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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Emerson Quartetコンサート感想
火曜日にコンサート行ったのにあっという間に金曜日(汗)
水曜木曜はどうしてもバレエからの筋肉痛がすごくて木曜の夜にたどりつくまでにかなり体力を消耗しがち。
それに加えて仕事で今絶賛籠城中でその前に色々済ませたりでまたばたばた。BBC Proms聞いてがんばってます。

コンサートはMelbourne Recital CentreでのEmerson Quartetのコンサートでした。オーストラリア主要都市を回るツアーの一部でメルボルンでは日曜日・火曜日の2公演でそれぞれ違うプログラムを演奏。
私が聴きに行った火曜日はこんな感じでした。

Emerson Quartet @ Melbourne Recital Centre
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 弦楽四重奏曲第21番 K.575
アントニン・ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第10番 op.51
(休憩)
ドミトリ・ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第5番 op.92

日曜の方の公演はハイドン、バルトーク、ベートーヴェンでEmerson Quartetが弾くバルトークもどんなもんか聴いてみたかったのですがやっぱり自分にとってEmerson Quartetといえば手持ちの録音でいうとショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全集のボックスセットなのと、あとショスタコのカルテットでもよく聴くやつ以外が聴けるということで火曜日に。

なんか随分と久しぶりに弦楽四重奏を生で聴いた気がします。中学高校でもある程度弦楽四重奏やりましたし室内楽では超メジャーな編成で録音としていろんなカルテット曲を聴きますが改めて新発見再発見の多いこと。

まず弦楽四重奏の4人(バイオリン2人、ビオラ、チェロ)の力関係というか音楽的なバランスってこんな感じだったのかーという発見。もちろん4人が均等なわけではないですがバイオリン同士がこんなに近いとかビオラ・チェロそれぞれの独立感とか、もちろん現代になると大分変わってきますがモーツァルトとドヴォルザークではその均等ではない力関係からくる面白さみたいなのを感じました。

これがショスタコになると(この第5番に限らずですが)バイオリン2人vsビオラとチェロみたいな2:2の対立構図になってきてまた違うスタイルで面白い。ショスタコはオクターブで音重ねたがるんですが2人ずつでもオクターブで弾くなら1+1以上の音が出る単純だけど効果的なエフェクト。今回の演奏では特に前半・後半でのビオラの立ち位置(物理的ではなく音の)の違いでアンサンブルの機能とか響きが変わるのが印象的でした。Twitterでも書いたのですがサッカーにおけるミッドフィールダーですよビオラはほんと。

あともう一つ思うことがあったのが弦楽四重奏曲というジャンルのレパートリーについて。
ドヴォルザークは例えば今回演奏された第10番でもDumka/Furiantというチェコの民族音楽の形式を取り入れてるのですが、全体としては概ねモーツァルトやハイドンあたりからの形式とそんなに変わってないなーと。弦楽四重奏曲というジャンルの形式やキャラクター、意味合いが大きく変わってくるのはもしかしてショスタコーヴィチやバルトークあたりからなのかもなあ、と。
(少なくとも機能とか意味合いに関してはショスタコのカルテット曲はだいぶ独特なはず)

肝心の演奏の感想はただただよかったですね。もちろん前半も素晴らしかったのですがショスタコですよ。Emerson Quartetはとにかく音もアンサンブルとしてのチームワークもクリーンで洗練されてて、それでショスタコを弾くと刀のように鋭くシンプルに切れる・刺さるのが爽快で。ほんとショスタコの日に聴きに行ってよかった。(でもだからこそその同じ音でバルトークも聴きたかった!)

