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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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ホットココアな日
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。

今日は宣言通り休みました。また仕事が入りましたがなんとか土曜日休みも確保出来そうです。
朝は雨の中スーパーに買い物行って(それもなんか買う量はりきってしまった)帰りにベーグルも買いましたがそれから後はピアノもせずゆっくり。
とはいえ何にもしないと長いのでちょっくらゲームやったりぷっすま録画見たりはしました。

そして一日休みだったので夕飯は久しぶりに力入れました。いつもよりも余裕を持ってハンバーグを。母レシピの牛100%(もちろんオージービーフ)なのですが火の通りがよく分からなくて無駄に蒸してるのと、あとつなぎにいつも食べてる食パン(カボチャの種とか入ってる)を使ってるのでカボチャの種がところどころ入ってる。
あと今回はちょっといつも食べてるSouth Capeのgoudaチーズ(毎日食べられるくらい落ち着く味です)を入れてみました。伸びました。別のチーズの方がいいのかも。

なんかこれから1週間ほど気温があんまり上がらず雨が続くようですが、VIC州の気象庁のTwitterで州一部のそんな寒い雨降りの天気を「hot cocoa kind of day」と表現していてなんだかいいなあと思ったのですが、今日はメルボルン街中ではそんなほっこりした一日とはほど遠いことがあったようで。

ここ数週間メルボルンの公共交通機関が賃金・労働条件の問題でストを起こそうとしてることがニュースになってて何回か回避されたのですが今日とうとうトラムの運営会社に対してトラムの運転者がストライキを起こしたとのことで。ピーク時は避けて朝10時から昼2時までだったそうですがシティを始めメルボルン中で様々な影響があったそうです。

メルボルンの電車とトラムはシティの外ではだいたいシティを中心に放射状に路線がのびてて、電車がないところをトラムがカバーしてるような部分もあるので(どっちも全然近くないエリアもありますが)いわゆるsuburbsに住んでる人はものすごく不便。
そして今日は寒くて雨だったので天気が良いとき自転車使ってる人口もトラムが使えないということもあり、それでさらに影響が大きくなったのもあるかな。

そしていくらメルボルンが小都会でシティの西から東まで歩いて1時間くらいとかしかかからないし、電車もぐるっと通ってるとはいえ、トラムが使えないというのはニュースを見ただけでもかなりの打撃だったようです。
日中だとシティの仕事場からシティの別の場所に昼ご飯とか用事で行く人も多いだろうし、電車(シティでは地下鉄、環状)は決まった方向にしか通らないし、軽く細かいフットワークにはやっぱりトラムは欠かせない。トラムはメルボルンのマスコットですが(実際今日のシティの景色の写真はトラムがなくて物足りなかったです)、それ以上にメルボルン人の足なんですね。

今日の夕方のラッシュまでにはトラムも通常通り走っていましたが事件はこれで終わりでなく。
来週の金曜日に電車の方もストライキするとかいう話もあるらしいです。電車はトラムよりカバーしてる地域が多い(というか遠い)しトラムよりもさらに重要度が高いので(自分にとっても)これは実現してしまったら大変なことになりそうです。
ストライキなんてメルボルンでは随分長いことなかったみたいですし、もしもその日に電車使わなくちゃいけなかったら困るなあどうしようと若干の不安を覚えています。臨機応変レベルは大変低いので。

メルボルンは今年5年連続で世界で一番住みやすい街に輝きましたが公共交通機関の質に関しちゃ満足でないところが多く、しかも長年あんまり改善が見られなかったり。チケットシステムも不評だし。(州政府は大体道路にお金使うんですよね。これで労働条件もあれってほんといかんです)
人口・面積がそんなに大きくないからなんとかやってけてるようなもんなんですよね。でもメルボルンのsuburbはどんどん広がってますし、いずれ人口でシドニーを超えてオーストラリア第1の都市になるかもなんて予想もありますし。観光に関しては国内旅行先no.1の州なはずなのに空港の近くに電車の駅もないし。

一応最寄りの電車の駅の周りで踏切をなくしたり駅を新しくしたりする作業は始まってますし、それからシティを地下で貫通する路線を作ったり空港行きの路線を作るとかいう企画もあるのですが、どれも進展が遅いのが悩み。実際動いてるころにはメルボルンの事情もかなり変わってるんじゃないかなー・・・

