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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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第九に魘されて
ばたばたウィークに入りましたのでまずはお知らせ:

Stonnington Symphony Orchestra Malvern Town Hall Seriesコンサート2
Malvern Town Hall 8月17日(日)2時30分開演
指揮者:Roy Theaker
ソリスト: Alison Rae Jones (ソプラノ)、Emily Bauer-Jones (アルト)、Stephen Smith (テノール)、Roger Howell (バス)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル 「ジョージ2世の戴冠式アンセム」より「司祭ザドク」
ジュゼッペ・ヴェルディ 「聖歌四編」より「スターバト・マーテル」
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン 交響曲第九番「歓喜の歌」

全編合唱付きの大人数動員のコンサート。今週はリハーサルも増えて大変です。
このうちだと私がパートがあるのは司祭ザドク(オルガンパートをキーボードで)なのですが、今回合唱やソリストのリハーサルにピアノ伴奏が必要というので弾かせてもらうことになりました。

そのうち第九のソリストのリハーサルが今日だったのですが楽譜をもらったのが金曜日、それからトリッキーなオケ編曲のピアノパートをなんとかこなすのがどれだけしんどかったか。
歌い手の伴奏も(伴奏の授業意外は)ほとんど初めてですし、ベートーヴェンを前回真面目に弾いたのが・・・えっと10年前?(汗)妹に「珍しく普通の曲弾いてる」っていわれたけどそれまでとは。

まず第九の第4楽章がそもそも長い曲であることがあり。トータルで20分超えの楽章ってマーラーの交響曲とかでも多くはない。今回ソリスト部分(+木曜の合唱リハに備えてある程度そっちも習得)だけとはいえ結構質量があるんですよね。

そして前述のとおりオケ編曲のピアノ伴奏はだいたい難しい。オーケストラが弾いてる音をピアノで弾くということは結果ピアノにとっては必ずしも弾きやすいものではないもので。むしろ「こんなに違う!?」というくらい弾きにくい。連続オクターブや三度や六度、連打は弾きにくい。
なので書いてある音全部弾く必要はないのですが、どの音を弾くか弾かないかの判断も難しいし、色々音を変えたり抜いたりの箇所が多くて書き込みができない=自分がなにをやるか覚えにくい。
(なので意外と楽譜に書いてあるまま弾いたほうがある意味簡単な場合もたびたびある)

さらに指揮者のバトンに合わせて弾くこともそうですし、ソリストたちを支えるように弾かなきゃいけない。今回は特に歌い手のソリストということで息継ぎ、息の長さも考慮しなくちゃいけないですし、リズムやハーモニーの基点としての役割も果たさなきゃいけない。
本当はそういう余裕があればいいんですがなかなか難しい。初めて会う人たちだし人見知りも重なってパニクる。

そんなわけで今日のリハーサルはものすごく事前に心配でやってる間も心配で終わってもなかな
か「よかったー楽しかった-」とは言えない状態で。

でも結局のところソリストが歌ってるとこは指揮者さんがほぼ全部ベースラインだけでいいよーって言ってて基本左手だけで弾いてることも多く。
なーんだ、と思ったには思ったんですがでも最初の杞憂はただの杞憂でなく、全体を詰め込んでおいたからこそそこから必要に応じて引いたりしていく柔軟さがあるというので、事前にたんと心配してストレスしても全くの損ではないのです。

それに引き始めてソリストが入ってきた瞬間から(自分が望むほど弾けてないにもかかわらず)楽しくなってきて。他の人の音(あと指揮者のバトン)に反応して合わせる、サポート役に回るってのがやっぱ楽しいなーと。
それから歌い手とお仕事したことが少ないのでどういうところを注意してるかというか歌い手同士・歌い手とソリストがどういう話をするかにも興味津々。

なので結局はちょっと安心したし結構楽しかったです。
ただもっと弾けたらなあ、とかもっとそのサポートに関する気が回ったりしたらなあ、とか。あと今回ほぼ初めての経験でしたがもう何回か繰り返したらコツがつかめたり伴奏の授業で昔習ったことも活かせてちょっとはマシになるだろうなあ、とか。悔しいこともたくさん。

明日は通常のオケリハーサルですが木曜日にはこんどは合唱のリハーサルがあります。
ヘンデルとヴェルディのパートはまあ大丈夫そうですが(でもさらわなきゃ)第九がさらに嵩を増すのでまた心配です。
今冬はピアノ少なめでばたばたもあったり、今週も自分のレパートリーになかなか手が付けられない状態ですがとりあえずオケに注力せねば。
ピアノと創作に注力できる心持ちに持って行けるようがんばります。


今日の一曲: Nigel Westlake 「Missa Solis: Requiem for Eli」より「Hymn to the Aten」



ちと魘されすぎて第九を紹介とはいかないので(コンサートのプログラムは後ほど)、こないだABC Shopで買ったCDの紹介。
以前WestlakeのMissa SolisのSolarmax版(IMAX映画のための音楽)から2曲紹介しましたが、こちらのレクイエム版はSolarmax版から一部抜粋がある別の作品だそうです。(でいいんだよね)
Requiem for EliとありますがこのEliとはWestlakeの息子さんのこと。やりきれないとしかいいようのない悲しい出来事により若くして亡くなった息子さんのために書かれた、悲しみももちろんあるけれど壮大で力強い作品です。

オケと合唱とボーイソプラノ(ソロ)というかなり大編成で書かれたこの曲で私が一番ハイライトだと思うのがこの「Hymn to the Aten」の前半部分。
ここはトラックが始まってから3分間ずっと打楽器のみのソロなんです。動画見て数えたら全部で7人かな?ティンパニはもちろん、小さなシンバル(ずっと一定のリズムを刻み続ける曲の心臓ですね)、そして躍動感あふれるリズムを叩くドラム群。ひたすら熱いです。かっこいい。しかもCDはメル響の打楽器軍団なのでエネルギーが半端ない。
(そういえばWestlakeはフュージョンかなんかのバンドでドラム叩いてた経緯もありますし、Compassionの第5楽章も打楽器ソロで始まっててもうここら辺は十八番なんですね)

「アテン」というのはエジプトの太陽神のこと。Missaとは言いますがこの時代必ずしもそれはキリスト教の宗教音楽を示す物ではなく、特にオーストラリアは音楽もそれ意外でも多文化で、このレクイエムにも様々なソースから歌詞が持ってこられて(CDのブックレットちゃんと見てみるとすごく面白いですよ)特定の文化や信仰を強く示すことがない音楽になっています。
ただやっぱりどことなくエジプトっぽいんですよね、この楽章の後半の合唱部分。わりと19世紀後半くらいから「エジプトっぽい」曲にはものすごく共通してる要素があって分かりやすい(&面白い、ただどれくらい本物かはわからない)のですが、それがうすーくこれにも入ってる感が。リズムとか、伴奏のパターンとか。歌詞はもちろんですが。

ということでやっぱりメル響の打楽器軍団で聴いて欲しい!と上に録音をリンクしましたが実はシドニー響の演奏でようつべにも一部試聴動画(ちょうどこのドラムソロの部分の途中からのもありました)がありますし、Bigpond動画では同じ演奏が全曲見れちゃいます。50分弱でそんなには長くないですよ。
Westlakeの得意な映画音楽的なスタイル、だけれどそれを超えた部分も大きい、素晴らしい&聴きやすい作品なので是非聴いてみてください。


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