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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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手元の音楽に思う事いろいろ。
前回ポケモンが滞ったかもと書きましたが案外簡単に(移送組なしで)解決しました。
しかもそんなに運は絡んでない・・・はず。
それでも四天王(強化)相手は心配なのでとりあえずちょっと回り道。

さて、今日はamazonで頼んだ楽譜が来ました。
ちょっと弾いたりなんだりしてみたのですがその前にちょっと今弾いてるショスタコについて思ったことから。

今弾いてるショスタコ、というのは前奏曲とフーガ第12番嬰ト短調。
以前前奏曲がパッサカリアの形式で書かれてることについてちょっと書いたと思いますが、最近色々考えることがあるのはかなり複雑なフーガの方。
テンポが速く4声で5拍子、ぎざぎざで休符が不規則的に入る複雑なメロディーの絡み合い。フーガとしてもちょっと長い。
音を頭で捉えるのも実際に指で弾くのも大分骨が折れます。なかなか頭にも指にも馴染まない。もともとショスタコのピアノ曲ってそういう指的に変なところ色々あるんですがそういうのとはちょっと違う。
何でだろう、と思いちょっと(同じく今弾いてる)バッハのフーガとなんとなーく比べて見るとどうもフーガの主題以外の部分に「filler」というか、音楽的に意味の薄い音が多いように思えるのです。

ショスタコの音楽って長いこと親しんできて、そして彼についての資料がアクセスしやすかったり歴史的なつながりやメンタル的な共感とかもありものすごく思惑を読みやすい作曲家だと思います。私は。
そうやって培ってきた勘(基本勘は知識と経験と論理で培うものだと思いますが)でこのフーガに関するショスタコの思惑を読むとそのfillerの存在がちょっと分かるような気がします。

私が思ったのはショスタコはこのフーガの主題と全体的なキャラクターをひらめいちゃったのではないかなーと。で、なんとかそのひらめきを生かしたい、生かさないと、と思ったんじゃないかな。
だから主題が魅力的で、全体的にものすごく強烈なキャラクターがあって、それを生かすのが最優先で、ディテールは割と苦労しながら詰めていった、みたいな。(実際自分もそういう風に創作文を書くとき結構あるので・・・)

でももうちょっと考えてみるとそのfiller的な部分が多いからこのフーガがバッハの無駄ない、完全なところのあるフーガに劣るというわけではないんですよね。このフーガは電撃的な、稲妻のようなキャラクターで、それを考えると主題以外の部分はバックの電気ノイズみたいな役割で、だから音楽的に意味が薄くて正解なのかな、と。そういう解釈もできる。

さて、ここまで来て長さ的にどうかなと思うのですが今日着いた楽譜について。
メシアンの「時の終わりのための四重奏曲」のポケットスコア(でも弾きながら読めないことはないです)、それからトーマス・アデスのピアノ曲「Darknesse Visible」とオペラ「Powder Her Face」のピアノのためのパラフレーズ(全4曲)。

メシアンの四重奏、第5楽章(チェロ+ピアノ)と第8楽章(バイオリン+ピアノ)が天国的にゆっくりで長いことで有名ですが、楽譜にするとソロ楽器+ピアノ併記でもそれぞれ3ページしかないんです。見開き3ページじゃなくて3ページですよ。小節数でいうと30小節強。でも演奏時間は8分。どれくらいゆっくり弾けばいいんだろう。こんど弾いて計ってみます。

アデスの音楽は前々から好きと言っていますが弾いてみるのは初めて。
独特の雰囲気を持った音楽なのですが、いざ楽譜を開いてみるとものすごく難しく見えて弾く前に挫折したのです。
で、今回楽譜を自分で購入して弾いてみたのですがやっぱり楽譜面に負けそうになるところもあり。そもそも購入の一番のきっかけだった「Powder Her Face」の第4曲が一番簡単そうだったので、なんとか弾き通してしっかり最初の音さらいしたんですが最初のハードルを越えれば楽になる雰囲気はあるようでした。

