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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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オケ仕事終わり
弾いてきましたー

Stonnington Symphony Orchestra
Sunday Series 2
2019年8月11日14:30開演
Malvern Town Hall
指揮:Rick Prakhoff
Matan Franco 「Only the Potential」(世界初演)
サミュエル・バーバー「ノックスヴィル、1915年の夏」(ソプラノ:Rebecca Rashleigh)
(休憩)
セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第5番

いやあ寒かった。夜のリハーサルのときよりなぜ昼の本番が寒いのか分からないですがステージの上一人で寒かったです。
サウンドチェック終わりに近くのカフェでいただいたフレンチオニオンスープのあったかさがほんとありがたかったのですがなかなかコンサート後半までは続かない。

コンサート、概ね良かったと思いました。ただリハーサル・演奏の場所だったホールの音響でお互いの音が聞こえにくく結局合ってるか合ってないかもよくわからない状態だった箇所も多々ありました。そういうときこそ指揮者を見なきゃいけないんですけど耳が別のこと言ってくるとやっぱり難しい。

「Only the Potential」、オケが全員で弾いてお互いがだいたいどんなパートを弾いてくるか分かってくる過程で印象がぐんと×2アップしました。ピアノパートだとよくわからなかったとこも全体と合わせてみると役割がはっきりして分かりやすいし魅力が出てくる。メロディーなんていらないよーと思ったけどあの箇所であの風に乗れたのはすごく楽しかったですしありがたかったです。あとリハーサル時間がおそらく一番少なかった(しかもリハーサルが始まる前みんなこの曲を少しも知らなかった)中でかなりの出来の演奏だったと思います。

私が弾かなかったバーバー、舞台裏で聴いてて美しかったです。この曲、歌詞が日常のささやかな奇跡を噛みしめるみたいなフレーバーがあって詩だけでも素敵なのですがやっぱ歌いいですね。こういう歌は込めすぎると曲や詩の雰囲気を損なうリスクがありそうですが今回の演奏はシンプルさもある、のびのびした歌声でした(舞台裏から聞いてですが)。
アメリカの歌曲はオケでもそれ以外でもさりげなく色んな所に露出が増えるといいなあ。(私はクラムが好きですがそれだけじゃないですよ、バーバーもそうですしコープランドもそうですし)

プロコフィエフはもう予想通り難しかったです。最後までなんとかびしっと決まらなかったところも本番になって突然ぶりかえした不安定さもあって、しかも上記音響の影響をもろ受ける曲だったのでほぼ余裕がなかったかも。でも全体としてはなんとか良い感じに仕上がったかな。パワフルではあったはず。
限られたリハーサル時間だったけどほんとにこの曲を弾けて楽しかったです。私だけじゃ無くて他の楽器の人もそう言ってるのを聞きました。(ただ一番楽しかったのはテューバの人かも。私よりももしかしたら楽しかったんじゃないかな。)

いつもオケでチェレスタやピアノを弾く時に半分無意識に、というか周りの音質や音量に合わせて工夫してるタッチがソロで弾いてる時にできないのが謎というか悩みなのですが(謎ではないか、周りの環境に対するリアクションだから)、今回プロコフィエフで出したような金属的な思いタッチや爆音(笑)はもうしばらく出せないだろうなあ。でもせめて何かつなぎとめておきたい気持ちみたいなものがあるのかプロコフィエフのピアノソナタ第3番弾くことにしました。果たして生かせるものはあるかな。

ショスタコ13番の最終楽章の時も思ったのですがプロコフィエフ5番の冒頭の変ロ長調のあの響きを聞くとロシアの冬が終わって春がやってくるときこういう感じなのかな、と思います。メルボルンも木蓮が咲き桜が咲きハナモモが咲きそろそろ春が近づいてきている・・・と思いたい。
リハーサルが終わって夜のお出かけも減る、と思ってたら手帳をみるとどうやらそうでもないようなので引き続き寒さに耐えて頑張ります。


