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前回のエントリーに拍手ありがとうございます~
今朝は田舎から友達が来ているのでBrighton Beachで集まってきました。ちびさん&ちびちびさんももちろん一緒です。ちびちびさんは10ヶ月、しっかり歩いてます。ちびさんは3歳でバレエを始めポケモンデビューまで果たした様子。(ちゃんと捕まえられるらしいですよ)
今日は天気もよくてこれから夏が来る感じがまたよかったー。
さて昨日はロンドン交響楽団のコンサートに行って来ました。どうもオーストラリアを何カ所かちょっとずつ違うプログラムで回ってるみたいですね。ABC Classic FMがブリスベンでの公演を放送してましたが生で聴くのが楽しみなので聴かずにおきました。
場所はいつものHamer Hallでプログラムはこんな感じでした。
演奏:ロンドン交響楽団(London Symphony Orchestra)
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第1番「古典的」
イーゴリ・ストラヴィンスキー 「ペトルーシュカ」(1947年版)
(休憩)
ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第10番
(アンコールもあったのですが知ってる曲なのに題名が分からない!)
オールロシアンプログラム、聴いててどれも楽しかったです。
最初に思ったのはものすごく上品!ということ。(もちろんいつも聴いてるオケ諸々がそうでないわけではないですが・・・)
上品もそうなんですがオケという機械のギアに隅々まで油が差してあってものすごくスムーズに動いている感じ。プロコフィエフで一番わかりやすくそうだったのですが最小の摩擦で効率良く進んでいくというか。なんかちょっとプリウス感がありました(笑)スマートでノイズ少なくてすーっとストレスなく走る。弦の音のアタックとかアンサンブルとかとにかく摩擦がなくてピュアな音。
で、聴いて考えてるとこのスムーズさってオケのそれぞれの楽器が各々の役割をきっちり果たしてることで全体としてうまくいってるのかなーという印象がありました。
第1バイオリンはほぼ常に引っ張る役目ですし、コントラバスは控えめ気味に下から支えてる、みたいな。メルボルンの(特に若い人の)オケだと役割を破ることでもっとダイナミックに音楽を動かすようなところがあると思います。
なので例えばショスタコ一つとってもものすごく爆発的に葛藤的に盛り上がるところでは血が沸くほどエキサイティングではなかったのですが、微妙な緊張で流れる部分や色彩が感情を作り出すところはものすごく美しい。いつもは速い第2楽章ばっかり聴くこの曲の第3楽章や第4楽章に惚れ直したのもそういう演奏だからこそかな。
個々の奏者でいうと常に首席フルートがいいところ持ってきましたねー。見せ場はショスタコでも多かったのですが一番はペトルーシュカで人形使いが吹く笛。オケでたった一人、スポットライトが当たっているかのような感覚がするほどの独擅場。あのソロであんなにテンポを自由に動かすのは初めて聴いた!限界に挑戦してる感満載でした。
それからちょっと気になったのがショスタコでのシンバル奏者のクラッシュシンバルの叩き方。一歩足を踏み出すようにして両手でアンダーアームで投げるみたいに全身で叩くスタイル。気づくと目が離せない。体の負担ってどうなんだろうなー。
(あと奏者じゃなくて気になったのがバスドラムが薄かった!幅が違うと音がどう変わるんだろう)
ということでいつもメルボルンで聴けるのと違う性質のオケが聴けて面白かったですし楽しかったですし、勉強にもなりましたし。なにより素晴らしい演奏でした。
あとショスタコの交響曲って意外と生で聴く機会が少ないので(5番以外となるとかなり少ないような)最近聞いた気もしますが10番を楽しめてよかったです。
もっと世界にショスタコを!(ついでにもっと世界にメシアンも!クラムも!)