そんなわけでせっかく温かい飲み物が似合う休日に公共交通機関の愚痴になってしましましたがとりあえず長らくお世話になるのでしっかりしろよーと思うのみです。


今日の一曲: 聖飢魔II 「人間狩り」



休みだったのでシュニトケ聞き直すの忘れたのでこちらを先に。妹が買った聖飢魔IIの大教典(アルバム)のうち「恐怖のレストラン」から。
聖飢魔IIの大教典は中期ごろからそれぞれ性格というかコンセプトがはっきり決まっていて&違っていて、今回妹が買ったうちだとコミカルで明るさが特徴的な「PONK!」とは対照的に「恐怖のレストラン」はおどろおどろしい曲のオンパレード。やたらと人が死ぬ。一般的な聖飢魔IIのイメージってこんな感じかな。

おどろおどろしくともいい曲が色々ある大教典ですがぶっちぎりでお気に入りがこの「人間狩り」。エース長官の7拍子名曲双璧の一つです。(もう一つはOuter Mission)
自分にとっては7拍子と言えばラヴェル(ダフニスとクロエの)かエース長官かというほどこの7拍子の自然さとアンバランスが生きるメロディーとリズム。たまらん!聖飢魔II以来ACEさんが7拍子で曲を書いてないのが本当にもったいなく思える7拍子です。

そして閣下の語りの後ろの長官のギターソロもこれまた大好きです。
強烈さとずっと聴いてられる心地よさと自由さと。メロディーラインの展開がほんと美しい。
メロディーを奏でるって美しいんだなと思うソロです。

今回購入された大教典は最近リマスターされた版でmp3アルバム(リンクしたの)も出てるようです。他には「鬼」も長らく好きな曲ですし、あと「ギロチン男爵の謎の愛人」も良い。
先ほど書いたように聖飢魔IIの大教典はそれぞれコンセプトのバラエティに富んでるのでこれがそんなにツボじゃなくても他を聴いてみると面白いかもです。(私は今でも「News」と「Living Legend」がお気に入り)

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籠城気味&「孔明のヨメ。」感想など
ちょっとぶりの浮上です。
ここしばらく仕事やピアノなど続いて(良いことではあるのですが)ちょっと疲れ気味だったり書くことがなかったり。仕事に関しては明日で一段落の予定なのでそしたらちょっとは楽になるかな。
あと妹が一時帰国の準備に色々動いてるのに忙しさと余裕のなさで全くついていけない!ただあと1ヶ月で出発なのでなんとかしなくちゃいけない。

そんな中ですが届いた漫画は何度も読み返してますよ。「孔明のヨメ。」(杜康潤)、すっかり日々の癒やしとなっています。
「孔明のヨメ。」、劉備に仕える前の晴耕雨読時代の孔明・・・よりもその奥さん黄月英を主人公としたほのぼのラブコメ三国志4コマ漫画です。完全なる可愛いオタク夫婦っぷりにもほっこりするのですが荊州が動き始めるストーリーの流れも面白いし、なんといっても当時の生活や文化の描写にものすごくテンションが上がってます。

もちろん一番テンションが上がったのは楽器のくだりですが食べ物だったりお屋敷の見取り図だったり天下の地図を作るくだりだったり見ててわくわく。これまで主に文章で読んできたところが絵で見られるのは大きい。
それからDASH的要素というか、DIY的な要素もたくさんあって、そこから社会全体のしくみに行くのが色々面白いな。経済の基本の基本がちょっとだけ分かったような。

あと無双に続いて徐庶がいいとこ持ってってますなあ。徐庶もそうだけどこの先史実で起こることが分かってる諸々の悲劇がほんとこの漫画だと起こって欲しくないと切実に思ってしまう。
ただ前述文化とかの描写の充実があるので蜀の絹の話とか出てくるのかと思うとちょっと楽しみなところもあります。絵で見たいものがいっぱいある。