そしてアンコールもありました。去年亡くなったGeorge Walkerというアメリカの作曲家の四重奏曲とのことで。なんでも黒人の作曲家で初めてピューリッツァー賞を受賞した作曲家だそうで、アメリカでは有名な作曲家&曲らしいですがオーストラリアではなかなか名前も聞かない作曲家。でもそういう曲を国外ツアーに携えてきてくれるのはすごく良いです。新しい音楽に出会えるの嬉しいですし楽しいです。逆にオーストラリアのアンサンブルもどんどんオーストラリアの作曲家の曲を外国に持ってって欲しい(多分そうしてるアンサンブルが多いとは思いますが)。

今月はもう月末までほぼ家に缶詰の予定ですが来月になったらまた楽しみなコンサートがあります。きっと来月は夜も少しは寒くなくなるはず。20℃超えの日も増えるはず。コンサートだけじゃなくてAリーグ(屋外で座る)も始まるんで頼みますよメルボルンの春。


今日の一曲: ドミトリ・ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第5番



ショスタコは15つの交響曲と15つの四重奏曲を書いてて前者は公的、後者は私的な性質の作品で、弦楽四重奏曲の方が後の時代に書き始められてる・・・という基本的な説明をまずざっと。
ついでに他にも映画音楽もたくさん書いてたんですよ、というトリビアもちょろっと。

15つの四重奏曲だと第8番が圧倒的に有名ですね。ショスタコの人生に関するエピソードもあり分かりやすく、さらに暗いけど表現がストレートで、ライトモチーフとか引用も使って分析してなるほどと納得しやすい作品。ショスタコの音楽でも入門に使いやすく、弦楽四重奏曲としても面白いレパートリーなのでまた日を改めて紹介しようと思います(意外と紹介してなかった)。

第8番を知って、そこから他の弦楽四重奏曲をショスタコーヴィチの境遇とかを調べながら聴き進めていくともう沼ですね(笑)結構難解な曲もあるのですがそういう経緯とかを調べるとなんとなくわかっていくような部分もあり。

例えばこの第5番もちょっと難しい曲ではあるのですが、この曲がソヴィエトでスターリン政権時代にショスタコの作品の多くが発表できない時代に書かれ、スターリン死後にやっと演奏された、という事前情報があるとちょっとはとっかかりができるようなところはあるんですよね。

ショスタコはがーっと真っ直ぐに色々音楽を投げつけてぶつけてくるところのある作曲家で、それもこの曲で存分に味わえるのですが、同時に信じられないほど繊細な音楽も書けて(弦楽四重奏第5番だと第2楽章はものすごい)、ふっと他の作曲家のスタイルを思わせるような和音なんかも出てきたり。ギャップ萌えってやつですかね。なかなかすごいギャップです。

リンクした演奏はもちろんEmerson Quartetで。全部盛りです。そして追加の小品2曲もまた魅力的です。あとBorodin Quartetの演奏も持ってます。こちらは全集+リヒテルを迎えてピアノ五重奏曲というこれまた美味しすぎる詰め合わせ。演奏もまた違う魅力があるので両方おすすめです。

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ご無沙汰もご無沙汰で
なんだか長いこと書いてませんでしたね(汗)
仕事がこないとごろごろしていたり仕事が来て働いたり、日本行きのスケジュールをなんとか調整していたり。結構昼は外に出たりもしました。夜もたまに。
ただ仕事がないと落ち着かなくて書くことないし仕事があると頭使って疲労して、となるとブログというものはいつ書くものなのか。

仕事がない間はBBC Promsの録音も聴くことがないのでちょっと焦りました(それぞれ期限があるので)。リアルタイムでは昨夜がlast nightでしたが今絶賛追っかけ中です。
もちろん期限が最優先ですが気分に合わせてイギリス音楽だったりジャズだったり選んでみたり、休憩中のトークも時間があるときは興味深く聞いたり。

今のところ初めましてで面白いと思った曲はエルガーの「Music Makers」ですね。自己引用とか細かいネタも後からゆっくり拾いたいので録音はいつか入手せねば。あと最近も活発に万年筆で手書きしてるので元の詩にもものすごく反応してしまう。Arthur O'ShaunessyのWe are the music makers~って詩、昔から知ってはいますが全体だと長いのでどこを抜粋して書こうか悩むのです。