今日の一曲: セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第5番 第2楽章



この交響曲で一番好きな楽章は、となるとやっぱり2か3なんですよねー。キャラクターがはっきりしているし楽しい。特にこの第2楽章は華やかさもあり悪意もありのスケルツォ風、ロミジュリで培われた?イタリア的な色彩もありでとにかく楽しい。

ただ日曜日のコンサートでは一番ひやひやした楽章でもありました。始まってから大分長い間テンポが落ち着かない!八分音符のpulseを刻む楽器が頻繁に交代するので余計に落ち着けるのが大変なのですがそれでも各担当楽器がなんとかしっかり安定させようとしているのが感じられました。

理想としては聴衆には楽しく楽に聴いてもらいたいですね。ちょっと気がはやるような前半部分、お祭りのような華やかさの中間部、そして一点して不安になるような闇属性の再現部。楽譜に書いてある「音」自体だけじゃなくて細かいアーティキュレーションや強弱などディテールをきちっと正確にやることによってどんどんキャラクターが生きてくる、楽しくなる。各楽器が色んな場所に配置される適材適所感もすごい。

このコンサートに向けて家で練習するときに色んな録音と合わせて通す練習を多々しましたがこの第2楽章の再現部のテンポの扱い方がそれぞれ違って何も知らない状態でぶっつけで合わせるのがものすごく楽しかったです。再現部始めのテンポをどれだけ遅くするか、どこの時点でどれくらい速くしていくか、デフォルトのテンポに届いてからのテンポをどうするか。必ずしも楽譜に書いてあること通りに解釈しないことも多くて好みの分だけバリエーションがある。ちょっとした聴き所だと思います。

リンクしたのはやっぱり一番馴染みがあって好きな手持ちの録音。(ただカップリング曲が違うみたいです)
結構録音の数は多いので「これぞ全体的に好み!」という演奏にいつか出会いたいです。とはいえそこまで考えるにはかなりこだわることになりそうなのでこだわり一部省略コースであればこの第2楽章だけ比べてみるのも一つの手段だと思います(多分一番キャラの差がある楽章なので)。

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あっという間に
ちょっと更新してない間にもう今週末これ。
Stonnington Symphony Orchestra
Sunday Series 2
2019年8月11日14:30開演
Malvern Town Hall
指揮:Rick Prakhoff
Matan Franco 「Only the Potential」(世界初演)
サミュエル・バーバー「ノックスヴィル、1915年の夏」(ソプラノ:Rebecca Rashleigh)
(休憩)
セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第5番

リハーサルも1回あったりTRICK見返したりサッカーの試合後から見たり毛糸を巻いたり編み物スタートしたり毛糸をほどいたり万年筆を洗ったりその間にちょこちょこ仕事したり外に出たり梅干しを探したり(どうも色んなアジアンスーパーで在庫がたまたまなかったぽい)して時間が過ぎてしまいました。

もう8月になってミモザが咲いたりハナモモも咲き始めたり木蓮も日なた側では咲き、ここからは春に向かうばかりだ!という感じがするのですがここにきてちょっと起床時間が遅くなってしまったり。仕事がものすごく忙しいわけじゃないので実生活に影響は少ないですが結局毎年こうなるんだなーと思うばかり。不可避案件。

ただちゃんと寝ないとプロコフィエフは弾けません。とにかく集中力が必要。これまでに弾いてきたマルティヌーのオーボエ協奏曲やショスタコ13番よりも集中力が要る気がするのですがどこに違いが出てるんだろう。ということで今はちょこちょこっと音を直す他は録音を聴きながら1回通して弾くという練習を主にやってます。最近はストリーミングサービスとかでいろんな録音がすぐ使えるので便利ですね。色んな解釈に触れるのも面白いですし予習なしで即座に適応する練習も楽しい。ユースやセミプロでももっと録音使って練習するといいと思うんだけどどうだろう。