さてまだ本調子でないので今回はここらで。今日の一曲もお休み。キューにはシュニトケとか聖飢魔IIとか並んでるんであんまり休んでもいられませんがね。


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季節の変わり目に。
ちょっと数日ブログ書けずにいました。
どうも体調がすぐれず。普段頭痛がしても(理由は分かってるやつ)1日でよくなるのですが今回は1日頭痛+1日頭痛の一歩手前状態+1日それでもすっきりしない(今日)という珍しいパターン。
外に少し出てみただけでも分かるくらいには天候が変わってきてるので季節の変わり目ということなんだろうか。しかも冬から春は多分一番鬼門ですからねえ。
とにかくピアノも仕事も無理せずできるだけやりたいところ。

そんな中自分にとって衝撃の報せが入ってきました。
ユースオケなどで一緒だった打楽器の子(1歳年上)が亡くなってお葬式が昨日行われたそうです。詳細は分からないのですがお葬式(というかメモリアルサービス、webでストリーミングされたそうで。すごいですね)のpdfパンフレットにあった寄付受付先が癌専門で有名な病院だったので多分そういうことかと。
直接面識はないにも等しく、自分がそんなに頻繁に演奏に携わってるわけでもなかったのでしばらく報せを聞いていない間にそんなことになっていたとは。
打楽器奏者もいろんな人に会いましたがリーダーシップとしてはあの子が一番だったなと思います。

ユースオケに限らずオケにいると(なにしろ自分は引っ込み思案なので)友達と呼べる存在以外にもオケで良く見る人、よく演奏を聴いたり仕事ぶりを見たりする人ってのは数多くできて。そこから別のオケとかで一緒になって、(やっぱり引っ込み思案なので)一緒にしゃべるとかそういうことはなくても馴染みの人、馴染みの音があるのはほっとするし、いつかまた一緒にオケで弾けるといいなとも思うので、もう一緒に舞台に立つことがなくなるというのは寂しいことです。

結局メモリアルサービスのストリーミング配信は見なかったのですがプログラムによると半分コンサート仕立て?になっていて打楽器のアンサンブルなど(オーストラリアの曲含め)何曲か演奏された様子で。なんかgong ensemble(銅鑼でなくてガムラン的なものかな)の演奏もあったみたいです。曲のラインアップ見るだけで打楽器奏者の知ってる、良いと思うレパートリーが自分のものといかに違うか、というか打楽器奏者が見てる世界ってものすごく違うんだろうなと思いました。もっと知りたい広げていきたい世界です。

話は変わりますがこないだ妹が注文するので日本のAmazonでちょっと前から欲しかった漫画「孔明のヨメ。」(杜康潤)を買っちゃいました。1巻から4巻までまとめて買ってとりあえずがーっと読みました。(いつもの読み方)
感想はまた後日ですが最近再読・新しく読みたい三国志ものが色々あって読んだり買ったりの管理が全くつかない状態で(汗)この漫画はさくっとすぐ読めそうなんで着いてすぐ読んじゃったのですが(汗)
とにかく日本に行ったときに続きの5巻を買うのが楽しみです。その他三国志ものもぼちぼち。
(あと父の本で三国志以外のも色々持ってきたりしてるし・・・)

そして妹が頼んだ聖飢魔IIのアルバム(リマスターされたやつ)2枚も貸していただきました。「Ponk!」と「恐怖のレストラン」、コンセプトがかなり違う2枚を聞くのが楽しみです。アルバムコンプリート(妹と私と合わせて)かなり近いんじゃないかな。いずれ今日の一曲でも。


今日の一曲: ピョートル・チャイコフスキー 交響曲第5番 第1楽章



ユースオケで何回も弾いた曲なのですが、それが理由で選んだのではなく。
碓氷峠音楽堂本舗を聴いてたらリスナーさんのお便りで海月さんは「8分の6拍子の魔術師」とおっしゃってて(「Promised Melodies」の話でしたが「Life」とかもそうですよね)、なんというか禿同というか頭をぶんぶん縦に振って同意したファンがこちら。
8分の6という拍子の3拍セットのリズムをどう活かすか、というのはセンスがものすごく問われると思うのですが海月さんのリズムの揺らし方とかほんと天才的だと思います。