今日の一曲: イーゴリ・ストラヴィンスキー バレエ「ペトルーシュカ」(1947年版)より「ペトルーシュカの部屋」
ストラヴィンスキーの三大バレエ=「火の鳥」、「ペトルーシュカ」、「春の祭典」の一つです。
そういえば日本ではクイズなどでクラシック関連の三大なんとかとか色々あるんですけど本当は三大とはっきり言えるのってストラヴィンスキーくらいしかないですよ。他はなんか便宜上のくくくりなような印象。ほんとうにはっきり目立って3つ、といえばこれとチャイコフスキーの三大バレエくらい。
(ちなみにストラヴィンスキーのバレエって短い場面が続いてたりなんだりで区切るのが難しくてここであんまり紹介してないんですよね。今回機会ができたので逃さず書きたいと思います)
ペトルーシュカはロシアのカーニバルの片隅で繰り広げられる心を持った人形の悲劇。人形にも貧富やモテ非モテなど格差がある世界。それは正に人間の社会のミニチュアでカリカチュア。
この楽章はそんなペトルーシュカの惨めな世界を体現したような自室でのモノローグとソロの踊りの場面です。
(この作品もバレエ・リュスによって世に出されたのですが主役のペトルーシュカはもちろんニジンスキーが演じたそうです。まるで本当に人形のような奇怪な動きだったそうですよ)
ペトルーシュカはオケ作品としては協奏曲のソロにも匹敵する巨大なピアノパートがあることでも有名。(実際作曲家自身によるピアノ独奏のために切り貼りアレンジした版もあります)
特にこの「ペトルーシュカの部屋」はピアノ独奏が多いセクション。
頭もそんな良くなくてみすぼらしくただただ自分の惨めさを呪うペトルーシュカのソロとその殺風景な部屋を描くのにはピアノって整いすぎてないかなーとも思わないことないんですが、なんというかしっくりくる音の風景。
この部分は伝統的な見方でいえば「不協和音」的なハーモニーを多用することでも知られています。2本のクラリネットが奏でるのはハ長調の分散和音+嬰ヘ長調の分散和音(トライトーンの衝突!)。他にもこうやって意図的に、計算して音が衝突するようなハーモニーを選んでいる箇所がたくさん。
とはいえここに限らず曲の至るところが、そしてストラヴィンスキーの作品の至る所が彼の緻密な計算の賜物なんですけどね。生涯を通じて様々な作風で曲を書いたストラヴィンスキーですが(知り合い同士だったピカソに似てますね)、どの作風でもストラヴィンスキー独特のスタイルで、どの音楽もしっかり計算されていて。とにかく完璧に近い音楽を書く人だと思います。
ストラヴィンスキーの三大バレエのうちだと一番気軽に楽しく聴けて情景が想像しやすいのが「ペトルーシュカ」だと思います。
(ちなみにストラヴィンスキーの魔法のような音楽を感じられるのが「火の鳥」で、色んな意味でMAXストラヴィンスキー&MAXオーケストラな音楽が「春の祭典」・・・かな)
ロシアの作曲家って謝肉祭のようなお祭りを描くことが結構好きで、そういう作品も色々あるのですが描写のわかりやすさはペトルーシュカが一番だと思います。
(あとペトルーシュカはエンディングがものすごい好き。あのトランペットのソロは格好いい)
今Amazonをざっとみてみるとストラヴィンスキーの三大バレエはそのうち2つをコンビで収録してるのが多いですね。あとは三大以外の作品と合わせたり、バルトークなど同時代の作曲家の作品と組み合わせてる録音も。ただ今回聴いたロンドン交響楽団の演奏(指揮は違いますが)で3つ揃ってるの+αの2枚組をみつけたのでそちらをリンク。3つ一緒だとお手軽だなー。
あとペトルーシュカは1911年版(原版)と後に色々直したりなんだりした1947年版があります。違いはざっと聴いてるだけじゃあんまり目立ちはしないかな、でも1947年版の方がドライで洗練した感じに楽器使いなどが仕上がってる気がします。
やっぱり曲の区切りが難しいのですがストラヴィンスキーの作品、もっとこっちで紹介したいです。
今朝は田舎から友達が来ているのでBrighton Beachで集まってきました。ちびさん&ちびちびさんももちろん一緒です。ちびちびさんは10ヶ月、しっかり歩いてます。ちびさんは3歳でバレエを始めポケモンデビューまで果たした様子。(ちゃんと捕まえられるらしいですよ)
今日は天気もよくてこれから夏が来る感じがまたよかったー。
さて昨日はロンドン交響楽団のコンサートに行って来ました。どうもオーストラリアを何カ所かちょっとずつ違うプログラムで回ってるみたいですね。ABC Classic FMがブリスベンでの公演を放送してましたが生で聴くのが楽しみなので聴かずにおきました。
場所はいつものHamer Hallでプログラムはこんな感じでした。
演奏:ロンドン交響楽団(London Symphony Orchestra)
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第1番「古典的」
イーゴリ・ストラヴィンスキー 「ペトルーシュカ」(1947年版)
(休憩)
ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第10番
(アンコールもあったのですが知ってる曲なのに題名が分からない!)