気温はだんだん上がる方向には動いてるのですが明日出かけるって決まってる日に限って寒かったり、気温は暖かくなってもなんだか変なタイミングで喘息がちょいと起こったり。寒さだけじゃなくて乾燥や空気中の細かいなにかも関わってるのかなー。

最近食べ物の組み合わせにはまっていて・・・という自覚はあんまりないのですがホワイトボードに色んな(主にお酒と甘い物のつまみの)組み合わせを気づいたらメモしてしまっていたり。ちょうど中秋の名月だったのでこないだ買ったStarwardのウィスキーに蓮の実餡のミニ月餅を合わせました。とてもよかったです。小豆あんよりも若干軽さがある蓮の実餡と焼き菓子部分どっちもウィスキーと合いますね。ただカロリーはそれなりにありますし(これをやるために夕飯を少なめにした)月餅は季節の物なので好きな時に食べられないのが残念。他の組み合わせももしかしたらここで報告するかも・・・?

そういえば今年は、というか今シーズンはメルボルン・ヴィクトリーのメンバーシップなるものに加入してみました。といっても観戦はどれだけいけるかわからないし事前に予約する特定のエリアの席に座りたいので一般席とか無しの「サポーターメンバーシップ」のみ。一応ちらほら特典はあります。お試しというか、応援したいなあという気持ちというか。でもショップ10%オフはとりあえず使う予定。ホームユニどの選手のプリントにしようかな。

近いうちにコンサートがあるので次の更新はその感想になりそうです。ものすごーく楽しみなんですがなんかこう、最近もっとがつんと新しい曲に出会うかテンション上がった曲にかぶりつくかしたい欲が強くてそういうコンサートにも行く機会が欲しいです。またはBBC Promsの残り物に福があるかも?


今日の一曲: アストル・ピアソラ 「Escualo」(チェロアンサンブル版)



ほんとチェロって音域の広さもあって何人も集めるとなんでも弾けちゃいそうな万能感がありますよね。自分の中ではバロック時代以前の弦楽作品(タリスのSpem in Aliumなんか分かりやすいですね)とかメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲とかシュトラウスのメタモルフォーゼンとかヴォーン=ウィリアムズのタリス幻想曲とかもうかなり無理がある域に来てますがチェロアンサンブルで聞いてみたいです。

この「Escualo」もピアソラ自身がバンドネオン弾いてる原曲の演奏も持ってますがチェロでやるとかっこよさがかなりアップする気がします。艶っぽい要素がちょっと控えめになって硬派なタンゴに、そして曲にもともたるエッジの鋭さがチェロの音色で際立つ感じ。

同じアルバムだと「Libertango」なんかは色んなアレンジがあって多分一番よく耳にするピアソラのタンゴだと思うんですがチェロアンサンブルで弾くとなんかリズムのちょっとした凶暴さが前に出てくる感じが好きです。アルゼンチンタンゴの暗めの曲調はチェロの色んな音と相性が良さそう。

ということで手持ちの録音をリンク。チェロアンサンブルを聴く楽しさももちろんですがチェロという楽器、そしてチェロアンサンブルの無限の可能性(?)に思わず頭を巡らせてしまうかもしれない演奏です。あれもこれも弾いて欲しくなる。そしてとうとう「チェロアンサンブル」で検索かけて片っ端から試聴する羽目に(私です)。


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今年は真冬の祭典White Night
今日いつも通り朝起きて諸々タイムラインやサッカーのニュースやなんかチェックして天気予報を見たら来週の月曜日の最高気温が21度の予報になってて喜びすぎて咳き込みました流 星姫です。
今チェックしたら変わってましたが(笑)でも今日も外はのどかで顔だけ日焼け止め塗れば良かったと思ったくらいですのでもうすぐなようです。

