忍者ブログ
~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

豪ABC Classic FMカウントダウン「Swoon」聴了!
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。

メルボルンは今週末は連休で(女王様の誕生日なのです)隣に住んでる人もずっと家にいたようでピアノが出来ず。仕事も何日も続く規模の案件なのでなかなか頭が落ち着かなく。

そんな中で楽しみだったのが毎年恒例の豪ABC Classic FMによるカウントダウンの放送。金曜日から今日まで100曲(単一楽章だったり全曲だったり)を4日にわたって放送されました。
今年のテーマは「Swoon」。心をここではないどこかに持って行く、時が止まるような感覚に陥る恍惚の音楽。とはいえどう説明してもどっか違う感は否めないのでとりあえず投票時のエントリーであーでもないこーでもないした痕跡にリンクしておきます。ついでに私が投票した10曲もそちらに。

さて、全体の結果は豪ABCのこちらにありますが10位までここに引用します。
10位 トマゾ・アルビノーニ アダージョ ト短調
9位 ガブリエル・フォーレ レクイエム
8位 エンニオ・モリコーネ 映画「ミッション」のサウンドトラック
7位 エドワード・エルガー エニグマ変奏曲
6位 ジュール・マスネ 「タイス」 
5位 グレゴリオ・アレグリ 「ミゼレーレ」
4位 アルヴォ・ペルト 「Spiegel im Spiegel」
3位 サミュエル・バーバー 弦楽のためのアダージョ(アニュス・デイ)
2位 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト クラリネット協奏曲
1位 レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ 「揚げひばり」

毎年カウントダウンのトップ10は賛否両論なのですが今回は自分の中だけでもなんだか複雑な気持ちになるラインアップでした。わかるにはわかるけどトップ10!?みたいな。入ってこなかった曲を思ってうーんと頭をひねる感はあります。ラフマニノフとかショパンとかどこいったー。
でもやっぱりすごく美しいし確かにswoonだもんなあ、と納得せざるを得ない。

ちなみにミニデータ(なんちゃって)。
私が投票したうちで100位以内に入ったのはアルヴォ・ペルト 「Cantus in Memoriam Benjamin Britten」(57位)と リヒャルト・ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」(50位)のみ。
オーストラリアの作品はSculthorpeのSmall Townと小組曲、ロス・エドワーズのDawn Mantras、Kats-Cherninの「Wild Swans」組曲、Westlakeの南極組曲、と概ねおなじみのラインアップ。
ジャンルで言うと声楽、特にオペラが多かったですね。合唱曲・歌曲も合わせるとかなりの数になるはず。

今回のカウントダウンのテーマは時代・国・楽器など特定の要素でくくるのではなく「Swoon」という割とふわっとした、個人の主観がかなり強く作用するようなテーマでしたが、それが投票やカウントダウンの納得にちょっと難儀するところもありながら結果面白い展開にもなりました。
カウントダウン放送中のTwitterハッシュタグをちょっと覗いてみると「これは自分にとってはswoonとは違うなー」とか「swoonの意味をもう一度考えさせられた」とか、一人一人の音楽の感じ方と思いの違いをこのテーマを通じて知り考えるきっかけになったり。
音楽の美しさの様々な形を味わったような気がします。

それから同じくTwitterのハッシュタグで面白かったのがリスナーさんたちの「Swoonのお供」。子供と聞いたり、温かい飲み物を入れたり、料理を作ったり、家にラジオがなくて車の中で聞いたり、好きな曲が続くからトイレ休憩にも立てなかったり。病気で療養中の人も居たり、犬猫も一緒にswoonを味わったり。「音楽に聴き惚れて週末の家事とかが全然片付かない!」というツイートも多かったです。みんながそれぞれ音楽の楽しみ方を共有してたのが興味深くて見て楽しかったです。
そういう音楽の聴き方、楽しみ方を引き出すのにもこういうテーマはよかったのかな。美しい音楽だからこそ味わい方にもこだわりが出てくる。

さらにラジオ放送の解説を見たりツイートの感想を見たりしてると音楽の美しさを表すボキャブラリーの多彩さも面白いです。Bliss(ful)、Heaven(ly)、Delight(ful)、Ecstatic、Divine、Orgasmic、などなど。こういう言葉が引き出されるのもこのテーマの音楽がなせる技。私もボキャブラリーを広げて磨かなければ。

ということでこんな曲ももっと上に入ってほしいなーと際限なく重いながら来年のテーマはなにかなーと早すぎる期待に胸をちょっとふくらませ。
あと101位から200位のリストも発表されないかな?毎年リストがざっと出るし、あと豪ABC Classic FMの朝のプログラムで小出ししていくようなことも言ってたのですが。

カウントダウン自体はABCのサイト(ここが最終日で下の方にいくつかに分かれてて、他の日へのリンクもあり)でもう一度聴けるようですし、ABC Classic 2(ネットラジオ)でも何回か再放送される様子です。

今日の一曲はトップ10からチョイス。


今日の一曲: サミュエル・バーバー 弦楽のためのアダージョ



正直この曲が3位になるとは思ってませんでした。確かに有名だし美しいけどあんな曲を押しのけてそんな曲と肩を並べるとは。

映画「プラトーン」に使われて有名になったこの曲。映画に使われた、ということだけでなくその使い方があまりにもツボにはまってて映画のシーンも音楽のシーンも相乗効果で強烈な印象になった例。こんなに強烈なケースって珍しいんじゃないかな。

以前書いたかな、私はこの曲あんまり好きじゃないんですよね。あれな理由ですが、とにかく悲痛すぎる音楽なので。あとその悲痛さがゆっくりのテンポで引き延ばされて一種の拷問に感じるので。
(ただこのゆっくりのテンポでの悲痛に耐えられないといいながらこの曲の合唱版である「アニュス・デイ」を聴くと息の都合上しょうがないとはいえ「速いなあ」と思ったりするんでもう理不尽なのは重々承知なのですが)

あと弾くにしても大変な曲です。弦楽器にとってフラットが多い曲は音程・和音の調整が難しく、長い音は弓のコントロールが難しく、弱音のコントロールもなかなかしんどい。最初の方はひたすら音量を抑えないとクライマックスが盛り上がらないですからね。そしてクライマックスで一旦静寂を挟んでからのエントリーのしんどさったら。

なので自分にとってはいろんな意味で鬼門な感がぬぐえない曲なのですが、弦楽オケのための作品ではトップクラス、そしてその悲愴な美しさは聴く人を別世界に突き落とし、時間と空間を止める正にswoon。
弱音まで聞こえる静かな場所でゆったりとした姿勢でその美しさと悲しさをがっつりかぶるような聴き方でどうぞ。

リンクはバーンスタインの指揮。なぜか惑星と威風堂々第1番のイギリス音楽との謎カップリング。どんなになってるんだろう。


拍手[1回]

PR
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Comment:
Pass:
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック