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前回のエントリーに拍手ありがとうございました~
忘れないうちに1週間分の諸々の怒濤の更新続きます。
まずはお知らせ。
今年は近くのコミュニティアマチュアオケStonnington Symphonyのコンサート3つで弾かせてもらう予定ですが(1つは5月に終わりました)、それに加えてもちょっと遠くのアマチュアオケZelman Symphony Orchestraでも12月に「惑星」(2公演)のチェレスタパートを本物のチェレスタで弾かせてもらうことになりました。
しかも、そのチェレスタがオケ所有なのですが、古くてボロかったチェレスタをコミュニティオケとしては破格のお金を出して修理してもらったとのことで。そのリニューアルしたチェレスタのお披露目としてチャイコフスキーの「くるみ割り人形」の「金平糖の妖精の踊り」をオケと弾かせてもらうことになりました。協奏曲とまではいきませんがちょっぴりソリスト扱いですよー。
とりあえずまだまだ先の話なので詳細は後日。
さて、以前のエントリーで紹介したとおりメルボルン交響楽団の巨大企画、マーラーサイクルが開幕しました。ちょうど両親が来た次の日(というか24時間以内)だったのであらかじめチケット3枚予約して行きましたよ-。なんといってもマーラーの交響曲のなかで1番は特にポピュラーなので(5番とならんでトップ)3公演あっても油断はできませんからね。
プログラムは以下の通り:
メル響「Mahler 1: The Cycle Begins」
指揮者:Sir Andrew Davis
リヒャルト・シュトラウス 4つの最後の歌(ソプラノ:Erin Wall)
(休憩)
グスタフ・マーラー 交響曲第1番
マーラーの交響曲のなかでも1番は短いので他の曲も入ってきますがそれがマーラーと並び立つ後期ロマン派の名作曲家リヒャルト・シュトラウスとはまた贅沢。そのシュトラウスの作品の中でも特に今年は後期の作品に縁があって、シュトラウスの音楽がそれで本当に好きになってきてます。
メタモルフォーゼンなどでも見られる後期特有の不思議なハーモニー・色彩の移り変わり(特に弦楽器)がこの演奏でも本当に美しかったです。そして全体を通じて(保守的までとは言わないですが)安心を感じるような伝統的な後期ロマン派のテイストで本当にtrueなシュトラウスを聴いているなーという気持ちになりました。
そしてメインディッシュのマーラー1番。
ちょっとフレーズの頭のずれが気になったものの(定番レパートリーだし3回目公演だしどうしたんだろう)全体的に素晴らしい演奏でした。
まず印象に残ったものその1が第2楽章のワルツのウィーン風のくずし(リズム、フレーズ的にも)。ものすごく本場な感じというか、これが経験とセンスなんだろうなあというフレーズの動かし方。(自分には基本センスのようなものは総じてないのでうらやましいやら尊敬するやら)
聴いてて5番の(同じくウィーン風のワルツが出てくる)第3楽章が猛烈に楽しみになりました。
ただそれよりも強烈に印象に残ったのが第4楽章。
まるで剣を手に進むようなファンタジーなイメージがある1番の第4楽章がこんなにリアルで厳しいイメージになるとは!死の行軍とも言えるような、激しく容赦なくざくざく進んでいく感はとてつもなく格好いいながらちょっと涙もにじむほど厳しい。(1番よりももっと後の交響曲に見られるくらいのリアルさでしたね)そしてその厳しさでエンディングも印象が変わってくる。いつも聴くよりもまばゆく輝かしく。
自分が親しんでいる1番の第4楽章のイメージとは違いますが大好き。こういう演奏、なかなか聴けないけどもっと聴きたいです。かっこよかったー。
マーラー1番といえばホルン軍団!9人のホルンたちは終始音がでかくて元気でした(笑)トランペットよりもずっと前に出てきちゃうことしばしば。でもそれがいい。陽気で勇敢な戦士たちの元気のいい音だけでなく最後の最後に起立するのが今回の演奏では長く(最後まで立ってた)勇ましい立ち姿まで長く拝めてしまってちょっと得した感が。
あとはいつものことながら打楽器軍団もブラボー。マーラーは同時代の作曲家と比べると打楽器を多く使いますが第1番ではティンパニが2セット入るのがすごい。パートの分担とか一緒に弾いてるところとかよくみると面白い。そして毎回ですがシンバルの技が光ります。
さて、次回のマーラーサイクルは11月の第2番「復活」。
それまでにも行きたいコンサートがあちらこちらにあるのですが予定とか改めて立てないと行くに行けない。今週末はバッハのロ短調ミサ曲だったはず(汗)
そして次回も1週間分の冒険続きます。