さて今回は先週の木金土と開催されたWhite Nightの感想を。主に写真になります。
今年は仕様変更で夏から冬へ、オールナイトイベントから3夜連続時間制限ありへと変更があって色々違うことたくさんありました。全体的にちまっとした印象は否めないかなあ。詳しい変化とかそれぞれの仕様の長所短所比べ始めるとめんどくなるので割愛しますがさて全体的な結果はどうだったのかな(参加する側だけじゃなくて作品を出す側だったり運営する側だったり色々参戦してる飲食店だったり交通整理・公共交通機関だったり全部含めて)。

今回はシティに8時くらいに着くように乗り込んで州立図書館→Carlton Gardens→Treasury Gardens→休憩→Birrarung Marrの順で回りました。それぞれのエリアにテーマがあって、エリア間移動のコースにもプロジェクションマッピングがあったり。規模は確かに小さくなった感じはしましたが一部はイベントがというよりは建物の改装工事なんかも影響してたようです。

 
州立図書館の中のプロジェクションマッピングは毎年並びますね。とはいえ長くは待たなくて済みました。


Carlton Gardensエリアから。見てちょっと分かるかもですが生物の模型は好物だらけで大好物を選りすぐりしてアップしました。なによりこういう場でチョウよりガが出てくるのが嬉しくて(オーストラリアにいるヤママユガの仲間、Emperor Gum Mothです。ちなみに本物はみたことない)。


向かいのPrincess Theatreでハリー・ポッターの舞台をやってたためOld Treasuryの建物のプロジェクションマッピングはハリー・ポッターがテーマでした。この4つの寮テーマのが一番よかったです。元の建物の凹凸を利用しないならやっぱりカラフルな方が映える。

  
Treasury Gardensは「感覚」がテーマだったので他のエリアと比べて音も光もダイナミックな作品が多かったです。あと体験型の作品が多かったのでそこここに列が(私は並びませんでしたが)。今回最大のプロジェクションマッピングが右の写真にあるTreasury Placeのもの。文字多めだったので数周見てもいいなと思ったのですが食べ物の名前がびっしりでてくるくだりでちょっと食欲刺激されたので休憩に離脱。

 
今回3日ともシティ周りのいくつかnレストランやバーでWhite Nightの時間限定でトーストサンドイッチ(およびお得なコンボ)が販売されてたのでそれも楽しみに行って来ました。
私が食べたのはカクテルと屋上飲みで有名なMadame Brusselsのルバーブとリコッタチーズのトーストサンドイッチ。限定なのが勿体ないほどおいしかったですが後からメニューをみたらレギュラーメニューもおいしそうな食べ物が色々あってこれはまた味わいにいかなければ。あとエスプレッソマティーニ(2枚目)も美味しかったです。外の席でもヒーターあり、膝掛け提供ありですし一人で飲んでも楽なところでした。でも前も書いたと思いましたがここは複数人数でシェアするサイズのカクテルがメインなのでだれかと来ても良い。


Birrarung Marrは主にこの機械つきアクロバットと花火とドラムパフォーマンスが見所でした。でもここが一番お祭りっぽかったですね。やっぱり火があると雰囲気が一気にそれっぽくなりますし演者が決まったエリアとか柵とかなしに観客と共に動き回るスリルもあり。それでたまに前の方に出ちゃったりして思ったよりも近くで色々味わえて楽しかったです。

ということで来年はどうなるかWhite Night。なんだかんだで楽しいもの新鮮なもの見ながらいつもと違うシティを歩き回るの大好きですし今回休憩で店に入る楽しみも増えたので(トーストサンドイッチ続投望む!)開催されたらスキップして行くと思います。
土曜日は風も無く雨もほぼ降らず穏やかで過ごしやすい程度の寒さの日だったのですがそこはメルボルンの天気なので毎回こうはいかないだろうなあ。そこも含めてどうでるか。ただひたすら待機しています。


