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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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21世紀のオケ音楽
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。
その前回のエントリーはDwellingsの話でしたがこないだ始めたランダムマップではいくつか街を押さえたのにまだDwellingが一つも見つかってなかったり。Nagaさん来い来い(ゲームどうこうでなくただ単に蛇が好きなだけ)。

さて、最近ネットラジオはちょっとご無沙汰なのですがニューヨークの現代音楽特化チャンネルQ2 Musicでまたマラソン的な特集のお知らせが入ってきました。
ななななんと「21世紀(2000年より後)に作曲されたオーケストラ曲」のくくりで24時間放送するそうです。3月24日に。ニューヨーク時間の真夜中からかな?予告記事はこちらから。

21世紀ですよ。20世紀でさえ作品の知名度が低い時代なのに&まだ21世紀が始まって15年目なのに。
でも20世紀に一般にあまり知られず素晴らしい曲がたくさん残されているのと何ら変わらず21世紀にも世界の色々な所で様々な作曲家が前の時代に劣らない作品を書いて活躍しています。
そしてクラシック音楽も進化が止まったわけでなく、20世紀よりもさらに多様化した、一口で「クラシック音楽」とはくくれないくらい色々なスタイルに広がっています。

20世紀から21世紀の全体的な傾向としては19世紀の頃みたいに大金持ちのパトロンがいるわけでもなく、それから音楽のスタイル(クラシック以外にも)や拠点がものすごく多様化したためお金や人など資源がかなり分散して、でっかいオペラやオケ音楽がそうたくさん出来ないようになった、みたいな理解でいいのかな。
なのでオペラも最近は「室内オペラ」というオケや舞台のセットなどがこぢんまりした構成のオペラやmusic theatreが流行だったり、室内楽グループによる作曲委嘱、歌曲の作曲が多かったり、オケと室内楽の間みたいなサイズの編成の曲が作曲されたり。
なのでここで21世紀の「オケ曲」に絞るってのはなかなかチャレンジかもしれません。

先ほどの紹介記事やそのコメント、そして記事に言及があるTwitterハッシュタグ「#21cOrch」のツイートを見るといっぱい知らない曲が言及されて改めて自分の不勉強さを思い知る、と同時にものすごい好奇心が湧いてきます。もっと色んな音楽を知りたい!

ただ私もいくつか知ってることは知ってるはず。なので自分にとっての「21世紀のオーケストラ音楽で注目してる曲のベスト」を選んでみました。
とはいえそもそもの母数も少なく、自分が知ってる曲も少なく、厳しい目で選ぶというよりは自分の好きな曲をなんとかかき集めた感じになりました。難しい!
ちょっと前に生まれてるけど存命の作曲家で21世紀になってからあんまり大編成の曲書いてない人もいたり(Sculthorpeとかクラムとか)、あと意外と1990年台以前だったりする曲もいくつかあって、80年台以降は歴史の年表的に考えられなくて難しい。要勉強です。

今現在の自分にとっての「21世紀のオーケストラ音楽で注目してる曲ベスト10」はこんな感じです。
(1)トーマス・アデス 「Polaris」
(2)ブレット・ディーン 「The Last Days of Socrates」
(3)アルヴォ・ペルト 「Lamentate」
(4)ジョン・アダムズ 「City Noir」
(5)ナイジェル・ウェストレイク/リオール 「Compassions」
(6)オズバルド・ゴリホフ 「3つの歌曲」
(7)ロス・エドワーズ 尺八とオーケストラのための「The Heart of Night」
(8)エイノユハニ・ラウタヴァーラ チェロ協奏曲第2番「Towards the Horizon」
(9)エレーナ・カッツ=チェルニン バレエ組曲「Wild Swans」
(10)譚盾 「Triple Resurrection」

うーん、やっぱりもうちょっと知識を蓄えてからやりたかったかも。難しい!
やっぱり地元バイアスといいますかオーストラリアの作曲家は多くなりますね。(2,5,7,9)
自分が短期間で好きになった曲ぞろいなので比較的聞きやすいラインアップになっています。作曲家だけでも参考にどうぞ。

ただこの10曲だけでも21世紀音楽の魅力というかキーポイントが結構押さえられているような気がします。
例えば作曲家の拠点・ベースになる文化の多様性(豪だけでなくイギリス、エストニア、アメリカ、アルゼンチン、フィンランド、中国、7は尺八で日本もちょっぴり)、音楽の軸になっているspiritualな芯が伝統的な宗教に必ずしも基づいていないという意味での多様性(3とか5特に)、伝統的な形式と新しい形式を自由に組み合わせる枠組みの作り方(3とか4、8)、それからクラシック以外のジャンルの要素の取り入れ(4,10)とかで比較的聞きやすい曲が多くあるのも特徴。

これ・・・次のエントリーで10曲それぞれ改めて紹介しようかしらん。
ちょっとなんかざっと概要書いただけだと足りないというかなんというか。ということで次回に続く。


今日の一曲: Nigel Westlake/Lior 「Compassion」 第5楽章「Al Takshu L'vavchem」

iTunes storeでの録音リンク(試聴有り)

久しぶりのCompassion。検索かけてないけど記憶だとまだ1回しか紹介してないはず。それも勿体ない話なのでこの機会に。

映画「ベイブ」の音楽で有名なオーストラリアの作曲家ナイジェル・ウェストレイクがイスラエル系オーストラリア人歌手Liorと手を組んで作曲、演奏したオーケストラと歌い手のための作品、「Compassion」。ウェストレイクの映画音楽と似たスタイルやしっかりしたオケ使い、Liorによるヘブライ語とアラビア語の歌詞や中東の音楽で聞くようなこぶし、そしてなんといってもその美声、とクラシックになじみがなくとも聴きどころたくさんの曲です。

「Compassion」の聞き所といえばゆっくりめのテンポでLiorの美声が聴けるメロディックな楽章だと思うのですが、今回紹介したいのはテンポでいえば一番速い第5楽章。本文がオケの話だったのでオケが活躍するこちらをチョイス。

なんてったって最初の最初から打楽器が元気!速い5拍子をベースにしてくるくる拍子が変わりますが打楽器が生き生きしてるとイレギュラーでもリズムにのりやすい。(ちなみに拍子がよくかわるのは20世紀以降の音楽の特徴で、特にオーストラリアでは特徴的に多用されています)

そしてそんな中出オケの色が様々に変わるのと一緒に歌い手の声の色も同じように様々に変わるのはたまらない魅力です。速いテンポでリズミカル(というか早口言葉にさえ聞こえる)に歌うだけでなくリズムに乗ったメロディーも美しい。

結局歌の方の話になってしまいましたがやっぱりオケが生き生きしてるのはこの第5楽章だと思います。

リンクしたのは今唯一出てる(はず)シドニー響の演奏。日本のAmazonにもあるのですが試聴がなかったのでこっちに。
ちなみに私もメル響のSidney Myer Bowlでのコンサートで聞いて以来(打楽器がすごく元気だった!)なのでまた演奏どこかでやらないかなー。

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