それでクラシックで8分の6拍子をすごくうまく使ってるのってどんな曲があるだろう、と考えたら一番最初にこのチャイコの5番が出てきました。(もっとじっくり考えて探すともっと出てくるかも)
タイや付点をうまく使ってリズムに乗せるのはメインのメロディーもそうですが、メインじゃないパートにもいいリズムが出てきて、リズムの組み合わせという意味でも色々芸が細かい。

でもチャイコでリズムだからって必ずしもバレエと繋がるわけじゃないんですよね。これは交響曲だからこそできるリズムのセンスというか、踊りにとらわれない純粋な器楽曲のリズムなのかもしれませんね。

物語性にも通じるものがある全体の流れと構成、メロディー、和音、楽器使いどれをとっても素晴らしい音楽なのですが(第1楽章だけで完成されてる世界がある気もする)、やっぱりこの第1楽章の魅力はリズムだなと改めて思いました。
(同じ8分の6拍子だとブラームスの交響曲第1番の第1楽章と比べてみるとその性質の違いが分かると思います。あれはあれで曲にふさわしいリズムですけどね)

リンクしたのは自分が生まれる前くらいから聞いてきた録音(チャイコのロミジュリがカップリングなのも良い)。バーンスタイン指揮だからもしかしたら軽い感じなのかな。ただそんなに重く弾く曲でもないような気もする(4番6番と違って)。完全にこれがデフォルトになってるのでもはや良いとか悪いとか分からなくなってるかも。でも聴いてて楽しい録音ですし、いい演奏ですよ。

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Medley Hallでのコンサート感想
相も変わらず真・三國無双ブラスト(スマホの無双)の臧覇さんのように髪がはねてネックウォーマーに埋もれて冬を過ごしている流 星姫です。
ブラストといえば本家ではプレイアブルじゃないけどブラストで顔有りになった武将達ものすごく好きなのが多いです。列伝のストーリーも好きですし。せっかちなのが災いしてますが楽しく遊んでます~

さてそんなわけでまだまだ寒いですが日曜にコンサート行って来ました。
前も感想かいた友人Tristan Leeのリサイタルだったのですが場所がちょっと変わったところでした。
Medley Hallという場所なのですが、メルボルン大学のメインキャンパスからちょっと離れたところにある比較的小規模な寮で。その存在すら初めて知りました。
前から見るとかなり古い建物で(もちろん欧州とか日本の比では全然ないですが)、中に入るとこれまた古い内装がものすごく丁寧にメンテされていて。シャンデリアとか壁の装飾とか人が住んでる生活感がそんなに感じられない、なんか重要建築物とか美術館とかみたいな雰囲気で。

でもちゃんとダイニングホールがあったり生徒とかが住んでるのも見ましたし、あと建物の奥の方はモダンな作りになってるのも見えましたし。なんかものすごく不思議な場所でした。
肝心のコンサートはその中のピアノがある一室で行われました。(ちなみに暖炉があったり、例えば昔のヨーロッパでchamber concert的なことをやるとこんな感じだったのかな)

プログラムはこんな感じ。
Medley Hall Recital Series
ピアノ: Tristan Lee
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第13番 op.27-1「幻想曲風」
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第14番 op.27-2「月光」
フランツ・リスト ピアノソナタ

リストのピアノソナタを彼の演奏で聴くのはこれで2回目。先生の演奏など過去にも何回か聴いていますがこのピアノレパートリー最高峰の作品とも言える曲をちょくちょく聴く機会があるのはほんとうに贅沢。

ベートーヴェンの「月光」は至る所で演奏されますが(ついこないだ聴いたばっかりだった)双子の片割れである第13番はほとんど演奏を聴きません。大学で1人2人弾いてたくらいかなあ。ちなみにTristanはコンサートの時のトークでその知名度の差をミノーグ姉妹に例えてたのですがいいたとえだと思います。(カイリーは世界的に有名なスター、その姉のダニーはオーストラリアでは有名なのです)

その第13番は普通だったら3~4楽章に分けるソナタになるところを単一楽章に仕立てた、ちょっと変わった構成のソナタなのですが(リストのソナタやプロコフィエフのピアノソナタ第3番が同じような構成になってます)、その様々な性格の音楽の連なりをまるで物語を紡ぐように表現した演奏がものすごく好きでした。曲のstructureにさらに命を与えた感じで。ああいう語り手になれたらなあ。