アデスのピアノ曲は実際の音は難しくないです。読めるしなんとなく分かる。ハーモニーもPowder Her Faceだけかもしれないけれどききとりやすい。
ただその音をどっちの手で弾いて(オクターブ超え和音ちょこちょこある)、いつ弾くのか、その動線を楽譜を見て考えてはっきりさせとかないと弾きようがないです。

「Darknesse Visible」は特に楽譜を見て4つくらいの音が鍵盤の至る所にあって絶対同時に弾けないのでどこをどの手で取ってどっちに動く、というのがとっても難しい。この曲については別にゆっくり説明したいのですがアデスの作品の中でもちょっと特殊で、初見で弾くだけでものすごく精神力と頭脳を消費して弾き終わった後でしばらく強制スリープに陥りました。

でもさっき書いたように高いのは最初のハードルがダントツだと思います。
音楽的にはアデスの音楽全般いい録音も出ていますし割とどう弾くかはストレートにイメージが湧くような印象があるので。何曲か弾いて音楽言語になれれば(メシアンでそうだったように)楽になるような雰囲気もありますし。
アデスは今存命の作曲家のなかでもトップクラス、独特のスタイルで安定して素晴らしい曲をいくつも書いていて、弾かないでいるには勿体ないので。

さて、さらに弾く曲が増えてしまったのをどうするべきか、これからちゃんと考えていかないといけませんがとりあえずこれからアデスの「Powder Her Face」の録音(オケ版は持ってるのです)をダウンロードしてきます。
弾く曲も手に負えないくらい多いですが9月のリサイタル後から続く録音入手ラッシュもまだまだ続いています。頭パンクしないように気をつけよう。


今日の一曲は今回もお休み。長くなったのとちょっとまた頭がぐるぐるしてきたので(汗)

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国立アカデミー生徒集合室内楽コンサート感想
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。
だんだん精神の調子が落ち着いてきている・・・と思っていたのですが外にでたら光や音や声や色々な刺激で頭がくらくら、ぐるぐるするように。なかなか本調子とはいかないようです。

でも今日はなんか春らしい日で、出かけるにもいい天気でした。
なので数日情報が入った友達何人かが弾いてるコンサートに行きました。
場所はMalvernにあるSt. George's Anglican Church。十字型をしたこぢんまりした教会で、ステンドグラスがきれいでした。
プログラムはこんな感じ:
ドビュッシー フルート、ビオラとハープのためのソナタ
ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲 op.81

どちらも好きな曲なのですが、ドビュッシーに関しては(彼の晩期の作品にちょくちょくあるのですが)いまいち自分の中で理解と解釈が根付いてないというか、どうとらえていいか分からなかったのですが演奏前の説明でドビュッシーが自身が書きたい音楽の特徴として「Pastoral」という言葉を使っていたと聞いて演奏を聴いたらものすごくしっくり来ました。
よくよく考えたら(決まった調ではないのですが)ヘ長調ベースだし、ドビュッシーでフルートといえば牧神だし。それにドビュッシーの晩年の作品はこちらも田園的な音楽を書いたヴォーン=ウィリアムスに通じるところもあり。言葉でうまく言い表せないですがすとんと落ち着きました。
演奏は特に第3楽章で強烈なビオラと大胆なハープの音がかっこよかったです。フルートはなんというか役割と音色が固定しているので残りの2人のキャラクターが物を言うみたいですね。

ドヴォルザークは本当に良い曲です。ピアノ五重奏曲といえば(ピアノ+弦楽四重奏の形式でピアノ五重奏を最初に書いたのはシューマンですが)ブラームス、ドヴォルザーク、ショスタコーヴィチあたりがビッグ3。
(でもドヴォルザークはこのop.81の前、初期に同じイ長調でピアノ五重奏曲を書いているのですが出来が気に入らなくて原稿燃やしたそうです。録音は出て私も持ってますが)