最近はバレエのレッスンでの身体疲労もものすごいので火・木とリハーサルがある今週はバレエも水曜日から土曜日にシフト。日曜日に本番ではありますが土曜日のレッスンはビギナークラスなので負担が少なくなるはず。多少の筋肉痛ならなんとかなる・・・とは思ってますが。
ただ今現在の天気予報だと週末は最高気温11度が続くらしいです。これはカイロとかヒートテックとかで武装していかないと。ステージ上が寒くなくてもスタンバイする場所はきっと寒い。

コンサートが終わったら夜に出かける用事はちょっと減りますし昼の日光浴びれる間になるべく外に出たいですね。スタジアム横ヴィクトリー練習横目で見ながら散歩コースやAlbert Park Lakeぐるっと無心で歌いながら歩くコースなど色々楽しい散歩道も見つけたりなんだりしているので。メルボルン散歩道特集もここでできるかも。

とにかく日曜日の本番まではしっかり休みを取りながら練習は効率的に、集中力を発揮できるように&リハーサルも本番も凍えないよう気をつけて過ごしたいと思います。
それまでにあと一回は更新したいなあ。散歩道特集でもしようかしらん。
ということで今日の一曲はプロコ5温存で・・・


今日の一曲: ヨハン・セバスチャン・バッハ 「心と口と行いと生活で」BWV147より第5曲「イエスよ、道をつくり給え」



プロコフィエフからちょっと離れて軽いものを、と思ったのですがそんなに言うほど軽くはないですね。全然違う音楽であることには変わりありませんが。

小さい頃から圧倒的器楽メインで育ってきて大学に入ってクラムにはまってからやっと声楽を聴くようになって耳がだんだんと声楽になれてきたのですが(でもまだまだです)、今でもバッハのカンタータのアリアとかになると歌のソロパートよりもそれに付随して同じくらい存在感を放つ楽器のソロの方をメインに聴いてしまいます。

この曲なんか特にそうですね。だってもう量からしてバイオリンメインですし歌が入ってくる前にこんな素敵なメロディーを聴かせていただいたらもうこっちが主役じゃないですか。メインの拍子は4/4なのに三連符で飾るところがまた華やかで。

あとバッハのカンタータにおけるアリアだと歌のソロと楽器のソロが決してデュエット的な絡みをしているわけでなく適度な大人な距離をおいている上で全てが成り立っているように思えて、その関係性がまた面白い。例えば後期ロマン派のオケ付き声楽だともっと楽器と声が密に関係し合うような印象があるので。どっちも好きなんですけどね。

録音を探すの難しかったです。この時代の音楽(特にキーボード以外)の良し悪しを言えるほど詳しくないですし、あとバッハのカンタータは個人的に好きなのがいくつかあって(学校や大学で勉強した「目覚めよ、と呼ぶ声あり」(訳はおおまか)とか「キリストは死の縄目につながれたり」(同上)とか)特定の他のカンタータと一緒に収録されてるアルバムを、となるとなかなかみつからない。
とりあえず学校時代に勉強に使ったRifkinのは間違いないはず。「目覚めよ」も入ってます。

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初リハーサルでした
さっそくお知らせから~
Stonnington Symphony Orchestra
Sunday Series 2
2019年8月11日14:30開演
Malvern Town Hall
指揮:Rick Prakhoff
Matan Franco 「Only the Potential」(世界初演)
サミュエル・バーバー「ノックスヴィル、1915年の夏」(ソプラノ:Rebecca Rashleigh)
(休憩)
セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第5番

行って来ました今回初&今年初のリハーサル。
しっかり予習したのがことごとく効いてたというかほぼ苦にならないというか。
ロミジュリの時もそうだったのですがプロコフィエフがオケでピアノを使うと決まってちょっとトリッキーなところで急に周りから飛び出る感じでピアノのパートがよく聞こえるようになる箇所があって。分かっててもどうしてもテンパるんですよね。そこをさらなる練習とリハーサルでなんとかしていかなきゃ。