今日の一曲: グスタフ・マーラー 交響曲第1番 第4楽章
映画でも小説でも葛藤と勝利というテーマ・流れは定番で、マーラーの交響曲も基本的にはほとんどがそういう流れに沿っているんですよ(ただ1番はそれを第4楽章に凝縮してて他の交響曲は複数の楽章に渡って積み上げていくみたいな違いはあります)。
中期~後期になるとその世界観のとんでもない完成度でそういう定番の流れのベタさも感じさせないのですが、マーラー最初の交響曲だとやっぱりちょっとベタな感があって(そしてそれが好き)、それが前述「ファンタジー的な」雰囲気(とそれゆえのキャッチーさ)を作りだすんだと思います。
天才とはいえ、かなり完成度の高い交響曲・音楽とはいえまだ発展途上ではあるためマーラーの音楽の世界と魅力を第1番だけでは語れないのですが、それでもやっぱり初めてのマーラーには第1番が一番いいと思いますし、オケの楽しさを味わうにもホルンの格好良さを味わうにもものすごくオススメです。
マーラーは生涯を通じてものすごく葛藤があった人で。もちろん人間誰でもある程度葛藤はあるのですがマーラーの場合自身の気質や生い立ちが色々関連して濃い闇を内包しながら死と隣り合わせで、そういうエレメントが彼の音楽に大きく影響しています。
(割とその闇の性質が自分にとって大変馴染みやすいものなので鬱的な何かが関連してるのかなーとたまに思うのですがはっきりはしていませんね)
口癖というか持論というかのようにいつも言うのですが「マーラーは深い闇をよく知っているからこそまばゆく焦がれるような光が描ける」のです。そして闇を知ってる人全員がそういう光を表現できるわけではなく、そういう意味でもマーラーはすごい。
嵐のような激しさのなかでの葛藤と戦い、ロマンチックな時間の流れと過ぎ去った楽章の回想、そして一回は過ぎ去りながらもまた戻ってくる輝かしい勝利の光、それを音楽と共に旅する喜びを味わって欲しいなあといつも思っています。
(そしてその旅する過程とたどり着く感覚を味わうのは他のマーラーの交響曲にも共通しています)
そういえばメル響はマーラーサイクル一部・全部録音するのかな。
今のところメル響の演奏では1番は出てない(他はいくつかある)みたいなので手持ちのショルティ指揮のシカゴ響の録音をリンク。
自分は生まれる前からこの録音で育ってます。なので実際音楽的にそうなのかは分かりませんが自分にとってはこれが「王道」マーラー1番。
忘れないうちに1週間分の諸々の怒濤の更新続きます。
まずはお知らせ。
今年は近くのコミュニティアマチュアオケStonnington Symphonyのコンサート3つで弾かせてもらう予定ですが(1つは5月に終わりました)、それに加えてもちょっと遠くのアマチュアオケZelman Symphony Orchestraでも12月に「惑星」(2公演)のチェレスタパートを本物のチェレスタで弾かせてもらうことになりました。
しかも、そのチェレスタがオケ所有なのですが、古くてボロかったチェレスタをコミュニティオケとしては破格のお金を出して修理してもらったとのことで。そのリニューアルしたチェレスタのお披露目としてチャイコフスキーの「くるみ割り人形」の「金平糖の妖精の踊り」をオケと弾かせてもらうことになりました。協奏曲とまではいきませんがちょっぴりソリスト扱いですよー。
とりあえずまだまだ先の話なので詳細は後日。
さて、以前のエントリーで紹介したとおりメルボルン交響楽団の巨大企画、マーラーサイクルが開幕しました。ちょうど両親が来た次の日(というか24時間以内)だったのであらかじめチケット3枚予約して行きましたよ-。なんといってもマーラーの交響曲のなかで1番は特にポピュラーなので(5番とならんでトップ)3公演あっても油断はできませんからね。
プログラムは以下の通り:
メル響「Mahler 1: The Cycle Begins」
指揮者:Sir Andrew Davis
リヒャルト・シュトラウス 4つの最後の歌(ソプラノ:Erin Wall)
(休憩)
グスタフ・マーラー 交響曲第1番
マーラーの交響曲のなかでも1番は短いので他の曲も入ってきますがそれがマーラーと並び立つ後期ロマン派の名作曲家リヒャルト・シュトラウスとはまた贅沢。そのシュトラウスの作品の中でも特に今年は後期の作品に縁があって、シュトラウスの音楽がそれで本当に好きになってきてます。
メタモルフォーゼンなどでも見られる後期特有の不思議なハーモニー・色彩の移り変わり(特に弦楽器)がこの演奏でも本当に美しかったです。そして全体を通じて(保守的までとは言わないですが)安心を感じるような伝統的な後期ロマン派のテイストで本当にtrueなシュトラウスを聴いているなーという気持ちになりました。
そしてメインディッシュのマーラー1番。