今日の一曲: Mahsa Vahdat 「Vanishing Lines」



クロノス・カルテットもまだまだ昔の録音とか全然揃ってないのに精力的に活動してて新しいアルバムがそこそこの頻度で出てきて嬉しいやら追いつかないとわたわたするやら聴く方としてはいつも忙しいです。でも次は世界のどこでどんなアーティストと共演してどんな音楽に出会わせてくれるんだろうと楽しみで楽しみで。

今年の始め(というか2月でしたね)に出た「Placeless」はイランの音楽家・詩人(古典も現代も)とのコラボということでまずは試聴して気に入ったので他の諸々をすっとばして入手しました。過去作でいうと「Floodplain」で中東辺りの音楽ものすごく好きだなーと思ったのでまた機会が巡ってきてありがたいです。

ただアルバムを通して聴いてみてこの「Vanishing Lines」が格段に響いたのはまだまだ自分の耳が西洋寄りに偏ってるからなのかなあ、とちょっと最近悩んだり。メロディーと和音のバランスというかが同アルバムの他の曲と比べて西洋音楽に近い気がするんですよね。考えすぎかなあ。

でもこの円を描くようなメロディーをこの声で聴いてすごく美しいなあと素直に思うのは確かなことで。アルバムを通して弦楽四重奏はちょっと控えめな役割で歌を存分に楽しめるのがまた良いです。どうしても自分が近い辺りの音楽はリズムやハーモニーで音楽を運ぶのが多いのでメロディーで動かす音楽でこんなに好きになれる曲があってなんか嬉しいです。

となるとやっぱり歌詞も気になってくるんですよねえ。あちらの地域の詩は全然知らないしこれを機に調べてみるか(そして手書きしてみるか)。古典とかならしっかりした翻訳が出てるよねきっと。

リンクした録音はそのまんま。やっぱりデジタルブックレット付いてないな-。特に外国の音楽はあると大いに助かるんだけど。残念。

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コンサート「Miniature meets Monumental」感想
金曜日、土曜日と続けて夜に出かけてきましたー。冬なのに!自分で自分を褒めたい(大袈裟)
どちらも感想書く案件なのでまずは金曜の分を。

金曜日はちょっと前からかなり楽しみにしていたMargaret Leng Tanのコンサートでした。
ピアニストでありトイピアノも本家ピアノと同等に弾いてさらに色んな小道具的楽器もこなすピアニスト。自分にとってはクラムの「マクロコスモス」第1巻・第2巻の演奏がバイブル的なポジションで、後にトイピアノなどでの活動を知ってずっと聴いてみたいと思っていました。

プログラムはこんな感じでした:
Miniature meets Monumental
ピアノ・トイピアノ等:Margaret Leng Tan
John Lennon/Paul McCartney「Elenor Rigby」(トイピアノ編曲:Toby Twining)
Phyllis Chen「Carousel」「Cobwebbbed Carousel」(映像:Rob Dietz)
James Joslin「Fuer Enola」
Erik Griswold「Old MacDonald's Yellow Submarine」より第4,5楽章
Raphael Mostel「Star-Spangle Etude No.3, 'Furlikng Banner'」
Philip Glass「How Now」
(休憩)
Jed Distler「Minit Ring (with apologies to R. Wagner)」
エリック・サティ ジムノペディ第3番
Toby Twining「An American in Buenos Aires (A Blues Tango)」
Henry Cowell「Tides of Manaunaun」「Advertisement」
佐藤 聰明「Cosmic Womb」

このうちグランドピアノ演奏はGlass、サティ(+トイピアノ)、Twining(+トイピアノ)、Cowell2曲、そして佐藤(+録音テープ)でした。もちろん現代音楽ばっかり。存命の作曲家がほとんどです。
トイピアノのための曲は彼女のために書かれたものが多いのかなと思ったらそうでもなく。ジャンルとしては意外と大きいみたいですね。