オールロシアンプログラム、聴いててどれも楽しかったです。
最初に思ったのはものすごく上品!ということ。(もちろんいつも聴いてるオケ諸々がそうでないわけではないですが・・・)
上品もそうなんですがオケという機械のギアに隅々まで油が差してあってものすごくスムーズに動いている感じ。プロコフィエフで一番わかりやすくそうだったのですが最小の摩擦で効率良く進んでいくというか。なんかちょっとプリウス感がありました(笑)スマートでノイズ少なくてすーっとストレスなく走る。弦の音のアタックとかアンサンブルとかとにかく摩擦がなくてピュアな音。
で、聴いて考えてるとこのスムーズさってオケのそれぞれの楽器が各々の役割をきっちり果たしてることで全体としてうまくいってるのかなーという印象がありました。
第1バイオリンはほぼ常に引っ張る役目ですし、コントラバスは控えめ気味に下から支えてる、みたいな。メルボルンの(特に若い人の)オケだと役割を破ることでもっとダイナミックに音楽を動かすようなところがあると思います。
なので例えばショスタコ一つとってもものすごく爆発的に葛藤的に盛り上がるところでは血が沸くほどエキサイティングではなかったのですが、微妙な緊張で流れる部分や色彩が感情を作り出すところはものすごく美しい。いつもは速い第2楽章ばっかり聴くこの曲の第3楽章や第4楽章に惚れ直したのもそういう演奏だからこそかな。
個々の奏者でいうと常に首席フルートがいいところ持ってきましたねー。見せ場はショスタコでも多かったのですが一番はペトルーシュカで人形使いが吹く笛。オケでたった一人、スポットライトが当たっているかのような感覚がするほどの独擅場。あのソロであんなにテンポを自由に動かすのは初めて聴いた!限界に挑戦してる感満載でした。
それからちょっと気になったのがショスタコでのシンバル奏者のクラッシュシンバルの叩き方。一歩足を踏み出すようにして両手でアンダーアームで投げるみたいに全身で叩くスタイル。気づくと目が離せない。体の負担ってどうなんだろうなー。
(あと奏者じゃなくて気になったのがバスドラムが薄かった!幅が違うと音がどう変わるんだろう)
ということでいつもメルボルンで聴けるのと違う性質のオケが聴けて面白かったですし楽しかったですし、勉強にもなりましたし。なにより素晴らしい演奏でした。
あとショスタコの交響曲って意外と生で聴く機会が少ないので(5番以外となるとかなり少ないような)最近聞いた気もしますが10番を楽しめてよかったです。
もっと世界にショスタコを!(ついでにもっと世界にメシアンも!クラムも!)
