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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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豪ABC Classic FM今年のカウントダウンは・・・「Swoon」?
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。
今日はパスポートの更新やら他に急ぎ目の用やらなにやらでシティに行って来ました。
写真はともかくサインが(汗)いつも書いてるサインなのに重要な書類になるとどうしてとちるのか。とりあえず面倒な書類も10年に1度と思えばそんなに面倒でないところもあり。とりあえず無事提出できてよかった。

さて、今年も豪ラジオABC Classic FMのカウントダウンの季節になったようです。
今年はテーマを「Swoon」として(後で説明します)4月後半に候補曲を(楽章単位で)オンラインで一般募集して、それを元に作ったリストに今投票できるようになっています。
投票期間は5月17日の真夜中(日本と1時間差ですが)まで、1人につき10曲まで投票可。
結果発表&放送は6月8日の日本時間朝8時から。楽章単位なので短い

これまでABCのカウントダウンは時代くくりだったりジャンルだったり国くくりだったりのテーマでしたが、今回のこの「Swoon」とはなんぞ?と発表当時思いました。
Swoonは辞書を引くと「気が遠くなること」「恍惚となること」みたいな意味があるそう。
ただ辞書を引くよりも自分が納得したのはこのテーマが発表されたときのABCによる説明。
なんでも昔ABC Classic FMでは朝のラジオ番組として「Swoon」というプログラムをやっていたそうです。忙しくせわしい朝の時間にまるで時が止まるような、心の憩いになるような、そういう音楽を届ける目的のプログラムだったそうです。
今回のカウントダウンは正にそのプログラムのtributeになっているということです。

まあとにかく「まるで時が止まったような気持ちになる音楽」がテーマということで。
なので定番の「癒やし系」音楽がわらわらと湧いてるのかなーと思ったらなかなか予想もしない曲も色々入ってきてます。映画音楽も入ってますし、Max RichterやJohn Luter Adamsなど最先端の癒やし系作曲家の作品もノミネートされてる。オーストラリアの作曲家を含め現在活躍中の作曲家をかなり見ます。
全部詳しくみたわけじゃないのですが、時が止まるように美しい音楽の面白いリストになってるのでノミネート曲は必見です。上記のカウントダウンリンクからBrowse by composersで作曲家アルファベット別、Browse by Worksで曲名アルファベット別一覧が見れます。

そして私も貢献してきました。ノミネートもしましたし、投票もしました。
ノミネートした曲は一部リストに反映されましたが反映されてないものもあり。それはそれとして実際に投票した10曲をここでささっと紹介したいと思います。

1) オリヴィエ・メシアン 「世の終わりのための四重奏曲」より「イエスの永遠性への賛歌」
メシアンはこれか「彼方の閃光・・・」の楽章の2択でした。(トゥーランガリラ入れたのに・・・)ただ時が止まるというか、この曲は真に「永遠」ですからね。美しさにより、そして曲の書かれ方によって本当に時の流れが変わる曲。

2) グスタフ・マーラー 交響曲第2番 第4楽章「Ulricht(原光)」
マーラーの交響曲で好きな曲、美しいと思う曲といったら他にも色々あるんですけど、今回のこのテーマにぴったり合うのはこの楽章じゃないかな。メル響の演奏で時が止まったのが記憶に新しいですしね。

3) オスバルド・ゴリホフ 「Tenebrae」
これ、私ものすごく好きな曲なんですけどノミネートしたのは私じゃなかった!どっかに同志がいる!アルゼンチン出身でユダヤ系のゴリホフによる、そのバックグラウンドを珍しくあまり感じさせない、どこかニュートラルな雰囲気と性質をもった美しい弦楽四重奏曲。私が自分の葬式で演奏してほしい曲現在ナンバー1です。

4) ジョージ・クラム 「Lux Aeterna」
これは私がノミネートに入れたやつ。責任を持って一票入れましたが誰か他に入れてくれるかな。クラムはこれ1曲なのでちょっとは伸びて欲しい。兎にも角にも自分にとっての究極の憩いはこの曲だと思うのです。全てにおいてニュートラルというか、時も空間も平衡がとれている曲。

5) アルヴォ・ペルト 「Cantus in Memoriam Benjamin Britten」
最初の鐘の音とその余韻で時がぴたっと止まる、ある意味すごい曲。そこからの下降音階の連なりで作る時間の流れもまた美しい。流動的なものをスローで見ているような感覚ですね。ペルトの美しい作品は数あれど、このテーマにはこの曲が一番ふさわしいんじゃないかな。

6) レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ 交響曲第5番 第3楽章
ペルトと同じくヴォーン=ウィリアムズもこのテーマに該当する作品が何曲も挙げられてて票が割れる懸念があるのですが、それでもヴォーン=ウィリアムズはこの曲をぜひ。(交響曲自体もっと知名度上がってくれ!)5番は第1楽章を熱烈に推しているのですが、この第3楽章もそれとはちょっと違った、憩いのような性質の美しさがあって密かに大切にしています。

7) モーリス・ラヴェル 「マ・メール・ロワ」より「妖精の園」
正直なところラヴェルの作品で自分にとってのswoonは「クープランの墓」の「フーガ」なのですが、リストにあるうちだとこれもかなり近い。他の曲よりも小さい範囲というか、まるで手のひらに乗るような規模の憩いですが、だからといって効力が弱いわけではないし大切じゃないわけでもないのです。

8) ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 第3楽章
この曲は・・・ちょっと他とは性質が違うかな。一種のswoonでは確かにあるんだけど、でも憩いというのも、時が止まるというのも少しだけ違うような、そして他のと一緒に扱うことに説明できない違和感があり。曲を聴いて感じるものが圧倒的に違うからかな。ただそれがショスタコ独特のswoonなのかもしれない。

9) セルゲイ・ラフマニノフ 交響曲第2番 第3楽章
これはなにより圧倒的な美で時を止めてしまうタイプのswoon。ラフマニノフはだいたいこう。ある意味力業?ただこの世界から心をどこかにもっていってしまうタイプのswoonの究極は同じ2番の第1楽章なんですよね。なにもswoonがゆっくりな曲ばかりとは限らない。

10) リヒャルト・ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」
そして最後にこれである。ワーグナー嫌いと言い張る私ですが、それでもこのチョイス。友人がリサイタルで(リスト編曲の)「愛の死」を弾いたのを聴いた時ものすごく感動して。掛け値無しに美しい音楽。時が止まるのはその美しさだけでなく、分析するたびにワーグナーが時を止める工夫が見えてくるというのも面白いです。

ということで私が投票したswoonな曲10曲でした。
実際のカウントダウン100位までにどれくらい反映されるか微妙ですが(ラフマニノフくらいかなあ・・・)結果は楽しみです。
20世紀以降の曲ももっと注目されるように指クロス。


今日の一曲はお休み。次回ここから1曲紹介できるかな。

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