月光は第1楽章のテンポがちょっと速めなのが(特にあの空間では)上手く流れたり、第2楽章のテイストが自分の好みとちょっと違ったり、元々ピアニストとしての弾き方もアプローチも自分とはかなり違うのですが、「月光」の演奏ではその違いをよりはっきりと感じました。
改めて自分が弾きたい感じのベートーヴェンってかなりフランス寄りなタッチなんだなと(汗)

そしてリストのピアノソナタ。毎回思うのですがピアニストとしての技量はもちろん、人間とか人生の深さを問う曲だなーあれは。ピアノ曲とか音楽とかそういう枠に入らない。内面的な旅路。
前回と比べて安定してた感はありましたがまだまだこれから成長・成熟していくのが楽しみな演奏でした。

ピアニストとしての性質は違うものの大学時代からお互いの演奏を聴いたりしてきたこともあってTristanには影響されること、考えさせられることも多く。それが高じて昨日はメシアン休んで「月光」と以前彼が弾いてたワーグナーの愛の死(リスト編曲)を弾いてみました。愛の死は初見、月光は実に16年ぶりです(驚)
愛の死、やっぱり弾きたいですね。途中で「わーぐなああああ」とワーグナー的な盛り上げ方に(良い意味でなく)悶絶することもありながらやっぱり良い曲ですし好きですし。取り組んでみたくなる。

そして自分のピアノと音楽関係の立ち位置についても色々考えるきっかけになったりもしているのですがそれはまあ別のお話ということで。
後で飲みにいったLygon Streetのバー(Carlton Yacht Club)のカクテルが美味しかったという思い出&情報で〆にします。


今日の一曲: ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第13番 op.27-1「幻想曲風」



有名じゃない方を紹介。こんな時でないと紹介する機会がないですからね(月光もまあそうなのですが・・・)
ベートーヴェンのソナタに限らず、ピアノソナタに限らず「ソナタ形式」という形式はベートーヴェンよりちょっと前のモーツァルトとかハイドンあたりに確立したのですが、すでにその同じ作曲家達の手で「ソナタ形式をもっと自由に広げてみよう」的な試みが色々でています。
このソナタもその1つ。前述の通り複数の違う性格のパーツ(本来なら別々の楽章になる)をつなげて単一楽章にしたソナタです。

もちろんただつなげただけじゃなくて繰り返すテーマがあったりつなぎの部分があったり、一体性を持つようになっています。ほどよく共通する要素があったりコントラストやメリハリもあったり、音楽自体の美しさもそうですが全体的なバランスのよさに心地よさと安心を覚える曲です。

私は通常のソナタなら第3楽章のメヌエットに相当するMolto Allegro e Vivaceの部分が好きです。
そんなに軽快というわけでもなくちょっとシリアス目ではあるのですが特にリズムとアーティキュレーションに遊び心があって。
そもそもベートーヴェンの書くメヌエットってのが好きなのかも知れない。月光も第2楽章が好きですし運命も第3楽章が好き。スケルツォにしてもワルツにしてもメヌエットにしても第3楽章がちょっとシリアスめは確かに好み。

持ってる録音はアシュケナージのベートーヴェンピアノソナタ全集なのですがリンクしたのはもうちょっと違うのも聴きたいなとの希望で検索かけてみました。ベートーヴェンはピアノソナタが多いし月光も本来は「幻想曲風」とタイトルが付いてるので第13番をピンポイントで見つけるのは至難の業。
とりあえずヴィルヘルム・ケンプのベートーヴェンピアノソナタ全集にしてみました。いくつか試聴してみたら骨太でなく繊細な方面の演奏でした。自分の心の中にあるベートーヴェンってもしかしてこういうのか?