これだけ曲があると長いコンサートに見えるかもしれませんがそこはタイトル通り大なり小なりどっちもあり。Glassは圧倒的に長かったです(笑)ただ曲の順番とかもしっかりツボにはまってて苦にはなりませんでした(ちょっとうとうとしてしまったのはもうしょうがないです、頭が追いつかなくて)。

Miniature to Monumentalという題名、そしてテーマもものすごく納得のプログラムで。トイピアノという小さな楽器からコンサートグランドピアノという楽器まで、1分の曲から20分の曲まで、おもちゃの世界から宇宙まで。そして「大きな」アメリカ(とその大統領)にちょっと皮肉を投げかけてみたり、巨大な編成で16時間もするワーグナーのオペラを1分でトイピアノでやってみたり。そしてトイピアノに限らず大きなピアノでも小さな世界から大きな世界まで表現できる。いろんな要素が詰まってすべて楽しいコンサートでした。

今回のプログラムではピアノの中の弦を弾いたりする特殊奏法はなかったのですが腕でクラスター和音を弾くとかはありましたししっかり見れました。それで改めて思ったのですが腕が長い(そして場合によっては足が長い)ってこの手の奏法ではだいぶ有利になるなあと(笑)詳しいことは今日の一曲で書きますが普通にピアノ弾くより体格の影響を感じます。

今回初めてMargaret Leng Tanの演奏を聴いてこれは一生に一回の体験かもなあとか思ってたのですがご本人から来年2月に戻ってくるよーとのお知らせがあり(笑)ものすごく楽しみにしています。
ちなみに来週のシドニーでの公演では今回プログラムに入ってなかったクラムのMetamporphoses第2巻の豪初演があるらしくものすごく歯噛みしています。今回のプログラムに不満があるわけじゃないですがそっちが聴きたかった!!おのれシドニー。

又聞きベースの印象ではありますが(それでもソースは現在活動してる作曲家とかそういう方面)現代音楽への反応というか受け入れに関してはメルボルンがとてもポジティブという雰囲気があると思います。今回だってMelbourne Recital Centreの大きいホール半分くらいの聴衆ではありましたがみんな(ながーいGlassの曲も含めて)楽しんでたような印象を受けましたし。
次回はメルボルンローカルのアンサンブルとのコラボなのでさらにお客さん集まるといいなあ。

ということで次回は土曜日のお出かけの話に。写真もあります。


今日の一曲: Henry Cowell 「3つのアイルランドの伝説」より「The Tides of Manaunaun」



今回のコンサートで「生で聴けるなんて!」と感動したのは佐藤 聰明の「Cosmic Womb」ですが「出会えてよかった!」と思ったのはこのCowellです。久しぶりに何これ弾きたい的な食指が大きく動いてなんか生き返った感さえあります。(ついでにサティも久しぶりに弾きたくなりました。自分にしては珍しい)

「3つのアイルランドの伝説」はその名の通りアイルランドの伝説に基づいた曲で、各楽章の冒頭にその元になった伝説の説明があります。The Tides of Manaunaunは創世神話、世界が作られる前の「原始の海」(水ではないですが)の描写です。つまりは自分にとってはクラム(マクロコスモス第1巻第1楽章や「鯨の歌」)やメシアン(アーメンの幻影の第1楽章)などにつながりがあるイメージで、さらには終わりの海であるドビュッシーの「沈める寺」なんかにもリンクする。

先ほども書いたようにピアノの中を弾くような特殊奏法(同じくCowellのBansheeにより有名になったやつですね)はないですが腕で弾くクラスター和音が特徴的。というか3つの楽章通してずっと出てくる。3つで10分ちょいと長くはないですし単品で弾くのも全然ありですが持つかな私の腕とか色々。

というのも腕が短いと和音の音を全部押さえるのが難しくなったりもう一つの手で遠くのメロディーを弾くのが難しくなる(=前腕の短さ)だけでなく姿勢もちょっと無理な感じになる(=二の腕の短さ)ことが判明していて。ピアノにべたっと突っ伏するみたいな姿勢をなるべく避けてクラスター和音もメロディーもしっかり弾ける体勢を探したいです、まず。

