエキゾチックな色彩もあり民族的な素朴さもありでものすごく不思議な曲調。なかなかぱっと馴染むものではないのかもしれませんがすごく面白いです。生で聴いて好きになりました。
今リンクする録音を探していたらデュトワ指揮のファリャのオケ作品集のCDの演奏がちょっと宗教的な風味が強くて面白かったのでリンク。収録されてるのはほとんど知らない曲ですが、前述のハープシコード付きのオペラも入ってますね。
PR