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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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イギリスの素晴らしき曲集2つ
前回のエントリーに拍手ありがとうございます~
昨日はこっちの日本映画祭の一環で上映してた「清須会議」を観に行きました。楽しかったです。
ただ今日のエントリーはその後のリハーサルから。実は「惑星」に関しては今週の土日のコンサート前最後のリハーサルでした。

とりあえずまずコンサートお知らせ。

<Zelman Symphony Orchestraコンサート>
12月6日午後8:00、12月7日午後2:30
Eldon Hogan Performing Arts Centre, Xavier College
ベンジャミン・ブリテン オペラ「ピーター・グライムズ」より四つの海の間奏曲
レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ オーボエ協奏曲(オーボエ:Andrew Kawai)
グスタフ・ホルスト 「惑星」(女声合唱:Cloud9 Women's Choir)

で、プログラムに載ってないですが以前書いた通り修繕したチェレスタのお披露目ということでチャイコフスキーの「くるみ割り人形」から「金平糖の精の踊り」を(ほぼソリスト扱いで)弾きます。気合い入れて頑張ってきますよー。

今回演奏されるプログラム、協奏曲を除いたブリテン「四つの海の間奏曲」とホルスト「惑星」はどちらも好きな曲(ブリテンでパートがないのが悔やまれる!)。
なんといってもそれぞれの曲集を構成する楽章のとりあわせが秀逸だと思うのです。うまいことバランスが取れているというか。食事で例えるのも変ですが、栄養的にはわからないですが味とか色のバランスとしてはパーフェクト。

「惑星」は何回か弾いてますしブログでも前回の演奏で色々書いてますが、7つの惑星を(占星学的に)表す7つの楽章のキャラクターがそれそれ違って全部いい。
好戦的な火星、純粋に美しい金星、自由で軽快な水星、快活に踊り歌う木星、渋いけれど秘めた美しさがある土星、ひねくれた遊び心のある天王星、そして神秘的に誘惑する海王星。

これらがそれぞれ違う個性を持っているのも面白いけど、どの曲をとっても他に似たような曲がほとんど見つからない。(火星みたいな曲は結構あるけれど大部分火星が原点なんじゃないかなー)
あと木星以外はイギリスっぽさが薄いのもちょっと意外かな。海王星に関してはもうフランス音楽の域に限りなく近い。ラヴェルとかメシアンまで届・・・かないかな。
そういう意味での自由さが各曲の独特な魅力、そしてバラエティの広さにも繋がってるのかも。

10歳くらいで「木星」を好きになってから20年弱のうちにぐるっと一周すべての楽章にはまってきましたし、3~4回くらい弾いてもいますし、20年のうちに大分好みも偏屈になってきましたけどなかなか飽きないんですよね。弾いても聴いても楽しいですし、ディテールを分析してもすごいことが分かる。クラシック初心者にもひねくれ玄人にも楽しめる懐が深い音楽です。
話は変わって「四つの海の間奏曲」。こちらは曲数も少なく「惑星」ほど壮大なスケールでもないですが海の景色をしっかり濃く描いています。
以前も書いたと思いますがこの曲集(と元のオペラ)で描かれてるのは常に身近に、人間の営みの傍にある海。恩恵を受けたり被害を受けたりする海であり、なんといっても季節や天候とともに姿と性格を変える海。

日本の気候を4つの季節で表すように、ブリテンは海の表情を4つの顔で表します。穏やかな(イギリスなんで多分曇ってる)「夜明け」、太陽の光と人々の動きが見える「日曜の朝」、黄金を静かに映す「月光」、そして雲と風と波が荒れる「嵐」。一つの海を描いているのにそれぞれが全く違う曲になっています。
そしてどれも海の情景だけでなく天候まで感じられる、描写力がピカイチでイギリスの風土に根付いたのが魅力の音楽。

そんな2つの曲集がまとめて楽しめちゃうのが今週末のコンサート。
オーストラリアではみんな大好きイギリス音楽、といえるくらいイギリス音楽を弾いたり聴いたりする機会が多いですがこのプログラムはかなり私はツボってます。弾くのも楽しみですが弾かないところを聴くのもかなり楽しみ。

さて、コンサートももうすぐですし全部また紹介している暇はないので今日とコンサート感想のエントリーそれぞれで今日書いた2曲集から1楽章ずつ紹介したいと思います。



今日の一曲: ベンジャミン・ブリテン オペラ「ピーター・グライムズ」より四つの海の間奏曲 第4楽章「嵐」



昨日のリハーサルでチェロのリーダーやってる友達に聞いたのですがこの「四つの海の間奏曲」のチェロパートはなかなか難しいそうです。結構聴き込んでいると思ったけどそこまでは気づかなかったなー。でもチェロの作品を色々書いてる(そしてショスタコやロストロと交友関係にあった)ブリテンのことだから弾きごたえがあるチェロパートは当然のことかも。

そんな「四つの海の間奏曲」のフィナーレを飾るのがこの「嵐」。暗くてドラマチックな私好みの曲です。
マーラー5番の第2楽章と似たところが多い曲ですが、共通点の一つが弦のパワフルさ。やっぱり嵐を表す曲のごうごういった重く暗いうなりとうねりは上はバイオリンから下はコントラバスまで何十人もの音が集まってできるもの。

そしてそんな弦の波と風の上に(ずっと少ない人数で)乗る管楽器もまたすごい。この曲のピッコロとかフルートの音はショスタコーヴィチの交響曲とかにちょっと似てるパワフルさがあって圧巻です。

今かなりでっかい曲2つと比べちゃってちょっとあれですが、でも規模は小さくとも音楽的な質もパワーの濃さも負けちゃいないと思います。
あとなんたって海。海の曲としてとにかく好き。あと海が好きです。海が好きになる曲。

リンクしたのは手持ちの録音。ピーター・グライムズからは四つの海の間奏曲に加えてパッサカリアも収録されています。なかなか渋い曲ですがビオラやチェレスタの活躍が光る一曲です。

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