それにしても多少調子に乗ったかもしれません(笑)
なんたってフルオケで金管楽器と一緒に弾けるとこは心ゆくまででかい音で弾いてしまいましたし。一人後ろの舞台の上だし音が大きすぎるって言われないし全然OKだよね?
あとこれまでに無いくらいに頻繁に弾く&時にはボリュームのあるパートで珍しくリハーサルの最初から最後まで弾いて結構疲れました。バレエほどじゃないですがちょっと近かったです。

でもものすごくすっきりしましたね。久しぶりのオケですし良い曲ですし楽しいパートですし。
バレエもオケもサッカーもそうなのですがとにかくしっかり没頭するスタイルなので都度疲れますが他の事を考えられないほどいちいちのめり込めて楽しい。

そして音楽方面でいえばイギリスの夏の音楽の祭典、BBC Promsが今年も始まりました。
ちまちま仕事中に聞いています。新しい音楽、玄人向けの音楽、子供向けのコンサート、普段はあんまり出会わないレパートリーなどわくわくがたくさん。
今年もこちら(https://www.bbc.co.uk/programmes/b007v097/episodes/player)から各コンサート聞けるようになってます。普段オーディオで楽しんでるので動画が見れるかは未確認ですが。

前回の今日の一曲で紹介したロワイエを筆頭に色んな曲に新しく出会って後に録音を入手することになって本当にいい機会になっています。メルボルンのコンサートシーンでも色んな曲に出会えてほんと恵まれてるなと思うのですがそれでもこっちではあんまり聞かない曲・自分が拾いきれないジャンルはまだまだあるので。

あと「この曲もう持ってるけどこの指揮者・オケで録音ないかな?」ってなることも多いです。
すでに今年はJakub Hrůšaの指揮のスメタナ「我が祖国」(たしかメル響とこの曲振ってたのを前聴きに行ったはず)の録音が欲しいなあなんて思うのですが両親がすでに2つ録音買ってるのでどうしても優先度は下がってしまう。うーむ。

それにしても夜リハーサルに通うのは寒い。そしてリハーサルフル参加ともなればしっかり腹ごしらえしないと。今回そこが計算外で結構こまりました。家で残り物用意しておくのもいいですがラーメンとかフォーとか外食でおいしいもの食べて望みたいところです。


今日の一曲: セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第5番 第4楽章



いやあプロコフィエフって何弾いても難しいですね。どのパートも平均的以上に充実してるようなのですが同時にどのパートもかなり難しそう。特にバイオリン(特に第1)は音も多いしすごい高音もあるし大変なはず。

この交響曲でいうとこの最終楽章はみんなが忙しいし難しい。単に速い・音が多いというだけでなくみんなのパートがそうなので辺りがせわしいしどんどん音楽が先に進んでいく。
しかもキーチェンジが多いうえに無関係の調に飛ぶ。大変大変。

でも音楽としてはものすごく楽しいフィナーレです。サーカス風味というかクレイジーでout of controlな感じや皮肉の聞いた鋭く明るいユーモアや、花火のような派手さや、機械じかけのようなドライさや。
まるでこれが弾いてる方も楽で楽しいように弾けたら一番なんだけどなあ(笑)

全体の音楽の流れを追うのに私でも手一杯なことはありますが特定の楽器に注目できるならバイオリン(の苦労)と多彩な打楽器軍団の働きが楽しいです。一昨日のリハーサルで最後の部分を打楽器だけで練習したのですがソヴィエトっぽい雰囲気とおもちゃっぽい遊び心が感じられてすごく面白かったです。たまにこういう聴き方もできると楽しいし貴重ですね。

「楽しい」重視でリンク録音を選びたいのですが冒頭30秒だと楽しいのも始まらないのが困るところ。とりあえず同じく軽めのプロコフィエフである「キージェ中尉」とのカップリングで。