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メル響来年シーズン来た!
小旅行から帰ってきてから仕事がなんだか忙しい!
ありがたいことですし、抱えきれないような量ではないのですが仕事もやってピアノもできるときにやって家事もやってとなるととお手玉してると気をつけないと休むのを忘れてしまいそうな気にもなったりします。

そんな中外の世界は色々忙しい。音楽に関しては今ちょうど来年のシーズンプログラムがそこここから発表される時期。なんか去年はしゃいでからあっという間にも感じます。
もう来年の事考えはじめちゃう時期なのかー・・・

今回のエントリーのメインは毎年恒例のメル響来年のシーズン先取りしてはしゃいじゃおうという内容なのですが、その前に州外から来年のお知らせが入ってきまして。
なんと来年の3月シドニーでピエール=ローラン・エマールがメシアンの20のまなざしを全曲弾くとか!でも3月は忙しいんだ!なんとかならないかできないかと転げ回ってます。

さて、来年のメル響のシーズンパンフレットがオンラインで見れるようになりましたが(印刷版は届くのかな)、時系列のコンサートリストがなくてちょっと不便。なので去年までと違って適当に作ったカテゴリ毎に紹介していこうと思います。

<メインシーズン前の諸々>
今年もTan Dunが旧正月(2月14日)に来る!しかもLi-Weiがチェロ弾く!曲は中国の少数民族の暮らしと音楽を使った音楽らしく、元々映像もある作品なので生で聴きたい。
そして毎年恒例のSidney Myer Ballでの無料野音コンサート、我が先輩であり友人Stefan Cassomenosがガーシュインのピアノ協奏曲を弾いたり、別のコンサートではGrigoryan Brothersの演奏ありのスペイン・ラテンアメリカプログラムだったり。Stefanのコンサートではドヴォルザークの7番も演奏されるらしいのでこれは行かないと。

<MSO Pops周り>
数週間前からお知らせがあったヒッチコック映画のコンサートだったり、ゴッドファーザーのコンサートだったりかなり渋いラインアップ。それに加えてCirque de la Symphonieというサーカスパフォーマーとメル響の共演。これがちょっと見てみたい聴いてみたい。

<マーラーサイクル続き>
マーラーサイクル、来年は大好きな第5番(3月)と第6番(7月)のターン。
ちなみに5番のときは上記エマールがラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲を弾くそうです。・・・やっぱりメシアンがよかった(ラヴェルの作品の中で珍しくあんまり好きじゃない曲なんですよう)

<Metropolisシリーズ(5月)>
今年のテーマは「City」。20世紀以降の作曲家が時代と共に変わりゆく「街」、「都市」を描いた作品が連なるコンサート。そしてここにメシアン来た-!「天の都市の色彩」初めて!しかもソリストにMichael Kieran Harvey!大分長いこと会ってないけど元気でやってるかな。

<Hamer Hall以外でのコンサート>
メルボルン・タウンホールでのコンサートシリーズではフォーレのレクイエムを高校の先輩Jacqui Porterが歌ったり、あと惑星がまたタウンホールにやってくる様子。
Melbourne Recital Centreではショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第3番の弦楽オケ版が演奏されるというので興味津々。8番の編曲は有名だけど3番を弦楽スケールにするとどうなるんだろう。

<その他通常コンサート>
パンフレットで真っ先に目に入ってきたのがリヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」。長らく好きだった曲ですが(シュトラウスの曲で最初に好きになった)、なかなか生で聴く機会がないので逃せない。3月だけどなんとか行きたい。
他に気になるのは定番のメンデルスゾーンにウォルトン、シュトラウス、コルンゴルトなど変わり種が揃ったシェイクスピア題材コンサート、以前「我が祖国」を指揮した指揮者が再来豪して振るスクの交響曲第2番「アスラエル」(これもチェコの作品でかなりレアなプログラム)だったり。
禿げ山・ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番・ロミジュリのオールロシアプログラムもあるし、なぜかシマノフスキとシューマンとレスピーギが揃う謎の面白そうなコンサートもあり、あとSimone Youngが振るならパルジファルとかブルックナー9番も聴いてみたいかも。
あとRichard Tognetti(バイオリン)がソリストをつとめるコンサート、ブリテンの4つの海や揚げひばりやルトスワフスキやラフマニノフの交響的舞曲と私の好きなものが詰まっててにやにや。これもほぼ確定ですな。