ちょっとフレーズの頭のずれが気になったものの(定番レパートリーだし3回目公演だしどうしたんだろう)全体的に素晴らしい演奏でした。
まず印象に残ったものその1が第2楽章のワルツのウィーン風のくずし(リズム、フレーズ的にも)。ものすごく本場な感じというか、これが経験とセンスなんだろうなあというフレーズの動かし方。(自分には基本センスのようなものは総じてないのでうらやましいやら尊敬するやら)
聴いてて5番の(同じくウィーン風のワルツが出てくる)第3楽章が猛烈に楽しみになりました。
ただそれよりも強烈に印象に残ったのが第4楽章。
まるで剣を手に進むようなファンタジーなイメージがある1番の第4楽章がこんなにリアルで厳しいイメージになるとは!死の行軍とも言えるような、激しく容赦なくざくざく進んでいく感はとてつもなく格好いいながらちょっと涙もにじむほど厳しい。(1番よりももっと後の交響曲に見られるくらいのリアルさでしたね)そしてその厳しさでエンディングも印象が変わってくる。いつも聴くよりもまばゆく輝かしく。
自分が親しんでいる1番の第4楽章のイメージとは違いますが大好き。こういう演奏、なかなか聴けないけどもっと聴きたいです。かっこよかったー。
マーラー1番といえばホルン軍団!9人のホルンたちは終始音がでかくて元気でした(笑)トランペットよりもずっと前に出てきちゃうことしばしば。でもそれがいい。陽気で勇敢な戦士たちの元気のいい音だけでなく最後の最後に起立するのが今回の演奏では長く(最後まで立ってた)勇ましい立ち姿まで長く拝めてしまってちょっと得した感が。
あとはいつものことながら打楽器軍団もブラボー。マーラーは同時代の作曲家と比べると打楽器を多く使いますが第1番ではティンパニが2セット入るのがすごい。パートの分担とか一緒に弾いてるところとかよくみると面白い。そして毎回ですがシンバルの技が光ります。
さて、次回のマーラーサイクルは11月の第2番「復活」。
それまでにも行きたいコンサートがあちらこちらにあるのですが予定とか改めて立てないと行くに行けない。今週末はバッハのロ短調ミサ曲だったはず(汗)
そして次回も1週間分の冒険続きます。
今日の一曲: グスタフ・マーラー 交響曲第1番 第4楽章
映画でも小説でも葛藤と勝利というテーマ・流れは定番で、マーラーの交響曲も基本的にはほとんどがそういう流れに沿っているんですよ(ただ1番はそれを第4楽章に凝縮してて他の交響曲は複数の楽章に渡って積み上げていくみたいな違いはあります)。
中期~後期になるとその世界観のとんでもない完成度でそういう定番の流れのベタさも感じさせないのですが、マーラー最初の交響曲だとやっぱりちょっとベタな感があって(そしてそれが好き)、それが前述「ファンタジー的な」雰囲気(とそれゆえのキャッチーさ)を作りだすんだと思います。
天才とはいえ、かなり完成度の高い交響曲・音楽とはいえまだ発展途上ではあるためマーラーの音楽の世界と魅力を第1番だけでは語れないのですが、それでもやっぱり初めてのマーラーには第1番が一番いいと思いますし、オケの楽しさを味わうにもホルンの格好良さを味わうにもものすごくオススメです。
マーラーは生涯を通じてものすごく葛藤があった人で。もちろん人間誰でもある程度葛藤はあるのですがマーラーの場合自身の気質や生い立ちが色々関連して濃い闇を内包しながら死と隣り合わせで、そういうエレメントが彼の音楽に大きく影響しています。
(割とその闇の性質が自分にとって大変馴染みやすいものなので鬱的な何かが関連してるのかなーとたまに思うのですがはっきりはしていませんね)
口癖というか持論というかのようにいつも言うのですが「マーラーは深い闇をよく知っているからこそまばゆく焦がれるような光が描ける」のです。そして闇を知ってる人全員がそういう光を表現できるわけではなく、そういう意味でもマーラーはすごい。
嵐のような激しさのなかでの葛藤と戦い、ロマンチックな時間の流れと過ぎ去った楽章の回想、そして一回は過ぎ去りながらもまた戻ってくる輝かしい勝利の光、それを音楽と共に旅する喜びを味わって欲しいなあといつも思っています。
(そしてその旅する過程とたどり着く感覚を味わうのは他のマーラーの交響曲にも共通しています)
そういえばメル響はマーラーサイクル一部・全部録音するのかな。
今のところメル響の演奏では1番は出てない(他はいくつかある)みたいなので手持ちのショルティ指揮のシカゴ響の録音をリンク。
自分は生まれる前からこの録音で育ってます。なので実際音楽的にそうなのかは分かりませんが自分にとってはこれが「王道」マーラー1番。
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