今日の一曲: イーゴリ・ストラヴィンスキー バレエ「ペトルーシュカ」(1947年版)より「ペトルーシュカの部屋」
ストラヴィンスキーの三大バレエ=「火の鳥」、「ペトルーシュカ」、「春の祭典」の一つです。
そういえば日本ではクイズなどでクラシック関連の三大なんとかとか色々あるんですけど本当は三大とはっきり言えるのってストラヴィンスキーくらいしかないですよ。他はなんか便宜上のくくくりなような印象。ほんとうにはっきり目立って3つ、といえばこれとチャイコフスキーの三大バレエくらい。
(ちなみにストラヴィンスキーのバレエって短い場面が続いてたりなんだりで区切るのが難しくてここであんまり紹介してないんですよね。今回機会ができたので逃さず書きたいと思います)
ペトルーシュカはロシアのカーニバルの片隅で繰り広げられる心を持った人形の悲劇。人形にも貧富やモテ非モテなど格差がある世界。それは正に人間の社会のミニチュアでカリカチュア。
この楽章はそんなペトルーシュカの惨めな世界を体現したような自室でのモノローグとソロの踊りの場面です。
(この作品もバレエ・リュスによって世に出されたのですが主役のペトルーシュカはもちろんニジンスキーが演じたそうです。まるで本当に人形のような奇怪な動きだったそうですよ)
ペトルーシュカはオケ作品としては協奏曲のソロにも匹敵する巨大なピアノパートがあることでも有名。(実際作曲家自身によるピアノ独奏のために切り貼りアレンジした版もあります)
特にこの「ペトルーシュカの部屋」はピアノ独奏が多いセクション。
頭もそんな良くなくてみすぼらしくただただ自分の惨めさを呪うペトルーシュカのソロとその殺風景な部屋を描くのにはピアノって整いすぎてないかなーとも思わないことないんですが、なんというかしっくりくる音の風景。
この部分は伝統的な見方でいえば「不協和音」的なハーモニーを多用することでも知られています。2本のクラリネットが奏でるのはハ長調の分散和音+嬰ヘ長調の分散和音(トライトーンの衝突!)。他にもこうやって意図的に、計算して音が衝突するようなハーモニーを選んでいる箇所がたくさん。
とはいえここに限らず曲の至るところが、そしてストラヴィンスキーの作品の至る所が彼の緻密な計算の賜物なんですけどね。生涯を通じて様々な作風で曲を書いたストラヴィンスキーですが(知り合い同士だったピカソに似てますね)、どの作風でもストラヴィンスキー独特のスタイルで、どの音楽もしっかり計算されていて。とにかく完璧に近い音楽を書く人だと思います。
ストラヴィンスキーの三大バレエのうちだと一番気軽に楽しく聴けて情景が想像しやすいのが「ペトルーシュカ」だと思います。
(ちなみにストラヴィンスキーの魔法のような音楽を感じられるのが「火の鳥」で、色んな意味でMAXストラヴィンスキー&MAXオーケストラな音楽が「春の祭典」・・・かな)
ロシアの作曲家って謝肉祭のようなお祭りを描くことが結構好きで、そういう作品も色々あるのですが描写のわかりやすさはペトルーシュカが一番だと思います。
(あとペトルーシュカはエンディングがものすごい好き。あのトランペットのソロは格好いい)
今Amazonをざっとみてみるとストラヴィンスキーの三大バレエはそのうち2つをコンビで収録してるのが多いですね。あとは三大以外の作品と合わせたり、バルトークなど同時代の作曲家の作品と組み合わせてる録音も。ただ今回聴いたロンドン交響楽団の演奏(指揮は違いますが)で3つ揃ってるの+αの2枚組をみつけたのでそちらをリンク。3つ一緒だとお手軽だなー。
あとペトルーシュカは1911年版(原版)と後に色々直したりなんだりした1947年版があります。違いはざっと聴いてるだけじゃあんまり目立ちはしないかな、でも1947年版の方がドライで洗練した感じに楽器使いなどが仕上がってる気がします。
やっぱり曲の区切りが難しいのですがストラヴィンスキーの作品、もっとこっちで紹介したいです。
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