なんといってもアンサンブル・チームワークが素晴らしかったです。
お互いの音をよく聞いて、一つの音楽を感じて奏でているその一体感がよかった。
もちろん一人一人の演奏も素晴らしい。ピアノの音がとにかく色彩豊かで、アルペジオを弾くたびに音がふわっと花開くのは惚れ惚れ。
第1,2楽章でがんがんメロディーをもらえるビオラとチェロの活躍もすごかった。もともとどちらも贔屓の楽器ですが、この曲のこの2つの楽章でのビオラとチェロの輝きは特別。
(ドヴォルザークはビオラ弾きでしたし、チェロ協奏曲も王者ですしね)

あとドヴォルザークってメロディーだけでなくリズム伴奏のセンスが面白い(新世界の第4楽章もそうです)。その使い方が独特の民族音楽的なキャラクターを与えているのかな、と改めて。そもそもこの曲全体がドヴォルザークの故郷であるチェコ周りの民族音楽のスタイルをベースにしていますが。

そしてコンサートの後は奏者何人かが作って持ってきたケーキやクッキーなどをいただきながら色々おしゃべりしたり。みんな会うの久しぶりなので(汗)また会う約束するため連絡せねば。
私と同じ頃大学行ってた友達は今年の末(つまり来週)で国立アカデミーを卒業。この後どうする、という話はあんまりまだ聞いてませんがこのメンバーで集まって弾くこともあるんじゃないかな、と。あのチームワークだと。楽しみです。
それから私もがんばらないとですね。

さて今日はちょっと出かけただけなのに結構疲れてしまった。
これから数日暑いみたい(ただその後また20度以下に戻るみたいですが)なのでまた外に出たいです。ただ調子がどうかなー・・・

さらにこれからポケモンYでポケモンリーグ挑戦。
手持ちパーティーなどは次回に。


今日の一曲: アントニン・ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲 第2楽章



それぞれの楽章が違った民族音楽のキャラクターで書かれているこのピアノ五重奏曲。
第2楽章は「Dumka」です。元はウクライナの叙事詩的なバラード的な歌や器楽曲のことを指すそう。(他にもチャイコフスキーとかヤナーチェクなどがDumkaのスタイルで曲を書いています)
スローなメロディーを主にして色んなキャラクターの部分をはさみながら歌い語るような曲になっています。

特にビオラ弾きにとっては贅沢すぎるほど美味しいこの第2楽章。東ヨーロッパらしい渋いメロディーをセンターで奏でさせてくれる。今回の演奏でもビオラの子がソロの時はがんがん前に出る音でしっかり聞かせてくれました。
(あの子が室内楽で弾くのは何回か聞いてますが、サポートからカウンターメロディーからソロから色んな音を使い分けてるのがすごいです。ビオラってそういうことなんだろうなあ。でもその中でも「最前列に出る音」があの子は凄いのです)

メロディーもいいのですが特に私がこの曲で「ボヘミアだ!」と思うのが一番速くなるセクション。ここは歌ではなくて踊りですね。この狂おしい盛り上がり方が他の文化圏とはちょっと違うような気がするのです。

持ってる録音はリヒテル+ボロディン四重奏というものすごい顔ぶれの、これまた生演奏とは思えないくらいのクオリティの録音なのですがちょっと惜しいことにこの第2楽章のテンポがすごく遅くて聞くのが大変(汗)演奏はいいのだけれど長い・・・
先ほども書きましたがこの録音はドヴォルザーク自身は気に入らなかった最初のピアノ五重奏曲と収録されています。ただ同じドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」だったり、はたまたシューマンのピアノ五重奏曲とのカップリングもあって面白いですよ。


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MNOZIL Brass「HOJOTOHO」感想
前回のエントリーに拍手2つありがとうございます。
まだまだ調子が安定せず何かと沸騰しやすい時とそうでないときがぐるぐるしてるので、ゆっくりのペースでやってます。そんなに長くは続かないと思いますし、とりあえず無理せずかな。

そんな中日曜日にMNOZIL Brassの「HOJOTOHO」に行ってきました。プレビューがようつべにあったのでリンク
コンサートというかショーというかコントというか舞台というか。今メルボルンで開催中のワーグナーの生誕200周年Ring Festivalの一部としての公演でした。
ちなみにこの「HOJOTOHO」自体もワーグナーゆかりの地でありワーグナーの音楽の本場であるドイツのバイロイトの市から直々にワーグナー生誕200周年を祝う作品を依頼されたらしいです。これはものすごいことですよ。(特にMNOZILはいわゆる「純粋な」音楽を扱うグループでないので)
そういう経緯で作られたこのHOJOTOHOですが、やっぱりワーグナーという(特に金管にとっては)偉大な作曲家の音楽にたった7人の演奏で真っ向に立ち向かうよりも、その精神を讃えながら独自の形でなにかできないか、という思いで作られたみたいです(プログラムを私はそう読んだ)。

まずMNOZIL Brassについてちょっとおさらい。前回彼らがメルボルンに来たときの感想はこちらに書いています。
MNOZIL Brassはオーストリア(リアの方ね)を拠点とした金管奏者おじさん7人組。トランペットが3人、トロンボーンが3人、テューバが1人。世界各地(日本含む)を旅してる中メルボルンには色々縁があって、もう数回彼らのコンサートを聴く機会に恵まれています。
彼らの舞台は単なる楽器の演奏にとどまらず、歌ったり踊ったり、時には楽器を抱えながら激しく動き回ったり、専門以外の楽器を持ちだしてきたり、演技もコメディー要素も下ネタもなんでもありのバラエティに富んだエンターテインメントを繰り広げる最高に面白いおじさん達です。(しかも楽器を吹く以外でも何をやっても上手いんだ!)
取り扱い音楽はオリジナルだったりクラシックだったり、はたまた誰でも聞いたことがあるような音楽だったりと色々で、音楽に詳しくなくても終始大笑いで楽しめるのですが、音楽について知ってるとさらにツボが増えるシステム。

今回の「HOJOTOHO」は特にワーグナーとその作品(特にこのフェスティバルの主役、オペラ「ニーベルングの指環」)とつながりがあるショーなので、私もワーグナーの元ネタをもうちょっと知ってたらもっと細かいところで笑えたなー・・・というところもありつつ。
でもとりあえず「指環」サイクルの大まかなあらすじを知ってたのでその元ネタのコネクションが見えて面白かったです。Funnyに加えてinteresting。

だからところどころで「あんたヴォータン(オーディン)なのか!」とかツッコミ入れっぱなし。曲解とも言えるし全く新しい何かとも言えるし、同時に難しいことなしで馬鹿馬鹿しく楽しめる何かでもあり。
元々彼らのショーは台詞が少ないのですが、台詞が分からなくても全然気にならないですし、あと全体的に笑いのツボってやっぱ(世界共通とはいわずとも)国境とか文化を超えるなーと。一人をいじってみたり、下ネタに持ってったり、変な顔や動きで笑わせたり。

これは彼らのパフォーマンス全体に言えることですが、とにかくスタミナがとんでもない!
まず演奏の音量がすごい(コンサートホールでバルコニーあたりで聞いててもうるさいくらい)のと、とにかく動き回るのと、それでいろいろやってショーの終わりもアンコールまでもがそのすごい音量キープしたまま、という。聞いてて毎回びっくりします。
そしてコンサートホールみたいな大きいステージを移動するのにちょっと特殊で効率的な走り方をしてるのも面白い。
で、そういう大きい場所でもものすごい細かいとこまで演技したり。

そうそう、このパフォーマンスで面白かったのが反ユダヤ主義で有名なワーグナーを祝う作品の中でユダヤ系の音楽を何回か使ってたこと。プログラムに書いてはいませんでしたが思惑があるのかな。(もともとMNOZILはショーの中でそっち系の音楽ちょこちょこ使いますが)
あとHOJOTOHOはこれまで見たパフォーマンスの中で一番歌う部分が少なかったです。吹いてる部分と演技の部分がほとんど。

結局中身についてはほとんど書きませんでしたが本当に楽しかったです。笑いました。一番笑ったのはやっぱりくだらない方面のユーモアでした(笑)
大学の頃から金管奏者は下ネタ好きでふざけるのが好きで、その延長線上にあるような舞台なんですよね。
そして母(ホルン吹き)がよく「金管楽器は和音を一緒に吹いて溶け合わせるのがとにかく幸せ」と言ってましたがショーの最初の10分でそれがよく分かりました。チェロやピアノにはない幸せですね。

・・・で、公演が終わってロビーでDVDとCDを売ってる(サイン会もあった)というので言ってみたらなんとCDが30ドル、DVDが40ドル、1枚ずつセットで50ドルという安すぎないか心配になる価格だったので1枚ずつセットで買いました。
CDは「what are you doing the rest of your life」、DVDは「Magic Moments」(こちらにプレビューが)。
やっぱり生の演奏が一番ですが手元でいつでも楽しめるようになったのは大収穫。ありがたやありがたや。両親に見せるのが楽しみです。

次はいつメルボルンに来るのかな。MNOZIL Brassとクロノス・カルテットが3年サイクルくらいで来てくれるとベストなんですけどねー。
そろそろメルボルンの2013年コンサートシーズンも終わりですが、今年も良いコンサートに色々行けてよかったです。
もうしばらくお出かけ控えめですがゆるゆる回復していきたいです。


今日の一曲: MNOZIL Brass 「Hungarische Schnapsodie」



CDに入ってた!(でもDVDで見れるのは売ってたもう一つの方だった!)
メルボルンのブラスフェスティバルで初めてMNOZILのコンサートに行ったときに大笑いして印象に残ったこの曲。
彼ら得意の東欧スタイルの音楽に、ものすごい超絶技巧にコントに歌に色気(?)に金管楽器あるあるなネタに、そのほか色々この1曲に詰まってます。

もちろんCD版なんでその全部は味わえませんが音楽として聞いても楽しいです。
金管楽器で超絶技巧とかスターといえばトランペットですが、この曲の主役はトロンボーン。
(ちなみに彼はメルボルンのとある金管奏者と結婚してるのでそういう意味でもMNOZILとメルボルンは縁が深いのです)
腕の筋肉という他の楽器を操るよりも大きな筋肉でものすごい速い音を弾いたり、低音楽器とは思えない高音を吹いたり。音色も豊かに広がる大音量からビブラートのかかった甘い音まで自由自在。

MNOZILの奏者達の音の魅力の一つはあの爆発し続けるような大音量を真っ向から浴びることだと思うのですが、CDでは割と音が丸められているような印象。(DVDはそうでもないです)
それがちょっと残念ながらも落ち着いて聴けるのは確かにいいかな。

そうそう、去年見たBlofeldもすでにDVDになってるようです。手元のDVDは舞台裏までコントが続いてたりするのでBlofeldもバックステージが楽しみ。
Youtubeも公式アカウント複数(MNOZILのだったりメンバーのだったり)を含め色々動画があるので是非探してみてください。
リーダーなのかな?第1トランペットの方のアカウントには2009年の日本ツアーの諸々映像を集めた動画(ちなみにカテゴリはコメディです(笑))もあります。大笑いしました。おすすめ。

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音楽を解釈するプロセスを説明してみる試み
前回のエントリーに拍手ありがとうございます!
そしてポケモンYプレイし始めました!最初に表示言語が選べるようになってましたが諸々名前をつけるのが英語のほうが都合がいいため結局英語にしました。
1つめのジムと2つめのジムの長い道のりの中にいますが感想などはまた後日。

今日はちょっと真面目な、というか真剣にやってみた試みを。
奏者として音楽を解釈するプロセスをちょっと可視化してみようと思いまして。
もちろんみんながみんなこういうプロセスで解釈してるわけじゃないと思いますし、自分でも必ずこのステップを踏んでるわけではないですし(もっと直感的な場合も多くあります)、そもそもここでどれだけ正確に書き表せてるか分かりませんが。

今回題材として今弾いているヨハン・セバスチャン・バッハの平均律第2巻第8番(嬰ニ短調)のフーガを選んでみました。
楽譜はIMSLPのここ(pdf、前奏曲とフーガのセット)で無料で読めますが今回は最初の一小節だけしか要りません。最初の小節だけでかなり判断材料になります。
手書きで書き出してみたのがこちら。
 
始める前にちょっと説明を:
右手だけです。左手は休み。嬰ニ短調という珍しい調で調号は♯(シャープ)6つ。
Cは4分の4拍子の略号。×はシャープをさらに半音上げたダブルシャープです。
バッハは基本楽譜に音符以外のああ弾けこう弾け的なことを書きません(ただし私の持ってる楽譜のように編集者が色々書き足すこともあります)。
ということでこの曲をどう弾くかは奏者が主に楽譜を元に解釈して判断します。

まずはテンポ(曲の速さ)ですね。
このフーガはこの前に演奏される前奏曲とセットになっています。前奏曲はもっと細かい音が多くて聴いた感じ割と速く(そしてごちゃごちゃして)聞こえます。
このフーガはそれとくらべると8分音符中心で1小節の幅も広い。ただこの珍しい調から来る楽譜面のちょっと込み入った感じもある。
そういう音楽的経験からの印象・感覚からするとこのフーガはどっちかというとゆっくり弾いた方がよさそう、ということになる。
ただし!楽譜をぺらぺらめくってみるとこれが結構長く見える。つまりあんまり遅く弾き過ぎると弾く方も聴く方もしんどいです。ということで「ほどよく」ゆっくり聞こえるテンポがベストかな。

で、この曲をどういう音楽にするか、というのはこの小節の最初の3つの音(3つのレ♯)からある程度判断できます。
この3つの音をニュアンスをつけて「面白く」するべきか、それともフラットな感じで弾くべきか。

フーガ、というのはメロディー+伴奏という形式ではなく、複数のメロディーが絡み合うような音楽で、同じ主題が曲を通じて何度も現れます。主題の冒頭はそれと分かるように特徴的になってて、この場合3回同じ音が繰り返されることで主題が来たな、とわかるわけですね。
なので主題の冒頭をはっきりさせることは大切。ただし主題は何度も何度もやってくるので、あんまり毎回強調しすぎるとちょっとくどくなる恐れも。

特にこのフーガみたいにゆっくりで何分も(何ページも)続くとなると毎回毎回「面白く」弾いてしまうと効果が薄れるばかりか、曲を断片化させて余計に長く感じてしまいます。
お笑いと一緒で「かぶせる」テクニックを使うときは的確なタイミングでしかるべきオチをつけることが大切です。つまり主題を繰り返し強調することでオチを期待させるのですが、この曲の長さだとちょっとそれは酷です。しかも曲全体見ても蓄積した期待につりあうようなオチはないような印象。

なのでこのフーガの場合最初の3つの音、そして主題はわりと平たく弾いて、曲全体としての流れを大切にするのが一番かな、と思います。
そもそもフーガは主題が新しいキーで入ってくることにより全体の調が転々とするエフェクトがあって、それで自然と動きとか変化とかが出てきて、自然と方向が決まっていくようなところがあり。なのでここはその自然な流れに任せて余計な事はしないほうがいいんじゃないかと。

このフーガの主題自体もちょっと長めで、その息の長いフレーズを感じながらもっともっと長く曲全体の流れを感じるのがこの曲を美しく聴かせるポイントではないかと思います。
そしてそれには先ほど書いた「テンポを遅くしすぎないこと」も大事。

とりあえずそんなところです・・・が、もう一つ自分なりのアプローチとして追加しておきたいことが。
このバッハの前奏曲とフーガを弾く場合、もしかしたらショスタコーヴィチの前奏曲とフーガ第12番も同じプログラムで弾きたいな、と思ってます。
調は同じではないですが♯5つ(嬰ト短調)と結構近い。曲調もちょっとだけ似たところがある。バッハの前奏曲がショスタコのフーガと似てて、バッハのフーガがショスタコの前奏曲と似ているところがある、交差的な感じがまた相性が良いわけです。