低音のクラスター和音の宇宙的で原始的な響きの上にアイルランド風のメロディーが乗っかるとてもシンプルながら効果的な曲調がほんと好きで好きで。アイルランドのメロディーが元々好きなのもありますが何より新しい響きと古い響きをどっちも併せ持つ音楽が大好物。クラスター和音とか特殊奏法とかいうと敬遠されがちですが決して聞きにくくはない音楽ですし表現としては素直なのでどんどんおすすめしたいですし弾く機会があればいい感じの曲の組み合わせで弾きたいです。

残念ながらMargaret Leng Tanの録音がAmazonに見つからなかったのでせめて3つ揃ってる録音をと思ったらそれも無くてなんだよう!と単純にCowell作品てんこ盛りの録音にしました。これは残り2つも弾かなきゃなあ・・・(意味不明の使命感)

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コンサート「Miniature meets Monumental」感想
金曜日、土曜日と続けて夜に出かけてきましたー。冬なのに!自分で自分を褒めたい(大袈裟)
どちらも感想書く案件なのでまずは金曜の分を。

金曜日はちょっと前からかなり楽しみにしていたMargaret Leng Tanのコンサートでした。
ピアニストでありトイピアノも本家ピアノと同等に弾いてさらに色んな小道具的楽器もこなすピアニスト。自分にとってはクラムの「マクロコスモス」第1巻・第2巻の演奏がバイブル的なポジションで、後にトイピアノなどでの活動を知ってずっと聴いてみたいと思っていました。

プログラムはこんな感じでした:
Miniature meets Monumental
ピアノ・トイピアノ等:Margaret Leng Tan
John Lennon/Paul McCartney「Elenor Rigby」(トイピアノ編曲:Toby Twining)
Phyllis Chen「Carousel」「Cobwebbbed Carousel」(映像:Rob Dietz)
James Joslin「Fuer Enola」
Erik Griswold「Old MacDonald's Yellow Submarine」より第4,5楽章
Raphael Mostel「Star-Spangle Etude No.3, 'Furlikng Banner'」
Philip Glass「How Now」
(休憩)
Jed Distler「Minit Ring (with apologies to R. Wagner)」
エリック・サティ ジムノペディ第3番
Toby Twining「An American in Buenos Aires (A Blues Tango)」
Henry Cowell「Tides of Manaunaun」「Advertisement」
佐藤 聰明「Cosmic Womb」

このうちグランドピアノ演奏はGlass、サティ(+トイピアノ)、Twining(+トイピアノ)、Cowell2曲、そして佐藤(+録音テープ)でした。もちろん現代音楽ばっかり。存命の作曲家がほとんどです。
トイピアノのための曲は彼女のために書かれたものが多いのかなと思ったらそうでもなく。ジャンルとしては意外と大きいみたいですね。

これだけ曲があると長いコンサートに見えるかもしれませんがそこはタイトル通り大なり小なりどっちもあり。Glassは圧倒的に長かったです(笑)ただ曲の順番とかもしっかりツボにはまってて苦にはなりませんでした(ちょっとうとうとしてしまったのはもうしょうがないです、頭が追いつかなくて)。

Miniature to Monumentalという題名、そしてテーマもものすごく納得のプログラムで。トイピアノという小さな楽器からコンサートグランドピアノという楽器まで、1分の曲から20分の曲まで、おもちゃの世界から宇宙まで。そして「大きな」アメリカ(とその大統領)にちょっと皮肉を投げかけてみたり、巨大な編成で16時間もするワーグナーのオペラを1分でトイピアノでやってみたり。そしてトイピアノに限らず大きなピアノでも小さな世界から大きな世界まで表現できる。いろんな要素が詰まってすべて楽しいコンサートでした。