他にはベートーヴェンのピアノ協奏曲と新ウィーン楽派の作品を組み合わせるシリーズや、1つのコンサートでバッハの管弦楽組曲4つ演奏するコンサートなどもあります。
なんだか「うおおこんな曲もあるのか」的な渋い曲マイナーな曲が結構入ってきてるのが来年は特徴的。一歩踏み出す勇気で色んな曲に出会いたいです。
ところで女性作曲家の作品が一つも取り上げられてないなんて指摘もあって確かにそこはちょっと残念なのですが、来年も若い作曲家支援のプログラムは予定されてるのでそこでフィーチャーされることを願ってます。

来年といえばWhite Night Melbourneの日にちも入ってきましたね。2016年2月20日の午後7時から。気は早いですが今から天気が良くて程よく暑くなることを願ってます。


今日の一曲: イーゴリ・ストラヴィンスキー 八重奏曲 第2楽章



こないだ買ったCDから紹介。
ストラヴィンスキーといえば三大バレエ(火の鳥、ペトルーシュカ、春の祭典)が有名ですが、もちろんそれだけの作曲家じゃありません。
作品数もかなり多く、ジャンルも幅広く、なんといっても作風が多岐にわたってるのがすごい。バレエ作品みたいなロマン派からのつながりの20世紀初頭なオケ作品もあり、新古典主義の作品もあり、セリーや十二音技法を使ったものもあり、ちょっと聴きミニマルミュージックに通じるようなものもあり、ロシア風かと思えばフランス風のテイストも強く。どんなスタイルで書いてもすごい作曲家。
そういうところ同時代で親交のあったピカソにものすごーく似てると思うんですよね。

ただ器楽作品に共通して言えるのはストラヴィンスキーって木管すごい強い!ということ。
春の祭典の冒頭のファゴットソロを筆頭にどこを見ても木管楽器が活躍していて、木管楽器の役割の幅もきっとストラヴィンスキーによってぐっと広がってるはず。
特にファゴットに関しては三大バレエの全部にソロがあったり(コントラファゴットがペトルーシュカで出てきたり)、この楽器を最大限輝かせる作曲家といえばストラヴィンスキーなんだろうな。

この八重奏曲もそんなストラヴィンスキーの得意が詰まった曲。楽器編成はフルート、クラリネット(持ち替えあり)、ファゴット2人、トランペット2人(B管とA管)、トロンボーン2人(テナーとバストロ)というかなり奇想天外な編成。なんかWikipediaにはストラヴィンスキーが夢で見た編成と書いてあったのですがすごいな。
ただ一見奇想天外ではあるのですが、ちゃんと2人ずつでペアになりますし、この曲を聴いてると室内楽を聴いているというよりオケの木管セクションがオケ全体になったような感覚になります(なんのこっちゃ)。チームワークの働きが室内楽的(例:メンデルスゾーンの弦楽器の八重奏曲)でなくてオケ的なんですよね。

曲としては新古典主義のようなシンプルさもあり、でも20世紀初頭のフランス的な頭の回転の速さもあり、そしてなにより心地よいarchitectureというかメカニズムがあり。
ストラヴィンスキーの音楽って聴きにくかったり理解するのが難しい曲も少なくないですが、それでも気むずかしい曲ってほとんどないような気がします。基本オープンなスタンスを感じます。

そんな中この曲もファゴットが大活躍ですよ。なんといってもベースを担当できる楽器がトロンボーンとファゴットに分かれてますからね、それぞれのいいところ(ベースとそれ以外)を適宜生かせる編成にもなってるわけです。
ファゴットはトロンボーンよりも機動力があって短い音の丸さが良いのですが、この第2楽章では正にそれで大活躍。耳に焼き付けてください。

今回買ったCD(リンクしたのと同じ)の室内楽曲とか小規模作品はやっぱりストラヴィンスキーの有名だったり大編成だったりする曲のような華やかさやキャラの強さはないのですが、ちょっと変わった楽器の組み合わせを上手く音楽に仕立てたり、色んなスタイルで書いたり、面白い曲揃いなことには変わりないです。
ストラヴィンスキーの作曲スタイルの多彩さや時代背景、ピカソの絵画など周りのエリアをちょっとリサーチしてみるともちょっと面白く聴けるかも。
やっぱり手始めは「兵士の物語」(三重奏バージョン)ですかね。他にはラグタイムで意外な楽器が出てきたり。おすすめです。


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