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考えるだけならタダなので
前々回のエントリーに拍手ありがとうございます。

プロコフィエフのパート難しいですねー(笑)弾けない!難しい!って感じじゃなくて地味にちょこちょこ難しい。そして地味に難しいところで決まって目立つ。ロミジュリでもそうだったなー懐かしい。

決して華やかだったりピアノの技巧を披露できるパートではなく、つまりはソロのピアノとは全然性質が違うピアノのパートですが私にとってはもう満足なパートです。オケの一部であり、交響曲の一部であることを強く感じます。

一方新しい作曲家の曲はそれと比べるとどうしても首をかしげる事が多い。そりゃあ元々ピアノ弾きじゃない人ですしピアノのパートって書くの難しいでしょうしそもそもプロコフィエフとか偉大な作曲家と比べちゃあいけないかなという気はしますが、これまで色々若い作曲家の作品でありがたくパートをいただいて弾いてきた経験でなんとなく似たような首のかしげ方を何回かしてきたので。
それじゃあ「オケにおける良いピアノパート」って何なんだろう?ということをオケピアノ人生20年目になって改めて考え始めてみました。

ピアノという楽器の特徴をいくつか考えてみると速く弾ける、和音が弾ける(しかも大きな・音が多い和音が弾ける)、はっきりしたアタックがある、音量の幅がある、ペダルで独特の響きがでる、とかかな。
速く弾けるから木管楽器(高音)と一緒のパートも結構多いですし和音が弾けることで金管楽器と一緒に弾いたりポピュラー寄りジャンルでのコード伴奏みたいなのもある。はっきりしたアタックで打楽器の役割を担うこともありますし音量の幅により主役も背景も器用にこなす。などなど。

奏者としてじゃなくて聴衆として聞いてみるとオケでピアノのパートがいいな、と思う一つの要素はピアノの音というか音色が聞こえてきてかっこいいとき・・・かも。ショスタコの1番とか5番とかが良い例ですね。やっぱりあの金属的で硬い音が聞こえてくると「これはピアノしかできない」みたいな気持ちになるので。(これは他の楽器だとベルリオーズの幻想交響曲の第2楽章のハープのパートの存在感にも似てるかも)

もちろん「良いパート」というのはそういう存在感のある主役部分以外も評価対象で。いかにオケを支える方面で意味ある、上手な仕事をさせるか。多分ここで首かしげることが多いんじゃないかな。ちょこちょこ目にする、私が言うところの「謎分散和音」なピアノパートはこういうところで機能に苦しんでいるのかも。

かならずしもピアノパートを特別に、他の楽器と独立させる必要はないんですよね。ただ音量と音質の関係で他の楽器とも上手く組み合わせないと悪目立ちするリスクもあり。
でも同時に音量があるからこそ他の楽器と共鳴して引き立たせるように使う事も可能。きっとプロコ5番もそういう使いかたしている。

色々まだ考え途中を話してるので所々端折った感じになってますかね?自分でもどれくらい理解できる文章で書いてるか分からないのですが(汗)
こうやって書いてみるとピアノのパートもオケの他の楽器と変わらないはずなんですけどね。でもやっぱりピアノパートを書くのは他より難しいみたいなんだよなー・・・

それじゃあ奏者としてこれはいいピアノパートだ!と思った曲は何だろう、と思ったのでとりあえず10曲リストしてみました。
(1) ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
(2) プロコフィエフ 交響曲第5番
(3) オルフ カルミナ・ブラーナ
(4) ラフマニノフ 交響的舞曲
(5) レスピーギ ローマの松
(6) マルティヌー オーボエ協奏曲
(7) ショスタコーヴィチ 交響曲第1番
(8) プロコフィエフ ロミオとジュリエット
(9) バルトーク 不思議な中国の役人
(10) バーンスタイン ウェストサイド・ストーリー

