忍者ブログ
~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

メル響Metropolisコンサート「The Light」感想
前回のエントリー&過去のエントリーに拍手ありがとうございます。
(最新以外はたまにしかチェックしないのですがなんとなく把握しています)

今回もまたMetropolisシリーズよりメル響コンサート2つ目。
なかなか聴くにタフなプログラムでしたが(自分にとってそうなので聞き慣れてない人にはもっと大変だっただろうな)、すごい音楽ばかりでした。
そして奏者、そして特に指揮者にとってはものすごく大変なプログラムだったかも。
メル響Metropolisコンサート「The Light」
指揮者:André de Ridder
Julia Wolfe 「Fuel」
Tan Dun 「Crouching Tiger Concerto」(チェロ:Oliver Coates)
(休憩)
Alexandar Garsden 「Faculties Intact (con tutta forza)」
フィリップ・グラス「The Light」

演奏順でなく今回の目玉から。中国の武侠映画の音楽で有名なTan Dun(譚盾)による作品。アカデミー賞受賞で彼を有名にした映画「Crouching Tiger, Hidden Dragon」(邦題:グリーン・デスティニー)の音楽を題材にしたチェロ協奏曲です。(二胡版もあるみたいですね)
いやあかっこよかった!

かっこよかったポイントその1、チェロのソロ。席の関係で前回のコンサートではチェロのソリストが聞こえなかったのですが今回はスピーカーありだったのではっきり聞こえますが。ありがたい!
チェロってほんとなんでもできる楽器ですね。音域が広いのはもちろん、二胡のような音もでますし、(ギターピック使って?)琵琶のようにざかざか弾くこともできる。メロディーもリズムもカウンターメロディーもサポートもなんでもできちゃう(&何やってもかっこいい)チェロの能力のがこの曲の中であまねく使われていて、楽器と奏者の能力と表現の幅を披露してるという意味でものすごく面白い協奏曲でした。
そしてチェロの音が骨太で渋みがあるのがまたかっこいい。二胡もいいんだろうけどチェロも素敵でっせ!

かっこよかったポイントその2、曲とオケ。メロディーとかリズムから中国の音楽、特に京劇の影響を受けてるってのはなんとなく分かったのですが、リズムの強さとrawさは西洋の20世紀以降の音楽、特にクラムの音楽の影響も見えたり。ほんとリズムがすごいんですよ。拍手や足踏みが入ったり、西洋でない打楽器を使ったり、打楽器以外の音楽も純粋に(音程なしの事も多い)リズムを担当したり。そしてこのオケ全体が強烈なリズムを演奏するのになんだかとにかく数で圧倒する中国的なものを感じました。独特の感覚じゃないかな。

最初の曲「Fuel」はその音楽が題材としている港のtime lapse映像が流れました。(今年のMetropolis映像・映画と音楽のつながりがテーマですしね)ただ映像の情報量もすごいし音楽もかなり情報量が多い。スタイルはミニマル・ミュージックににたパターンの繰り返し要素があって、しかもエネルギーとテンションがずっと高くてものすごく大変そう。決して聴いてて(多分弾いてても?)純粋に楽しいものではないのですが、すごい曲でした。弦楽オーケストラのための作品に一つものすごいレパートリーが生まれた。

そして今回もありました、若い作曲家による作品が「Faculties Intact (con tutta forza)」。これがまたものすごく難解な音楽だったのですが、とんでもないレベルの作品でした。ああいう音をイメージできて、表現できるってすごい。音楽自体はなかなか分かりにくいながらも「もしかしてこの1987年生まれは天才じゃないか!?」と思いました。(次のコンサートで聴く)ヴァレーズに似てるんですよね、ちょっと。指揮者の方はリゲティやクセナキスの影響を指摘してましたが。音楽を説明するのはできないのですが今でてきた面子の並びだけでそのすごさが分かる・・・かな。

そして最期のフィリップ・グラス。良くも悪くも超グラスな作品。オケの使い方は結構(伝統的な)交響的スタイルでもあるのですが、曲の構成はもうグラス以外の何物でもない。ものすごく繰り返す・焦らす、終わりがわかりにくい、曲が長い、しかもなんかものすごくヘ長調、のコンビ技で脳内から変な物質がコンサート終わってもしばらく出てました。音楽の構成とか展開って脳内のドーパミンが関わってる報酬システムと関連してるっていいますけどグラスの音楽ってそれをものすごく濫用してるんじゃないかな。

てなことで振り返っても聴くのにちょっと大変なところがあったプログラムですが、4曲とも出会ってよかったです。特にTan Dun。これは要フォローアップ。
・・・と思ってまずはようつべにチェロ協奏曲版があるか調べたらありました、動画
ちょっと打楽器のラインアップが違いますが(メル響の演奏では和太鼓みたいな太鼓もありましたし、前に出てくる手持ち太鼓もちょっと違った覚えが)こういう伝統的でない楽器を使う場合は入手しやすさなどで若干の差も出てくるのかな。

さて、Metropolisは明日で最後。しっかり楽しんできたいです。
仕事がちょっと渋滞しながら(どうも似たような納期のが来てしまってお断りする残念)のコンサート行きですが、実はその次の水曜もコンサートの予定があったり、あとまた数日田舎方面に行ったり。ちょっとばたばたしますががんばるぞー。


今日の一曲はお休み。

拍手[1回]

PR
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Comment:
Pass:
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック