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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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「Absinthe: The New Golden Age」@Bar Ampere感想!
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。

行って来ましたアブサンイベント!帰ってきて潰れましたが面白かった美味しかった-。

そもそもどんなイベントだったかというと。
メルボルンのシティのRussel Placeという裏道にはGin Palaceという有名なカクテルバーがあるのですが(その名の通りジンが有名らしい)、その隣のBar Ampereというバーも同じ人が経営していて。こちらはアブサン専門という分けではないのですがかなりアブサンに熱を入れているところ。
実はこの2つのバーの間にまたSwamp roomといってパーティーなどに使う貸し切りスペースがあって、そこを舞台にBar Ampere主催でこれまで誤解が多々あった曰く付きのお酒アブサンの歴史などのトークとアブサンに合わせた料理を肴にアブサンを楽しもう、というイベントでした。



アブサンと料理はこんな感じで出てきました(ただしトークの具合とかで必ずしも同時に出てくるわけではなかったです):
食前酒: マティーニ(1888年製のアブサンが入るレシピで)&緑唐辛子風味の生牡蠣
前菜: La Clandestine&揚げたエビのクラッカーにスモークサーモンとクリームチーズ
メイン: Pernodのどれか忘れたアブサン&ローストポークの冷たいのみたいな
デザート: Butterfly Boston&チョコレートタルトwithクリーム

マティーニ+アルコール度数60%超え3杯はちょっと多かったです(汗)トークでも話があったのですが、アブサンに入ってるニガヨモギの成分ツヨンは覚醒作用があって、アルコールの抑制作用を中和させるところもあるらしいのですが。しばらく大丈夫でも後からアルコールの抑制作用ががつんと来ます。要注意。

アブサン自体はButterflyが一番好きだったかな。他の2つは砂糖入れなくてもいいくらい甘いので(特に白い La Clandestine)、それもおいしいのですが。
あと食べ物の相性だと白身系のあっさりなものが良いみたいですが、最後のチョコレートタルトとのマッチングは最高でした。あんまりチョコレート系のケーキとか作ったり食べたりしないのですがこの相性ならまた真剣にチョコレート系考えたい。
あとやっぱり主原料にアニス・フェンネルが入ってるだけあってフェンネルが合うサーモンとかの魚は相性いいみたい。面白い。

トークは蒸留酒の始まりからアブサンが生まれた経緯、それがポピュラーになったきっかけの数々(遠征でのマラリア対策だったり水が汚染されてたり色々あったみたいです)から製造が禁じられた経緯、そして2011年にまた解禁され花開きつつある新しい歴史についてなど色々聞けました。
幻覚作用があるってのも伝説に過ぎなかったり、他のお酒と比べて特に危険ということはないということが分かっていたり。あと実物のニガヨモギも見ました。これといって香りがあるわけでもない、世界の色んな所に生えてる何の変哲もない草。不思議ですね。

それから面白いのがアブサンが世界のほとんどの国で作られたり飲まれたりしてない90年ほどの間は科学が目覚ましく進歩した時代でもあり。だからアブサンやその成分についての化学・医学関連の研究ってあんまり進んでなくて、お酒の飲み方、料理との相性、そして化学や医学でもまだまだこれから!なんですよね。そこもちょっとわくわくする。
(そして今年のノーベル医学生理学賞でも話題になったクソニンジンもニガヨモギと同じくArtemisiaの仲間なので正にホットな植物なんですよね。その経緯とか三国志周り含めた中国医学の歴史ってもっと調べてみたい。)

一通り終わった後周りの人(バースタッフも交えて)とアブサンやその化学についてお話を聞いたり、アブサン以外のお酒やメルボルンでお酒の美味しいバーやアブサンが買えるバーの話をしたり、私は酔ってて調子いいこと話してたけど(汗)聞く方に関してはほんと面白い話が聞けてそれもよかったです。

そうそう、聞いてみたところオーストラリアでもアブサン作ってるとこがあるみたいですね。
確かこのDistillery BotanicaのAbsinthe Reverieだったはず。いつか味わってみたい。
他にも様々な色のアブサンもあったり、そういう変わり種もあるそう。まだまだ知らない、奥深い世界。

そして今回のアブサン賞味に使ったスプーンはテイクアウェイ可だったので持って帰ってきました。年2回くらいメルボルンの料理関係のイベント月間とかの一部としてこういうこと開催するらしいので今後も(飲む量に関しては懲りましたが)参加したいと思います。
さらに自分もちょこちょこアブサン啓蒙に貢献したいです。




今日の一曲: モーリス・ラヴェル 「夜のガスパール」より「スカルボ」



ヨーロッパを中心にアブサンを楽しんだ芸術家・作家ってゴッホやヴェルレーヌを始めかなり名前が残ってますが、クラシック音楽界では全くといってそういう話がない。なぜだ。
例えばラヴェルは友人を招いてカクテルパーティー開いてたという話も聞いたことがある(はず)し、そうするとアブサンなんかは普通に持ってたり飲んでたりしてもおかしくないよなあ。

というわけでラヴェルをチョイス。あと偶然にもアブサンが生まれたスイス、流行ったフランス、そして禁止されなかったスペインに縁がある作曲家なので。(こう書くとやっぱりアブサンとも縁がありそうだよなー)

ラヴェルの作品ってのは少数精鋭な感じで、その質の高さは文句なしながら数の少なさは本当に惜しくて。ピアノ作品も合計2時間半くらいにおさまっちゃう(うちの先生が全曲演奏しましたが)。
この「夜のガスパール」はその中でも難易度・完成度共に高い曲集。特にこの「スカルボ」はいわゆる伝統的なピアノレパートリーの中でも最難との呼び名高い曲です。

スカルボというのは夜中に家に出てきて人間が寝てる間にいたずらしたりする悪めのこびとの事。展覧会の絵(ラヴェルがオケ編曲しましたね)の「こびと」と同じ伝承かな。
この手のこびとの伝説ってほんと世界広くにあって、妖精伝説とかアブサンで見る(と俗に言われていた)緑の妖精とか色々合わせて見てみると面白そう。

ラヴェルの音楽はいわゆる「印象派」というスタイルで、伝統的な調性にあんまり囚われない感じではあるのですが、この「スカルボ」で巧みに半音階的なハーモニーの動きを取り入れてこびとの不気味さを表してます。一回弾いてみたのですが指の動きとしてなんだか面白い。難しいんだけど頭にも指にも理にかなってるのがまたラヴェルのすごいところ。でも音は細かいし鍵盤を縦横無尽だしすっごく難しいのは確か。

「夜のガスパール」は(ラフマニノフの交響的舞曲・ゴリホフの3つの歌曲に続いて)3つの楽章がどれも金な、お気に入りが選べない&ばら売り出来ない作品集です。でも強いていえば第2楽章「絞首台」が一番かなー。心に一番近いっていったらそれかも。

リンクした録音は餅は餅屋ということでフランスのパスカル・ロジェの演奏。なんとラヴェルのピアノ作品(+連弾作品)がまとめて聞けちゃうお得なCD2枚組です。ちょっと試聴してみたら「スカルボ」がちょっと神経質な感じで大変好印象。そういう感じの演奏を私は求めてます。
ラヴェルはすでにちょこちょこ色んな録音持ってるんだけどこれも欲しくなっちゃうなー。


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