この2つの作品を一緒に弾くとなるとそのつながりを(例え聞き手にはほぼわからなくても)ちょっとちょいちょいしたくなります。
例えば、バッハのフーガをショスタコーヴィチの前奏曲と同じテンポで弾いてみる、とか。
実はこれ、何かと遅くなりがちな二つの曲のテンポが重くなるのを抑制する効果もありそう。
さらには(実際まだやってないですが)バッハの前奏曲とショスタコーヴィチのフーガを同じテンポで弾いてみることも可能は可能なはず。

・・・とまあなんとか説明してみました。あくまでも自分の音楽的な経験とか色々なアイディアとかから出てきた個人的なアプローチですが(少なくとも一部は)こういう感じでやってますよーという紹介でした。
バッハはやっぱり個人の感覚とか色々な要素で解釈もいろいろと言われる作曲家ですが、意外とメシアンとかも(作曲家が色々注文細かくつけるにもかかわらず)解釈が分かれたり。
なのでそのうち次回やるとしたら今度はホームグラウンドの20世紀あたりで書いてみるのもおもしろそうですね。


長くなったので今日の一曲はお休みー


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3 days full of music
前回のエントリーに拍手どうもですー

前回の更新から今日まで3日間、色々音楽イベントでいっぱいでした。
なので今回はそれぞれの感想を短くまとめようと思います。

まずは木曜日のメル響コンサート。
Mark Wigglesworthの指揮でハチャトゥリアンのバイオリン協奏曲(バイオリン:James Ehnes)とショスタコーヴィチ交響曲第10番。オールロシアというか時代からいえばソヴィエトですね。
ハチャトゥリアンはワイルドなイメージよりはクリーンな音で(バイオリンの重音があんなにきれいにでるのはへっぽこ元チェロ奏者としてはうらやましい)、ちょっとオケとソリストの方向の食い違いはあったけど良い演奏でした。

ショスタコはもう髄までショスタコでした。もう冷たい無機質なコンクリートのような精神とどこまでも人間な闇が混ざる、決してとっつきやすい曲ではないのですがこれぞショスタコ!という曲の魅力が出ていました。ファゴットのソロかっこよかったなー。ショスタコのファゴットは独特。
そしてショスタコ自身を表すDSCHのテーマのクライマックスのどこかでコントラバスがそろってピチカートを全力で「鬼はー外ー」とやってるみたいな動きで弾いてました。すごい視覚的効果!
改めてショスタコ大好きです。ほんと自分に馴染んでいる音楽。

金曜日はメルボルンの科学館ScienceworksにあるプラネタリウムでGrigoryan Brothersのコンサートがありました。
このコンサートではオーストラリアの作曲家Stuart Greenbaumの「Natural Satellite」という曲の初演もありました。私が大学に通ってるとき大学のオケが年に1回作曲科の生徒の作品を演奏する、というのがあったのですがある年にStuartが作曲科の生徒たちに「なるべくチェレスタを入れるように」と言ってくれて、結果いろんな素敵なチェレスタパートが生まれたという経緯がありまして。なので作曲家として作品が好きなだけでなくちょっと恩もあるんです。

今回初演されたギター2本のための「Natural Satellite」は太陽系の惑星の様々な衛星達を題材にしています。5つの楽章が順に土星のヒペリオンとタイタン、木星の4つのガリレオ衛星、海王星のトリトン、土星の5つの羊飼い衛星、そして地球の月を題材にしています。ちょこちょこポピュラー音楽でのギターの使い方に影響されてるようなところもあって、幅広い表現が楽しめました。
他に演奏された3曲も合わせて宇宙という壮大な世界を映像で楽しみながら、ギターというとってもintimateな音の世界も同時に存在してて不思議でした。あと不思議と言えばプラネタリウムの後ろに倒れる椅子でほぼ寝転んだ状態で音楽を聴くという体験も不思議でした。(来年は名古屋のでっかいプラネタリウムも行きたいです)