自分で弾いた曲が多くなりましたが(なので思い出せてない曲もあるかも)自分では弾いてない曲も入ってますね。そしてもちろんですがチェレスタパートは除外してます。あとペトルーシュカとかソロパートに近いやつも入れてません。
こうやってみると色々だなー(笑)そしてマルティヌーはその中でもちょっとやっぱり異質かも。
でも主役としても脇役としてもどっちも楽しい曲揃いですしそれぞれに色んな他の楽器との絡みもある。これからも色んな作品のピアノパートを経験したいですし若い作曲家たちもどんどんオケにピアノパートを入れることに挑戦して欲しいです。首をかしげることになってもパートをもらえて弾けることはとても光栄ですし感謝しているので。


今日の一曲: セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第5番第1楽章



交響曲ってのはオーケストラにおいてスケール・演奏時間・メジャーさ全てで最大のジャンルではないかと思われます。そんな交響曲というジャンルでピアノが弾くようになったのはショスタコーヴィチの1番以来。チェレスタよりも後の参戦です。もちろん楽器自体はよく知られてますがまだまだルーキーです。

そして交響曲というジャンルはそれだけ大きいジャンルにもかかわらず多くの場合特定の題材や物語や言葉がない純粋な器楽で抽象的な音楽。他のジャンルの音楽から来ると取っつきづらく感じるのかなあ。
・・・ということをこのプロコフィエフの5番、特に第1楽章を聞くと思ってしまいます。
特に不協和音が多いとか聞きにくいとかそういうことじゃないんですけどね、曲を知っててこういう音楽に耳が慣れてる自分でも特定のイメージを想像しにくい性質の音楽。
第2楽章とか第3楽章はキャラの塊みたいな感じなんですけどね。

でも頭の中に景色を描くような風に聞いてないからこそオケの楽器の働きに注目(耳)がいくというところはあるかな。最初のテーマが金管楽器で繰り返し出てくるとことか気持ちいいですし、プロコフィエフならではみたいなラインの重なり方とか動き方というか不思議な建築を見ているようで。

リハーサルではどれくらい各楽章に時間を割くか分かりませんが(どれも難しいけど第4楽章が一番難しいかなー)オケの中で弾く事で第1楽章にも愛着が湧くといいなと思ってます。

どういう録音でオススメしたらいいかなーと思ったのですが同じプロコフィエフでいうと意外とロミジュリあたりが一部ちょっと感覚的に似てるかなあと思うこともあったので(特に第2,4楽章)ロミジュリの組曲とのカップリングを探そうとしたのですが意外と無かったです(汗)ということでてんこもりの録音をリンク。

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Plexus「Psalmodic」感想
やっぱり先週言った通りというか先週と同じ感じになりました。やっとこさ月曜日のコンサートの感想です。

まずはプログラムから。
Plexus「Psalmodic」
バイオリン:Monica Curro、クラリネット:Philip Arkinstall、ピアノ:Stefan Cassomenos
Leanne Bear「Nôtre Gothique」
Galina Ustvolskaya 三重奏曲
ドミトリ・ショスタコーヴィチ ジャズ組曲より3曲(編曲:Stefan Cassomenos)
(休憩)
Scott Mcintyre「TEETH!」
イーゴリ・ストラヴィンスキー 「詩篇交響曲」(合唱:Vox Plexus、編曲:Stefan Cassomenos)

世界初演は前半後半それぞれの最初の曲だけとものすごく新しい音楽はちょっと少なめの今回。
それぞれの曲でピアノ・バイオリン・クラリネットという3つの楽器のコンビネーションをどう使うかというのを考えさせられるようなところがありました。