今回のプログラムではピアノの中の弦を弾いたりする特殊奏法はなかったのですが腕でクラスター和音を弾くとかはありましたししっかり見れました。それで改めて思ったのですが腕が長い(そして場合によっては足が長い)ってこの手の奏法ではだいぶ有利になるなあと(笑)詳しいことは今日の一曲で書きますが普通にピアノ弾くより体格の影響を感じます。

今回初めてMargaret Leng Tanの演奏を聴いてこれは一生に一回の体験かもなあとか思ってたのですがご本人から来年2月に戻ってくるよーとのお知らせがあり(笑)ものすごく楽しみにしています。
ちなみに来週のシドニーでの公演では今回プログラムに入ってなかったクラムのMetamporphoses第2巻の豪初演があるらしくものすごく歯噛みしています。今回のプログラムに不満があるわけじゃないですがそっちが聴きたかった!!おのれシドニー。

又聞きベースの印象ではありますが(それでもソースは現在活動してる作曲家とかそういう方面)現代音楽への反応というか受け入れに関してはメルボルンがとてもポジティブという雰囲気があると思います。今回だってMelbourne Recital Centreの大きいホール半分くらいの聴衆ではありましたがみんな(ながーいGlassの曲も含めて)楽しんでたような印象を受けましたし。
次回はメルボルンローカルのアンサンブルとのコラボなのでさらにお客さん集まるといいなあ。

ということで次回は土曜日のお出かけの話に。写真もあります。


今日の一曲: Henry Cowell 「3つのアイルランドの伝説」より「The Tides of Manaunaun」



今回のコンサートで「生で聴けるなんて!」と感動したのは佐藤 聰明の「Cosmic Womb」ですが「出会えてよかった!」と思ったのはこのCowellです。久しぶりに何これ弾きたい的な食指が大きく動いてなんか生き返った感さえあります。(ついでにサティも久しぶりに弾きたくなりました。自分にしては珍しい)

「3つのアイルランドの伝説」はその名の通りアイルランドの伝説に基づいた曲で、各楽章の冒頭にその元になった伝説の説明があります。The Tides of Manaunaunは創世神話、世界が作られる前の「原始の海」(水ではないですが)の描写です。つまりは自分にとってはクラム(マクロコスモス第1巻第1楽章や「鯨の歌」)やメシアン(アーメンの幻影の第1楽章)などにつながりがあるイメージで、さらには終わりの海であるドビュッシーの「沈める寺」なんかにもリンクする。

先ほども書いたようにピアノの中を弾くような特殊奏法(同じくCowellのBansheeにより有名になったやつですね)はないですが腕で弾くクラスター和音が特徴的。というか3つの楽章通してずっと出てくる。3つで10分ちょいと長くはないですし単品で弾くのも全然ありですが持つかな私の腕とか色々。

というのも腕が短いと和音の音を全部押さえるのが難しくなったりもう一つの手で遠くのメロディーを弾くのが難しくなる(=前腕の短さ)だけでなく姿勢もちょっと無理な感じになる(=二の腕の短さ)ことが判明していて。ピアノにべたっと突っ伏するみたいな姿勢をなるべく避けてクラスター和音もメロディーもしっかり弾ける体勢を探したいです、まず。

低音のクラスター和音の宇宙的で原始的な響きの上にアイルランド風のメロディーが乗っかるとてもシンプルながら効果的な曲調がほんと好きで好きで。アイルランドのメロディーが元々好きなのもありますが何より新しい響きと古い響きをどっちも併せ持つ音楽が大好物。クラスター和音とか特殊奏法とかいうと敬遠されがちですが決して聞きにくくはない音楽ですし表現としては素直なのでどんどんおすすめしたいですし弾く機会があればいい感じの曲の組み合わせで弾きたいです。

残念ながらMargaret Leng Tanの録音がAmazonに見つからなかったのでせめて3つ揃ってる録音をと思ったらそれも無くてなんだよう!と単純にCowell作品てんこ盛りの録音にしました。これは残り2つも弾かなきゃなあ・・・(意味不明の使命感)

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