そして今日はワーグナー生誕200年記念、Melbourne Ring Festivalが開幕しました。
ワーグナーの超巨大オペラ作品「ニーベルングの指環」(各6時間とかのオペラ4つで構成されている)が完全な形で複数公演が行われるというのがメインイベントで、その指環サイクルに関する様々なコンサートやイベントがメルボルン周り色んなところで開催されるという、いつのまにか街を巻き込んだ一大祭りになっています。

今日はオープニングとしてちょっとしたパレードと屋外コンサート的イベントがFederation Squareで行われました。なんと本物の馬に乗った戦乙女ワルキューレがいましたよー!
演奏はブラスバンドによる「ワルキューレの騎行」のアレンジで、ステージの演奏から始まっていつのまにか聴衆が集まってる広場でも奏者が弾き始める、という感じの流れ。しかも広場を囲んでいるTransport Barのバルコニー、Deakin EdgeのバルコニーとChocolate Bhuddaの前にそれぞれ1人ずつトランペットのソリストがいて聴衆と奏者が入り乱れ囲まれたような演出になってました。面白かった-。

結構このオープニングイベント人が集まって賑やかでした。土曜日でFederation Squareという場所もあったんですが、やっぱり「ワルキューレの騎行」のメロディーはみんな聴いたことがあって知ってるってのもあるんだろうなあ。
それにしてもワーグナー生誕200周年、そして巨大オペラの完全公演とはいえ一オペラ作品を一般に向けてもがんがんアピールするフェスティバルにまでしてしまうとは。
この他にもオペラをあんまり知らない、親しんでいない、そして本編が長くて高くてもう売り切れてて行けない一般の人達向けのイベント(無料イベント含む)も色々用意してるみたいですし、クラシック音楽に親しめるフェスティバルになるといいな、と思ってます。

この祭りの一部としてなんと!MNOZIL Brassがコンサートという名の壮大なコントをやりに来るので速攻でチケット予約しました!あぶなかったー売り切れそうでした。おもろい金管おじさんたちがまたメルボルンに来てくれる、というのが本当に嬉しくて。コンサートは24日ですがもう楽しみ。

あとはワーグナー祭りでは指環サイクルの衣装展とかもあるようなのでちょっとのぞきにいこうかな。まだまだ寒いのですが出かける楽しみができて良いです。感想はまたその都度。


今日の一曲: アラム・ハチャトゥリアン バイオリン協奏曲 第3楽章



手短にちょっとだけ。ハチャトゥリアンのバイオリン協奏曲は長いこと知ってる曲なのですが木曜日のコンサートで見直したというか、新しく魅力を感じた曲です。
そもそもこの協奏曲は学生が弾くことも多くて第1楽章だけ演奏されることも少なくなく、第1楽章はわりと時と場所のキャラクターが強くて、で他の楽章の印象ってちょっと薄かったのですが。

やっぱ生で聴くと集中の度合いとか耳の付け所(?)とか変わってきますね。あとその場にいる臨場感からくる印象の違い。
この第3楽章はほんとにこう、遊び心があるというか、第1楽章から色々持ってきたり、民族舞踊的なところがちょっとあったり、リズムが色々楽しかったりとか。聴いてて楽しい曲です。

その反面ソリストのパートは結構大変そう。第1,2楽章とも短いとはいえないですし、その後のこの最終楽章もそれまで以上に弾きっぱなし。ずっと細かい音とか重音とか技巧がすごいパート。
それが今回のコンサートだとあのまっすぐでクリーンな音で弾かれて本来より難しく聞こえないのがすごかった。

もちろん間に挟まれた第2楽章も魅力的な曲です。ちょっとロシアの東の方行ったなーというエキゾチックな雰囲気が。なので第1楽章だけでなく他の楽章もぜひ聴いてみてください。

リンクしたのは持ってる録音。ちょっとワイルドなところがあって良い演奏。そしてなぜかカップリングがブラームスのバイオリン協奏曲。調がニ長調というところ以外共通点がないのですがそのコントラストも面白いです。

拍手[1回]