例えば最初のNôtre Gothiqueなんかは3人で世界がものすごく完成している、その中で役割のバラエティがあったりして広がりがあったり。
ストラヴィンスキーは完璧とも言える編曲だったしそんな完璧な編曲をした友人には申し訳ないのですがやっぱり頭数が欲しくなってしまう。音の層というか重なりがあるといいなと思うのです。特に合唱と合わせたとき。ただ合唱のパートを考えると確かに室内楽でバランスをとるって良いことのような気もしますが。
逆にショスタコは原曲版のあの音色のバラエティが愛しく思えるながらも三重奏バージョンいいじゃん、こぢんまりしてて本来のアンサンブルよりも雰囲気がでるじゃんと思いました。あと楽章のチョイスとバランスも。このバージョンは積極的に広めていくべき。

ショスタコといえば今回初めましてだった作曲家Ustvolskayaはショスタコの弟子だそうで。ショスタコが逆に影響を受けたのはこっちだとか言ったらしいですがそれがものすごくよくわかる作風でした。ショスタコよりも少ない音で重く語る、この楽器編成をかなりシンプルに使った作品。晩年のショスタコの作風に影響が、とか言われたら信憑性ありますよ。しかも今回のこの作品は初期の作品らしく後からどう変わったのか変わらなかったのかものすごく気になります。ついでにいえばショスタコと違ってソヴィエト崩壊後も生きた作曲家なのでそこらへんも。

この手のコンサートだとクラリネット奏者の友人はEs管だったりバスクラだったり持ち替えが結構あるのですが今回は編曲が多かったこともあり物理的に楽器を換えるだけでなく色んな他の楽器を演じるようなパートがあって面白かったですけど大変そうでした(あとメル響ではモーツァルトのレクイエムだったのでバセットホルンも吹いてたそうで・・・)。
特にEs管メインのTEETH!ではきっと吹いてる自分も高音で耳が痛かったに違いない(それがでも「歯」のあの独特な痛い感覚をうまく連想させたとは思うのですが)。

Ustvolskayaもそうですがこの楽器編成で面白い20世紀くらいのレパートリーってまだまだ埋もれてるんじゃないかという印象を受けます。初演・編曲いろいろ混ぜて演奏してるみたいですがそういうどちらにも当てはまらない曲にも出会えるのがこれからも楽しみです。


今日の一曲: イーゴリ・ストラヴィンスキー 詩篇交響曲 第3楽章



よく西洋美術だとピカソが時期によって色んなスタイルで絵を描いたことが有名ですがストラヴィンスキーも後期ロマン派ぽいところからミニマルミュージックやら原始主義やらそういう名前をつけるのもちょっと違うような作風で色々な曲を書いていて。(ちなみにこの2人は交流があったそうです)
それでいてそのどれも完成度が高い作品なのがまたすごい。

そして既成の形式を使うも変えるも無視するも自由にできるのもまたストラヴィンスキーのすごいところ。もちろんだいたい同世代の作曲家なら色々実験したりなんだりやってることではありますがストラヴィンスキーの手腕は安定してハイレベルだと思います。
「詩篇交響曲」っていうタイトルを見て何を期待すればいいかちょっとわからないのですが宗教音楽としても一種の交響曲としても成り立つ不思議なポジションにある音楽。

いわゆる伝統的なクラシック音楽を聞き慣れていたり初期のストラヴィンスキー(三大バレエとか)に親しんでるとちょっと奇妙に聞こえるかもしれませんがとにかくこの第3楽章の最初の「Alleluia」の美しさにはため息が出る人結構いるんじゃないかな。個人的にベストオブAlleluiaです。こんな美しい和音で響くAlleluiaがあるだろうか、くらいの。

あと私もまた初期のストラヴィンスキーで育ってきたこともあってあんまりストラヴィンスキーに合唱のイメージはなかったのですが上手いですね合唱。ラフマニノフも同じように合唱うまいじゃんってなるのですがロシア正教会周りの影響があるのかしらん。ロシアの宗教音楽ってそもそも貴重だし一流の作曲家がそちら方面で素晴らしい作品を残してくれててなんだかありがたいです。

今リンクする録音を探してたらLili Boulangerの作品とカップリングされた録音がありました。詩篇つながりみたいですが珍しい。珍しいのでリンク。

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